中西聖輝、櫻井頼之介らルーキー5人 竜の沖縄キャンプ地での熱い見聞録|中日ドラゴンズ

中日ドラゴンズは、球団が誕生して90周年という記念すべきシーズンを迎える。その戦いの中に、元気な若竜たちが新たに加わり、チームは躍動感を増している。春季1軍キャンプ地の北谷にはルーキー5人の姿があり、連日、元気な咆哮(ほうこう)を上げていた。
頂点を知る男!中西聖輝(なかにしまさき)
「もう1球、いきます!」
Agreスタジアム北谷には、球場の隣に大きなブルペンが併設されている。ひときわ目立っていたのが、ドラフト1位で青山学院大学から入団した中西聖輝投手。智弁和歌山高校時代は夏の甲子園、青山学院大学時代は明治神宮大会、それぞれエースとして日本一を勝ち取った。
井上一樹監督からキャンプ中での練習前のスピーチ役に指名されると、マイクを手にしてこう力強く宣言した。
「プロの世界でも日本一の景色を見たい!」
川上憲伸さんや小笠原慎之介さんらチームを代表した好投手の背番号「11」を受け継いだ。中西投手にとって大学時代から慣れ親しんだ背番号であり、球団からの期待の表れである。そんな中西投手が、1軍キャンプ地のブルペンで投げている。球を受けるのは、今季、正捕手の座を狙う2年目の石伊雄太捕手。竜の未来を背負う若きバッテリー共演の場である。
「カーブいきます」「低目です」「スライダーいきます」
中西投手の投球には自主性と意志がある。60球を節目に投げ終わるかと思ったが、「もう1球」とくり返し、納得いくまで投げ込んだ。石伊捕手のミットが心地よい音をたてて、この日のブルペンは幕を閉じた。
気持ち良さそうに汗を拭いながら、中西投手はこう話してくれた。
「課題もたくさん出てきている。だからこそキャンプは順調です。マウンドで物怖じしないのが自分です」。

完成度抜群!櫻井頼之介(さくらいよりのすけ)
北谷でのブルペンの整備は、地元・沖縄の大学に通う野球部員たちが担当している。竜の投手陣を間近に見ている彼らにこんな質問をしてみた。
「誰が一番印象に残っていますか?」
即座に答えが返ってきた。櫻井頼之介――。1位の中西に次いで、東北福祉大学からドラフト2位指名で入団した右腕である。
大学生たちに、櫻井投手のどこがいいのか尋ねると、
「球のキレ、コントロール、スピード、すべてです。ヤバいっす」との答え。
野球に打ち込んでいる彼らの目に映る櫻井の実力こそ、まさに本物だろう。無駄のない完成されたフォームから、きめの細かい投球を見せていた。
キャンプ地でドラゴンズOBの鈴木孝政さんから話を聞いた時、こんな感想が飛び出した。
「中西と櫻井、今年はドラフト1位が2人いるようなものです」。
【新保茉良選手とルーキー対決!動画でチェック】※燃えドラch(CBCテレビ公式)
支配下を狙う!牧野憲伸(まきのけんしん)
実は、今季のルーキーには、もうひとり“ドラフト1位”の投手がいる。ただしこちらは「育成1位」。牧野憲伸、イースタン・リーグ(2軍のリーグ)に参画するオイシックス新潟アルビレックスBCから入団した左腕である。背番号は「201」。26歳でのNPB入りは、いわゆる“遅咲きルーキー”だろう。しかし、ブルペンで見せた投球には、目を見張るものがあった。そもそも表情も所作も、新人らしくなく、すっかり1軍の空気に馴染んでいる。ストレートに加え、カーブ、スライダー、チェンジアップ、時にスプリットなど、多彩なボールを淡々と投げ込んでいた。
牧野投手本人からも話を伺うことができた。
「1軍の北谷に参加させてもらっていることがありがたい。ルーキーの選手たちとも歳が近く、楽しい。早く1軍の投手になりたい」
目指すはもちろん、支配下選手としての2ケタ背番号である。きっとその日は近いはずだ。

1軍を狙う!新保茉良(しんぽまお)と花田旭(はなだあさひ)
大学から入団した2人の野手も、1軍キャンプに抜擢されて光を放っている。内野手の新保茉良選手と外野手の花田旭選手である。キャンプ中盤の練習試合では、揃ってスタメンに名を連ねて活躍を見せた。
新保選手の守備は、プロでも即戦力と言える安定感がある。フットワークの軽さ、キャッチング、そして、滑らかなスローイング、まったく無駄がない。竜のショートは、まだ確固たるレギュラーが決まっていないため、新保選手が名乗りを上げることができるのか、注目していきたい。
花田選手は、187センチの長身で、打撃にも守備にもスケールの大きさを感じさせる。背番号「57」は、かつて平野謙さんや彦野利勝さんなど名外野手が背負った番号。岡林勇希選手、細川成也選手、そして上林誠知選手が揃う鉄壁の竜外野陣に、割って入ることができるか、楽しみである。

2011年(平成23年)を最後に優勝から遠ざかり、12球団で最もクライマックスシリーズからも離れているドラゴンズ。球団創設90周年を迎えた今季、1軍キャンプを完走したルーキー5人衆が、きっと竜党の夢をかなえてくれるに違いない。
文=北辻󠄀利寿
ジャーナリスト。愛知県名古屋市出身。中日ドラゴンズへの限りなき愛を胸にCBC(中部日本放送)に入社。落合博満の現役時代には報道局の“落合番記者”として活動。CBCテレビ報道局長や解説委員を歴任。筋金入りのドラゴンズウオッチャーとして、WEBコラム執筆やラジオ出演など活動中。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』(ゆいぽおと刊)や『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』 (東京ニュース通信社刊)など。
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