愛知県振興部スポーツ振興課
JPEN
instagram facebook twitter youtube
menu
page top

さらなる進化を遂げた“オフェンスマシン”
シーホース三河SG/SF 金丸晃輔

4年連続でレギュラーシーズンベストファイブ、ベストFT成功率賞に輝いた日本が誇る生粋のシューター・金丸晃輔選手。苦悩と進化のシーズンの先にたどり着いた境地とは?

チーム完成間近に終了「もったいない」シーズン

 今年3月15日(日)、新型コロナウイルス感染拡大による中断から、約1カ月ぶりに無観客で再開されたB1リーグ第28節、横浜ビー・コルセアーズ戦のGAME2。シーホース三河の金丸晃輔選手は前日の敗戦を教訓に、「空いたら打つ、その積極性だけを1試合通してやり続けよう」と決めて試合に臨んだ。金丸選手が放つシュートは、まるで機械が放ったかのように寸分の狂いもなく美しい弧を描き、面白いようにリングのど真ん中を射抜いていく。前半だけで4本の3ポイントシュートを含む17得点。チームも覚醒したスコアラーにボールを集め、第3クォーターだけで19得点の大爆発。終わってみれば、B1リーグ記録に並ぶ11本の3ポイントシュート、キャリアハイとなる45得点を記録していた。

 フリースロー65本連続成功の新記録や、2月17日(月)の宇都宮ブレックス戦で7本の3ポイントシュートをパーフェクトに沈めた神懸かり的なパフォーマンス。「冷静沈着なオフェンスマシン」の称号に違わぬ活躍が脳裏に焼き付いているが、実は昨シーズンは「苦しいシーズンだった」と吐露する。「最初の方は思うようにパフォーマンスが出せず、もがきながらやっていました。3ポイントが打てない試合が続いたり、〝なんか今までの僕じゃないな〞という感じが凄くあったんです」。金丸選手は積極的にシュートを打つことで、自分自身、そしてチームのリズムを作り出す選手だ。しかしシーズン序盤は、「チームに迷惑をかけないよう、なるべくオープンで打とう、〝きれいなバスケット〞をしようという意識が強くて、狂いが生じた」という。

 エースの不調と同調するように、チームも黒星が先行した。当時2季連続得点王のダバンテ・ガードナー選手、「情熱たぎるオフェンスマシン」の川村卓也選手らが加入し、前評判が高かった分、ファンも選手自身もショックが大きかった。「ほとんどのメンバーが変わったので時間がかかるのは仕方がないんですが、苦しかったですね」と金丸選手。しかし、年末頃からチーム内の意思疎通が図れるようになったことに加え、その日調子のよい選手を起点にして周りがアジャストしていく戦い方に切り替えたことによって、成績は徐々に向上。金丸選手自身も本来のプレーを取り戻すために、意識改革を行ったという。「シュートを打つことに迷いがあっては駄目なので、〝外れたらしょうがない、打つことに意味がある〞と自分に言い聞かせて、とにかく3ポイントを打つことを心掛けました」。

 試行錯誤の末に迎えた冒頭のビー・コルセアーズ戦で、シーホースは金丸選手の爆発と理想的なチームプレーで快勝を収めた。だが残念なことに、この試合を最後にBリーグはシーズン途中で中止に。チームが完成した姿をファンの前で披露することはできなかった。「チームがまだまだ強くなれる可能性を感じていましたし、調子も上向きになってきたタイミングでした。それだけに中止となったことはとても悔しく、もったいないという気持ちが大きかったですね」と、金丸選手は思いを語る。今年2月の日本代表合宿も、シューター・金丸を目覚めさせるのに一役買った。「みんな、戦いに来ている。練習中は一瞬も気が抜けない雰囲気で、以前の代表とは随分変わったと感じました。代表は自分が成長するための場所。僕自身も変われればと思いますし、その姿を見てチームの雰囲気も変わってくれたら」と刺激を持ち帰った。

6年ぶりの代表公式戦と東京2020への思い

 約6年ぶりの代表公式戦出場となった「2021FIBAアジアカップ予選」のチャイニーズ・タイペイ戦でも自信を深めた。金丸選手は21分間出場し、チームハイの17得点を挙げて存在感を示したのだ。「楽しかったですね。3ポイントに関しては50%の成功率なので良かったといえば良かったんですけど、ほとんどフリーで打てている状況だったので、もう1、2本決められたかなという思いは正直あります」とシューターとしてのプライドをにじませる。また、開催が延期となった東京2020へのこだわりも強くなった。「とにかく出たいですね。気持ちを切り替えて、この1年間を準備期間としてプラスに捉えています」。

 東京2020延期を含め、様々なスポーツが新型コロナウイルスの影響を受ける中、5季目のBリーグが10月に開幕を予定していることが発表された。Bリーグ発展の歩みを止めないために必要なことは?と問うと、「バスケットのレベルや質を上げるしかない。代表にしてもリーグにしても、バスケットを見てお客さんに楽しいと思ってもらうことが一番」と金丸選手は答える。「僕はシュートを入れて盛り上げることしかできないので、3ポイントシュート成功数の新記録を出すとか、フリースローの連続成功記録を更新するとか……。フリースローに関しては次のシーズン、凄い緊張してるんですよ。決めて当たり前みたいに見られるじゃないですか。僕のシュートはリングの上で転がっただけでもお客さんがざわつくので(笑)。でも僕達はファンの皆さんに喜んでもらうためにプレーしている部分が大きいので、そのためにもっと上を目指そうと思います」。

来るべきシーズンに向けて、準備着々

 バスケ界きってのバス釣り好きとして有名な金丸選手。「僕は自然が好きで、基本的には釣りと食事と温泉がセットですね。釣りに行くたびに、その地域の美味しいものを食べたり、帰りに温泉に寄ったりして、満足しています」。
 普段は人見知りな金丸選手だが、釣り仲間との交流には積極的だ。例えば、よく足を運ぶという、豊田市の奥矢作湖の地域の人たちを試合に招待したこともあるそうだ。
 今オフ、新型コロナウイルスの影響で以前のように外出ができない日が続く中、「釣りに行ける日を気長に待って準備しています。釣り道具の整理をしたり、セッティングしたり。季節ごとに使う道具が違うので、『次に行けるのは何月頃かな』『この時期だったらこれがいいな』って頭の中で思い描きながら準備してるんです。楽しいですよ」と満面の笑顔。バス釣り&バスケットシーズンの開幕を見据えて、準備に怠りはない。

写真提供:シーホース三河
取材・文=山田智子

PROFILE
かなまるこうすけ。1989年生まれ。福岡県出身。身長192cm、体重88kg。ポジションはシューティングガード/スモールフォワード。福岡大学附属大濠高等学校、明治大学、パナソニックトライアンを経て、2013年にアイシンシーホース三河(現シーホース三河)に入団。「冷静沈着なオフェンスマシン」の異名を持つ日本屈指のスコアラーであり、Bリーグ初年度より4年連続でレギュラーシーズン ベストファイブとベストフリースロー成功率賞を受賞。日本代表として2020年2月「2021FIBAアジアカップ予選」に出場。

aispo!マガジン最新号

2020 / SUMMER vol.25

PickUp記事