愛知県スポーツ局スポーツ振興課
JPEN
instagram facebook twitter youtube
menu
page top

スケート王国・愛知の系譜を受け継ぐ
16歳の新星・松生理乃

憧れの選手達の背中を追い、リンクの上に立つ

 今シーズン、シニアに転向した16歳の松生理乃選手。地元では「大須スケートリンク」の名で親しまれている「名古屋スポーツセンター」が拠点のフィギュアスケーティングクラブに所属。浅田真央選手や宇野昌磨選手などのトップスケーターを育てた山田満知子コーチや樋口美穂子コーチのもとで、練習に励んでいる。「浅田真央選手らの演技に憧れたのがフィギュアスケートを始めたきっかけだったので、同じコーチの下で指導を受けてみたかったですし、実際クラブに入ってみて、本当にこのクラブでよかったなと思っています」。
 幼い頃、浅田選手に会ったことがあるという松生選手は、その時のことを「ずっと憧れていたので、すごくキラキラして見えました。サインをもらったときもすごく優しくしてくれて、『めっちゃ、いい人だし、可愛い!』って思いました」と興奮気味に話す。いまもう一度会えたらどんな話をしてみたいか尋ねると、「ずっと真央ちゃんのスケートを目指してきたので、『憧れています』と伝えたいですし、いま練習しているトリプルアクセル(三回転半ジャンプ)のことも聞いてみたいです」と憧憬の眼差しで答えてくれた。
 また、宇野選手とは、一緒に練習し、ジャンプも教えてもらったことがあるという間柄だ。「昌磨君にはすごく影響を受けていて、自分の中でとても大きな存在です」と宇野選手のことを「昌磨君」と慕う様子に、妹のような微笑ましさを感じた。松生選手が今シーズン、フリープログラム(FP)の曲に選んだ『月光』は、宇野選手が平昌オリンピックで銀メダルを獲得した2018年以降、エキシビションやショートプログラムで使用していた曲だ。FPの曲として『月光』を初めて聞いた時は、「昌磨君が一番に浮かんだ」という。宇野選手の演技を幼い頃から間近で見てきた松生選手が、この曲でどんな世界観を演出してくれるか楽しみだ。

ⒸTHE ICE 2021/Koichi Nakamura

学生生活と競技生活を両立し、忙しくも充実した毎日を過ごす

 松生選手が通う中京大学付属中京高校は、浅田選手や宇野選手も通った全国屈指のスポーツ名門校だ。高校生活について聞くと、「クラスメイトも陸上や野球などスポーツをやっている子が多いので、クラスはとても賑やかです。スポーツマンなので挙手制にするとみんなが手をあげるところが面白いし、誰かが冗談を言うとみんなで笑い合ったりしています」と、高校生活を楽しんでいる様子。さらに、「私が試合で良い成績を取ると、みんな自分のことのように喜んでくれます。成績が載ったチラシを教室の後ろに貼ってくれたり、冬季国体(夢! きらリンク愛知国体)の演技をテレビで流してくれたりした時は、すごく嬉しかったです」と語り、先生やクラスメイト達は、松生選手にとって力強い応援団でもあるようだ。
 スケートリンク上では堂々たる演技を披露する松生選手だが、学校では中心になって目立つタイプではないという。「スケートリンクに上がる時は、演技をする以上、『自分の表現を見てもらいたい』という思いで滑っているので、普段の学校生活とフィギュアスケートをしている時とでは、ちょっとギャップがあるかもしれないですね」とほほ笑んだ。充実した高校生活を楽しんでいる彼女だが、「学校に丸1日いられる日はほとんどない」という。「お昼ご飯を食べる前に下校することが多く、大須スケートリンクへ行ってレッスンを受けて、その後中京大学に移動して練習したりしています」と忙しい毎日だ。数々のトップスケーターを輩出している同校のフィギュアスケート部には、現役では横井きな結選手、吉田陽菜選手などが在籍している。「本当にレベルの高い選手達がいるので、見習わないといけないなと思っています。練習環境もすごくいいので、そこが中京高校の強みだと感じています。自分自身が目標とされる選手になれるよう頑張りたいです」と力強く語ってくれた。
 プライベートの過ごし方を尋ねると、最近の楽しみは、昨年の誕生日にやっと買ってもらったカメラだという。「キレイな景色や夕焼けの空など、感情の赴くままにシャッターを切っています。遠征や大会の時にも持って行って、色んな写真を撮るのが楽しみです」と笑顔を見せた。また、夏休みになると、時々ネイルショップに行くそうだ。この日の水色できれいなネイルも「衣装に合わせて塗ってもらった」という。
 学生生活と競技生活を両立し、充実した日々を送っている松生選手。スケート王国・愛知で育った期待の新星が、北京オリンピックシーズンとなる今季、世界の舞台で光り輝く姿が待ち遠しい。

PROFILE
まついけ りの。2004年生まれ。愛知県名古屋市出身。9歳からフィギュアスケートを始める。浅田真央選手や宇野昌磨選手など、多岐のトップスケーターを輩出したグランプリ東海フィギュアスケーティングクラブで技を磨き、中学時代には数々の国内大会で上位に入賞する。昨シーズンは“ジュニア3冠”を達成するなど、一躍トップ選手に名を連ねるまでに成長し、今シーズンからシニアに転向。トリプルアクセルの習得が北京オリンピック出場の鍵を握る。



aispo!マガジン最新号

2024 / 10周年特別号

PickUp記事