全国各地を転戦し、全9戦でシリーズチャンピオンを争う全日本ラリー選手権。
その最終戦となるのが「新城ラリー」だ。
紅葉を迎え始めた11月5日(土)、6日(日)、メイン会場となった新城総合公園内で、タイムを競うSS(スペシャルステージ)が行われた。
新城ラリーの魅力といえば、ラリーマシンの走行を間近で観られること。
また、排気量などでクラス分けがされているものの、公道を走行するための車両ナンバーが付いている。
つまり、我々が普段使いにしているクルマが、ドライバーのテクニックで限界の走りを発揮しているのだ。
サーキットで行われるレースとの大きな違いはここにある。
とうてい運転することはないだろう異次元のマシンではなく、市販されている身近なクルマで、普通の車が走る一般道を極限で操るさまを目の前で見ることができるのだ。これがラリー人気の本質といえよう。
2日間の来場者数は、53000人(新城市発表)。
SSコースに設定された観戦エリアは、入り込む隙間がないほどファンで埋め尽くされたが、広く設置されていたため、短いコースではあるもののスタート前の緊張感、コーナリングのテクニック、迫力のストレート走行などさまざまなシチュエーションを見ることができた。
サーキットとは比べられないほど近距離を走行する新城ラリー。
多くの観客がカメラやビデオを構え、疾走するマシンを熱心に撮影していた。
レンズは標準や中望遠で充分な距離。アウト、インのどちらも行き来ができるので撮影のバリエーションも豊か。
ただ、公園内というシチュエーションのため障害物が多く、マシンがいきなり現れたり、距離が近いことで、撮影ポイントを通過するスピードが速いので、集中力を必要とするのは否めない。
観戦エリアからでも、案外撮影ポイントが多いという印象だ。
緩やかなカーブでスピードが出せる時計台前は、イン側から観客をバックに流し撮り。仮設歩道橋を抜けた瞬間は起伏がありクルマ撮影の王道を行く絵が。
また、最終コーナーが見られる丘では、仮設歩道橋にかけられたダンロップの幕をバックに正面のカットが撮影できた。いかにもレースらしい雰囲気だ。短いコースだが、意欲的に移動すれば、さまざまなカットが撮影できる。
ワンパターンにならず、飽きないところが魅力だ。
(スポーツカメラマン : 村松繁昌)