今回も、引き続き勝田範彦選手にお話を伺います!
※このインタビューは第3戦後の6月27日に行われました。
■全日本ラリー選手権について、九州唐津、久万高原、福島とここまでの参戦を終えての感想を聞かせてください
去年はぎりぎりでシリーズを獲った感じだったんです。年々ライバルである他の選手もかなりスピードも上がってきて、僕も車の開発だとか自分の腕を磨いたりだとかそういうことをやり、年々レベルを上げていかないといけないんです。それであの結果だったんです。
だから、今年も自分をもっと磨かないと厳しいかなと思うんです!今年は海外組も何名か来てますしね!代表、新井選手でしょう?(笑)あと、炭山裕也選手(主にキャロッセのアジアパスフィックラリーに出場)あと同じくキャロッセの牟田周平選手。初戦は僕が一番得意として8連覇しているツールド九州で、コース的にもインプレッサ優勢かな!そこで奴田原選手よりは、なんとか上にいけると思うんだけど新井選手はねぇ、一緒の車でしょう?タイヤメーカーは違うけれども一緒の車だったんで正直どうなるか予想がつかなかったですね。でも新井選手 流石です。上にきましたよね!奴田原選手も速くなってますよ!僕の一番得意な九州で負けているSS(スペシャルステージ)も沢山あったから、去年よりはかなり激戦になると思う。ホントもっと頑張らないとって感じです。
■去年まではなんというか二強みたいな感じで走られていたのが今年は新井さんも入って水替えのような感じですか?
■でもここ3戦の結果を見ると、例えばデイ1で遅れていてもデイ2ではまた盛り返されてるじゃないですか
うん。ただね、前々からね僕「スロースターター」って呼ばれていたんですよ。デイ1が全然タイムが悪くて、デイ2で盛り上がってくる…でもそれじゃあいけないんですよね。なんとかデイ1でついていって、デイ2でそれより上にいけるタイムを出して勝ちたいなっていう自分の中で思いはあるんですけどなかなかそれが出来ない。
いやぁー!全然苦手意識は無いんですよ?自分ではスロースターター…?いやぁーそんな事無いんだけどなぁと思うんですけどね。やっぱりタイムを見てみるとそうなんですよね。SS(ラリー用語:スペシャルステージ)が短いところもちょっと苦手かな…。長いSSは得意なんですが…ここも改善しないといけない点。
■まず福島だけのレースの感想はどうですか?
で、デイ1が抑えられてて、調子悪くて…でもね!ペース的には久万高原よりはもう、全然良かったんですよね。
自分でも、良かった今日は乗れてるぞって思って、さやか(足立さやかコ・ドライバー)もね言ってたんですよ「今日乗れてるよ!」って。ドライバーっておだてられるとカァ~~~!!っと本当にあがってくるんですよ(笑)なんとかもおだてりゃ木に登るって言うんですけど!(笑)そうなんですよ!で、デイ2もそのノリでいってたんだけど…とは言うものの自分では納得出来てるんだけど、タイムがねー相手と比べるとちょっと下なんですよね。直さなきゃいけない部分はやっぱり多いと思います。
■福島だとここがこのレースの分かれ目だったと思うところはあるんですか?
2日目はやっぱり結構調子が上がってきているんだけど、1日目なんだよね。うーん…1日目も自分的にはそんなに悪く無かったんだよね!ただ、これだけ差があるとなるとSS3なんてそんなに長くないんですけど大きいですよね。新井さん結構思い切ったことやるんです!
考えられない…失敗することも多いと思うんですけど、当たるとむちゃくちゃ速いんですよ!(笑)あ!ここもそうなんだよ!44秒ってとこもね(3戦の資料SS5を見ながら)すごい雨が降ってて、新井さんは、ウエットタイヤ付けてスタート。でもリエゾン(ラリー用語:SSとSSの間は一般の道路を、一般の交通とともに移動すること)で、その区間でウエットタイヤからドライタイヤにしようと思うと結構時間がタイトだったから僕は出来なかった。博打的なものがあるからね~・・・・だけど新井さんはやるんですよね(笑)それも僕達に足りない部分かもしれない。
■それはもしかしたらさっき言われていた海外でやってきてる経験というのが生かされているんですか?
そう!いろんな経験してるんですよね~!いろんな経験があるから出来ることで、僕達はそういう攻めの姿勢がちょっと欠けてるかもしれない。だからガンガン攻めていかなきゃいけないんだけど、ちょっと守りに入っちゃってる。
■新井さんはSS6~SS8のタイムが空白ですが、このあたりは。。。?
これはね!車が壊れたんですよ!(笑)でもね、このまま行ったら勝ってるんですよね!うん、間違いない!デイ2も1位で上がっていたしね。
■たしかに本当に新井さんすごい速いときと…ええと。。。差がありますよね!(笑)
すごいんですよ!先程言ったタイヤ選択でも思い切ったことするのでハズレるとタイムが悪いんです。でもハズレても最小限のタイムで抑えてくるのは流石ですね!!!すごい面白いですよ!勉強になります!なかなかあそこまでは出来ないですよ、本当に。
■奴田原さんはどっちかと言うとアベレージで速い感じですね
奴田原選手は新井選手と違ってドカーン!というのは無いんだけど、確実にミスなくって感じだと思います。新井さんとはちょっと違いますね。
■じゃあ、今後のレースでは勝田さんも勝負をかける時はかけるんですかね?
かけるときは…ねぇ。でもね、今までやってきててこのペースで。いきなりって言ってもねなかなか難しいんですよ!(笑)
成功するところもあるし、失敗するところもあるんだよね…今まではずーっと安全パイを取ってきたんだよね。奴田原選手がこのタイヤで行った!じゃあ、俺もこのタイヤにしよ!とか…奴田原選手もそうだと思うんですよ。僕のタイヤを見て、これで行こうとか、そういうことを思ってると思うんだけど。新井さんはね、ちょっと意表をつくんですよ~えぇぇえ!!って、まじで~!?っていう作戦を取る。
■話がずれるんですけど、そういう決めるのって勝田さんと足立さんなんですか?
うちは社長もいるし、ダンロップもいるしそれぞれみんな意見があるから、それぞれの意見を聞いて最終的に社長が監督が判断する。奴田原選手のとこもそう!あそこの監督って誰なんだろう?奴田原選手ですかねー?
いや…それはないと思うんですけどねぇ。だから監督が最終的に決めると思うんです。でもドライバーが占める要素は大きいと思うんですけどね。みんなで話し合うとねぇ、どうしてもエイヤー!というのが出来ないんだよね(笑)そういうのはありますね!
■なるほど…そういうチームとしても、勝負をかけていける方向性を…っていう事ですね。
■次回の4戦目(北海道)に向けての想いをお聞かせください
北海道はねぇ、僕の得意な道でもあるんだけど、新井選手も得意そう!!(笑)でも…走ってみないと何とも言えないんだけどね!雨が降ると、ちょっと際どいかもしれないですね。
■ここまで全部雨が関わってきてるじゃないですか
うん。誰か、雨男がいるんですよね~今までこんな事無かったですもん!!
■じゃあ、新井さんじゃないですか?(笑)
新井さん!?えっ、そうだよねぇ~?(笑)やっぱり新井さんだよね!!!雨が降るとちょっと手ごわいですね…相手は。ただドライであれば、あそこの路面は結構硬いので、いけるとは思います。結構僕、低速コースは好きじゃなくて…まぁ中速も高速も怖いから嫌なんですけど~ハハハハハ(笑)でも中速が一番良いんですよ!低速、高速…の真ん中の!北海道のラリー洞爺は中速なので結構好きなんですよ~これがまた高速になると怖くて駄目なんですけど~ハハハハ(笑)
■じゃあ、次は期待が出来ますね!(笑)
そう、自分の中では頑張んなきゃ!!と思ってるんですけどね、モチベーション上げて。
■では、そこに向けての準備もたくさんされているんですかね?
WRC(世界選手権の略)ので、いっぱい見てますよ!イメージトレーニング!(笑)いや、イメージトレーニングってめちゃくちゃ大事なんですよ、本当に!!やっぱり走りって自分で見れないから、イメージで走るしか無いんだけど~やっぱりWRC見てると、自分が抑えた走りだなぁ~って思えるし、WRCの走りを見ると頭の中でイメージ出来るでしょ?それに近づけよう、近づけよう!と、車は全然違うんだけども、頭の中にイメージを置いて走るのは非常にタイムにも繋がると思う。今の僕はですよ!?(笑)
■外からの映像って、たとえば車のタイヤの角度とかですか?
タイヤの角度って言うよりもね、車の姿勢なんですよね。コーナーに入って来る姿勢とか。ここが足りないな~とかね?もっとここは見せないといけないな、とか。アグレッシブさがちょっとない(笑)それがいままでそうだったから間違ってはないと思うんですよ。ただ今後はアグレッシブにいかないとなと思ってますね。だからラリーの前はそうやってイメージトレーニングしてもちろん過去のラリーも見ますよ。思いますよ。「なんでこんなにハンドル切るんだろう?」「なんでこんなにハンドル遅いんだろう?」とかね(笑)
■今後のレースへの意気込みを聞かせてください
もちろん優勝ですね!!調子がいいところだし、雨が降らないことを祈って!あとイメージトレーニングして!という感じですね。
今更練習しても一夜漬けみたいなものなんですよね。だからそれよりもイメージのほうが自分の為になるのかなって感じです。たしかにラリーの前って自分で走るのも大切なんですが走れる状況が今ないので。
ラリー北海道って長いでしょ。いつもSRTJ(スバルラリージムジャパン)の時は前日に早く行ってレッキの前にテストできたんですよ。シェイクダウンっていうんですが。林道を借りてチームで走るんですよ。そういうのができたからそこで自分のイメージも北海道の道のイメージに切り替えれます。そういうときは最初からタイムがいいんですよね。
でもその時は良過ぎてしまってコースアウトしてリタイヤしましたが・・・・ただ最初からいけるのは事前に同じようなイメージの道を走れたときはよかったですね。
だから本当はラリー前に一回走っとくと全然ちがうと思うんですけど。ただ空きすぎちゃってもいけないんですよ。たとえばラリーの前の週に行って、走って次の週本番とかそれじゃぜんぜん意味ないんですよ。行くだけ無駄なんですよ。テストって意味では行く意味あるんだけど、イメージや慣れってことではメリットがない。車を壊すだけ。
本番の前日に走れるとすごくメリットがありますね。だから今までのそういう練習できたとき、できない時とでみると、できたときは最初からできる。そうゆうデータもあるので。そう去年!はじめてうちのチームでテスト行ったときは、やっぱりラリー北海道は調子がよかった。
■では今年も?
ですね!ラリー北海道は前入りしてテストしますよ。洞爺もいきたかったんですが、なかなか。。
■次のレースもかなり期待できますね!
そうですね!期待しててください!
■本日は、貴重なお話をありがとうございました!!
その後、勝田さんは第4戦「2014ARKラリー洞爺 」では2位、第5戦「モントレー2014in群馬」では全日本ラリー史上最速のターマーックバトルを経て見事今季2勝目をあげシリーズトップに浮上!
ファイナルまでの残る4戦も目が離せない戦いになるのは間違いありません!
※今後、勝田範彦選手からは、シリーズインタビュー【 Road to 新城 】として、引き続きお話を伺います。全日本ラリーファイナルの新城までに、参戦中のトップラリードライバーである勝田選手から感想や意気込みをお聞きし、臨場感あふれるインタビューをお届けいたします。乞うご期待!!
Tweet | mixiチェック |
外部リンク