競技人口は世界で1億人!?
礼節を重んじる日本伝統の武道
今年8月、国際オリンピック委員会(IOC)総会において2020年の東京オリンピックで5競技18種目を追加することが決定しました。
その5つの競技とは野球・ソフトボール、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンと、ここで紹介する空手です。
心身の調和と礼節を重んじる日本の伝統武道のひとつとして発展してきた空手ですが、意外にもワールドワイドなスポーツ。
世界空手連盟(WKF)には192の国と地域が加盟し、愛好者は1億人以上とも言われています。オリンピック種目として追加されたのも、こうした点が評価されたようです。東京では、「形(型)」の男女個人、「組手」の男女各3階級(体重別)の合計8種目が行われる予定です。
ところで「形(型)」「組手」とは、それぞれどんな競技なのでしょうか?
まず「形(型)」とは、文字通り形を競う種目です。空手には大きく分けると「和道流」「剛柔流」「糸東流」「松濤館流」の4つの流派があり、それぞれ突きや蹴りの技の繰り出し方や構え方に独自の形を持っています。その数はなんと91種類。
試合では、トーナメントで決まった2人の選手が順番に演武を披露。技の正確さやスピード、キレ、気合いなどを5人の審判が判断し、優れている方に旗を上げ、その数が多い方を勝者とするフラッグ方式で行われるケースが多いです。
一方、組手は1対1の実践形式。頭部や顔面などの「上段」、腹・胸や背中などの「中段」という相手の攻撃部位に突きや蹴りなどの技を出し合う競技です。その技に応じて1〜3ポイントの得点配分が決まっていて、時間内に規定のポイント数を先に取ると勝ちになります。
世界大会レベルの選手同士の対戦だと、一瞬でもスキを見せたら命取り。相手の出方を見つつ、攻撃のチャンスをうかがう緊張感がたまりません。
空手にはさまざまな流派や会派があり、団体や道場も数多く存在します。
愛知県内にも100を超える道場があるのだとか。健康維持とともに、精神を鍛えるために空手を始めたいと思っても、どこの門を叩けばいいのか分からないという人も多いのでは。
道場選びのポイントはいくつかありますが、まず大切なのは通いやすさ。長く続けるためにも、便利な場所にある道場に通うのがオススメ。
次のポイントは、見学ができること。道場によってそれぞれスタイルが異なるので、その目で確かめ、自分に合った道場を選ぶことが大切です。
最近では社会人で始める人も少なくないようで、東真会(東真武道館)では、社会人向けのクラスもあるほどです。
流派はいろいろあれど、伝統や礼節を重んじ、心身を鍛えるという点ではどこも同じ。体を鍛えて健康を維持しつつ、忍耐力や協調性など高い徳性を身につけるには、これほど適した競技はないかもしれません。
(ライター : 鶴 哲聡)