オリンピックで行うのは、なんと16種目!
自然との一体感が味わえるアウトドアスポーツ
大会前はさほど注目を集めていなかった競技が、メダリストの誕生で世間の脚光を浴び、その選手をひと目見ようと多くの観客が試合会場に押し寄せて…オリンピックがあるたびこんな光景を見かけることはありませんか。
熱しやすい日本人ならではの“オリンピックあるある”です。
例えば、北京オリンピック(2008年)では太田雄貴選手の活躍でフェンシングが、ロンドンオリンピック(2012年)では蟹江美貴さんの活躍でアーチェリーが、それぞれ注目を集めたのは記憶に新しいところ。今年行われたリオデジャネイロオリンピックでは、カヌーにスポットライトが当たりました。
その立役者が、愛知県豊田市出身の羽根田卓也選手。カヌースラローム男子カナディアンシングルで見事に銅メダルを獲得しました。
このメダル、体格に劣るアジア人がカヌースラローム競技で初めて獲得した貴重なものだということもあり、快挙として大々的に報道されました。
また、そのイケメンぶりが人気に拍車をかけ、オリンピック後はテレビなどのメディアに引っ張り凧に。一躍、時の人となりました。
羽根田選手が激流を下る姿をテレビで見たけれど、実際にどんなルールで行われる競技かよく分からないという人が多いのでは?
ひとくちにカヌーと言っても、実はオリンピックでは16種目が実施されていて、羽根田選手が銅メダルを獲得したのはそのうちのひとつに過ぎません。こういうと読者の頭の中はますます「?」になってしまいそうなので、できるだけ簡単に種目の内容を説明していくこととしましょう。
カヌー競技はまず、激流を下る「スラローム」と流れのないコースでタイムを競う「スプリント」の2種類に大きく分けられます。
さらにカヌーを漕ぐために使うパドルの違いによっても種目が分かれ、パドルの両端に水かきが付いているもの(ダブルブレード)を「カヤック」、片方にしか水かきの付いていないもの(シングルブレード)を「カナディアン」と言います。
これらをそれぞれ組み合わせるとカヌー競技は、激流をダブルブレードパドルで下る「スラローム・カヤック」、激流をシングルブレードパドルで下る「スラローム・カナディアン」、流れのないコースをダブルブレードパドルで進む「スプリント・カヤック」、流れのないコースをシングルブレードパドルで進む「スプリント・カナディアン」の4つに大別できることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
オリンピックでは、さらに男女の違いやコースの距離、何人乗りかによって細分化されるため、16種目にもなるのです。
ちなみに、羽根田選手の出場したスラローム男子カナディアンシングルは、1人乗りのカヌーでシングルブレードパドルを漕ぎ、コース上にある18〜25個の旗門をくぐりながら激流を下るタイムを競うというものです。
愛知県でカヌーができる施設と言えば、みよし市にある三好池。スプリント用のカヌー競技場があり、毎年春には、国体予選を兼ねた「スプリングスプリントカヌー競技大会」が行われます。
東名高速の東名三好ICから車で10分ほどとアクセスもいいので、観戦にオススメです。
上記のオリンピック競技以外にも、水球やバスケットボールの要素を組み合わせたカヌーポロや、パドリングや操艇技術を競うフリースタイルカヌーなど、さまざまな競技があるのがカヌーの特徴。
もちろん釣りや海(川)遊びといったアウトドアレジャーとしても楽しめます。
競技に打ち込むにしろ、レジャーを楽しむにしろ、海や川などの自然との一体感や開放感が味わえるカヌー。
一度体験するとヤミツキになる人が多いのだとか。ぜひ、チャレンジしてみてはいかがでしょう。
お問合せは愛知県カヌー協会事務局(TEL0561-32-8558)へ
(ライター : 鶴 哲聡)