2017年秋、蒲郡でワールドカップ開催
注目度アップ間違いなしのマリンスポーツ
今年9月、愛知県のスポーツ界にとって、うれしいニュースが飛び込んできました。そのニュースとは…
セーリングワールドカップが2017年10月に蒲郡市で開催決定!
…と言われてもピンとこない人の方が多いかもしれませんが…。
セーリングワールドカップとは、ワールドセーリング(セーリングの国際統括団体)が主催するヨットレース。年に3〜4回、アメリカやヨーロッパなど世界各国で開催され、各回のポイントの合算で年間チャンピオンを決定する大会です。ヨット版のF1レースと言えば、イメージしやすいでしょうか。
出場するのは、もちろん世界トップランクの選手ばかり。オリンピックとまったく同じ種目で行われ、この大会の成績がオリンピックへの出場を左右するため、メダルを狙うトップセーラーたちの本気度も高く、見応え十分のレースが期待されます。
オリンピックの前哨戦とも言える重要な大会が地元で行われるとは、実に楽しみ。しかも、日本では初開催となるので、ちょっと自慢でもありますね。大会は2017年10月15日〜22日、蒲郡の豊田自動織機 海陽ヨットハーバーで行われます。
せっかく地元で大きな大会が行われるのなら、セーリングについて知らなきゃ損。ということで、まずは第一歩。リオデジャネイロオリンピックで行われた種目をおさらいしておきましょう。
<470級(ヨンナナマル)>男女共通
艇の全長が4.7mの競技ヨットを使って行う男女共通の種目です。舵と主帆を操るスキッパーと前帆を操作するクルーが乗り込む2人乗り(ダブルハンド)ヨットを使用。小柄な日本人に向いていることから、国内で最も盛んな種目です。1996年のアトランタオリンピックで女子の重・木下組が銀メダル、2004年のアテネオリンピックで男子の関・轟組が銅メダルを獲得しています。
<49er級(フォーティナイナー)>男子のみ
全長4.9m、全幅2.9m、セーリング競技の中で最もスピードが出るヨットを使用します。スキッパーとクルーの2人がワイヤーで体を支え艇外に乗り出しながら船を操縦するのが特徴。高い操作性を求められる難易度の高い種目です。
<49erFX級(フォーティナイナー・エフエックス)>女子のみ
基本的なルールや船体は49er級と同じ。マストの高さや帆の面積が小さいヨットを使う種目です。
<レーザー級>男子のみ
世界で最も普及していると言われる全長4.23m、全幅1.37mの1人乗り(シングルハンド)のヨットを使った種目です。
<レーザー・ラジアル級>女子のみ
艇の大きさはレーザー級のまま、セールの面積を約80%削減したヨットを使用する種目です。女子や若い世代への普及を目指して、2008年の北京オリンピックから新たに加わった種目です。
<フィン級>男子のみ
全長4.5m、シングルハンドのレースヨットで行う種目です。
<ナクラ17級>男女混合
全長5.25m、2つの船体を甲板でつないだ双胴船(カタマラン)を使用。男女ペアで乗り込んで行う種目です。リオデジャネイロオリンピックから、新しく追加されました。
<RS:X級(アール・エス・エックス)>男女共通
ヨットではなく、全長2.86m、全幅0.93m、重さ15.5kgのウィンドサーフィンボードを使った競技です。レーザー・ラジアル級同様、北京オリンピックから競技艇として採用されました。
レースは、スタート地点から一斉にスタートし、決められたルートをいかに速く周回できるかを競うもの。種目によって回数は違いますが、例えば470級なら10レースを行い、レースごとにポイントを加算。成績上位の10組のみが最終のメダルレースへ出場し、文字どおりメダルをかけて争います。
大きな大会になると、ヨットの基地となるマリーナ周辺などの観覧席が設けられるケースが多いので、海辺の雰囲気を楽しみがてらレース観戦に出かけてみてはいかがでしょう。間近で見られる観覧艇が出る場合もあるようなので、事前にチェックしておくことをオススメします。
実は筆者も一度ヨットに乗ったことがあるのですが、ちょっと上から目線で言わせてもらえば、「ヨットは観戦するより乗るほうが断然楽しいスポーツ」です。キラキラと光る水面、頬をかすめる潮風、360度見渡せる美しい眺めなど、日常では絶対に味わえない感動がそこには待っているはず。実は帆を張る作業は想像以上に重労働なのですが、そんなことはあっという間に吹き飛んでしまいます。
セーリングワールドカップの舞台となる豊田自動織機 海陽ヨットハーバーは、愛知県の公共ハーバー。初心者向けの教室なども開かれ、誰でも気軽に利用することができるそう。一度足を運んでみてはいかがですか。あなたもきっと、海のとりこになることでしょう。
(ライター : 鶴 哲聡)