世界一の大学が愛知に!
古代から続く由緒正しいスポーツ
2016年のリオデジャネイロオリンピックに、日本は27競技に338人の選手団を派遣。
史上最多となる合計41個(金12個、銀8個、銅21個)のメダルを獲得しました。
この中で、愛知県にゆかりのあるリオ代表選手は全体の1割強にあたる14競技37人。うち9人がメダルを手にしています。
愛知で最も多くの選手が出場したのは、女子のレスリングとバスケットボール。いずれも6人が代表に選ばれています。中でもレスリングは、全6階級の代表選手すべてが大府市にある至学館大学のOGか現役。
しかも登坂絵莉、伊調馨、川井梨紗子、土性沙羅の4選手が金メダルを、吉田沙保里選手が銀メダルを獲得するなど、好成績を収めました。
オリンピックのメダリストが1人出るだけでも大変なことなのに、何人ものメダリストを輩出している至学館大学の偉業は本当に素晴らしいことだと思います。
こんなすごい大学が自分の住んでいる県にあると、つい誰かに自慢したくなるほどです。
自慢ついでに、リオデジャネイロオリンピックの開幕前、至学館大学の体育館で代表選手たちの練習を取材した時のお話しをしましょう。
そこで見たのは、吉田選手や登坂選手らが真剣な表情でスパーリングをする姿。本番さながらの迫力で、見ているこちらの方が圧倒されるほどでした。
緊張感が漂う中、レスリング部の学生たちも一緒に練習していましたが、メダリストの練習を間近で見ることで、彼女たちもまた強くなるのでしょう。
至学館大学が常に世界トップであり続ける理由をかいま見たような気がしました。
さて、ここからはレスリングについてちょっとお勉強をしていきましょう。
その歴史は古く、紀元前3000年には競技として成立していたそうです。
古代オリンピックでも主要競技のひとつに数えられており、ボクシングなどと並び世界最古の格闘技とも言われています。1896年に開催された第1回アテネオリンピックでも実施されるなど、由緒正しきスポーツです。
種目は、攻撃も守備も上半身しか使えない「グレコローマンスタイル」と全身を自由に使ってよい「フリースタイル」の2つに分けられ、オリンピックでは男子が両種目、女子はフリースタイルのみ行われます。
その他のルールはグレコローマンもフリースタイルも基本的に同じです。以下、ざっと紹介していきましょう。
【試合場】
直径9mの円形マットで行います。外側1mの色が変わっている部分を場外が近づいていることを知らせる「パシビティ・ゾーン」といい、相手を外へ押し出すと1ポイントが与えられることになります。
【試合時間】
1ピリオド3分間で2ピリオド行います。
【勝敗の決め方】
以下の4つの方法があります。
・フォール・・・相手の両肩をマットに1秒以上つけた場合
・テクニカルフォール・・・ポイント差を10ポイント(男子グレコローマンは8ポイント)以上つけた場合
・警告・・・反則や消極的姿勢に課せられる警告(コーション)が3度あった場合
・判定・・・上記によって勝敗がつかない場合は、試合中に与えられるポイントの多い方の勝ちとなります。また、同点で終わった場合は①ビッグポイントの多い選手②警告が少ない選手③ラストポイントを取った選手の順で勝敗を決めます。
【ポイント】
下記のような技を決めた時、それぞれポイントが配分されます。(ここではフリースタイルポイントの主な技を紹介します)
・相手を場外に出した場合・・・1ポイント
・相手を投げたがデンジャーポジション(肩を90度以上マットに向けさせる)に追い込めなかった場合・・・1ポイント
・テークダウン(相手の背後に回って両手・両ひざの3点をマットにつかせるなど)をした場合・・・2ポイント
・ローリング(グラウンドで相手の胴を絞めて1回転)をした場合・・・2ポイント
・相手を投げ、一瞬でもデンジャーポジションに追い込んだ場合・・・4ポイント
リオデジャネイロオリンピックで伊調選手が残り3秒で逆転を決めた技は背後に回る「テークダウン」になります。
こうしてある程度のルールを頭に入れて、あらためてリオデジャネイロでの激闘を振り返ってみると、レスリングがより面白く感じられるかもしれませんね。
レスリングは体ひとつで始められるスポーツ。全身を使うのでシェイプアップにもぴったり。
何より吉田選手ばりにタックルが決まった時は、気分がスッキリするはずです。
愛知県内にもレスリング道場が数軒あります。このうちのひとつ、ナゴヤレスリングアカデミーでは子どもから大人までを対象とした教室もあるのだとか。もちろん初心者でもOK。
1から技が学べるよう指導してくれるそうです。
見るだけではなく、やってみたいという方は、一度練習をのぞいてみてはいかがでしょう?
(ライター : 鶴 哲聡)