未経験者でもオリンピアンになれるかも!?
水の上を進む爽快感が魅力のスポーツ
このブログで船を使った競技を紹介するのはカヌー、セーリングに次いで3つ目。今回はボートを紹介します。
近代オリンピックでは第2回パリ大会(実は第1回アテネ大会の種目にもなっていましたが悪天候のため実施されなかったそうです)から開催されている歴史あるスポーツです。
日本ボート協会のまとめた『日本のボート略史』によると、わが国で最初に競技用ボートによるレースが行われたのは江戸時代末期。長崎湾でイギリス商人たちが「長崎レガッタ」を開催したという記録が残っています。
ちなみにこの「レガッタ」という言葉は、イタリア語で「争う、競い合う」を意味します。ボートに詳しくない人でも、毎年4月に早稲田大学と慶応義塾大学が競う「早慶レガッタ」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。ボートの大会ではよく使われる言葉です。
愛知県のボートの聖地と呼ばれる愛知池のある東郷町では、毎年4月にアスリートを対象にした「中日本レガッタ」を、毎年8月には町内に在住・在勤・在学している人を対象とした「東郷町民レガッタ」を開催しているそうですよ。
それでは競技の概要について紹介しましょう。ボート競技は大まかに、舵を引く舵手と漕ぎ手となる選手で構成されます。また、漕ぎ手となる選手1人が1本のオールを扱う「スウィープ」と1人2本のオールを扱う「スカル」の2つに分けられます。
<スウィープ>
・舵手つきフォア…舵手1人、漕ぎ手4人
・舵手なしフォア…舵手なし、漕ぎ手4人
・舵手つきペア…舵手1人、漕ぎ手2人
・舵手なしペア…舵手なし、漕ぎ手2人
・エイト…舵手1人、漕ぎ手8人
※舵手あり、漕ぎ手4人、安定性の高いナックル艇を使った日本生まれの「ナックルフォア」という種目もあります。
<スカル>
・シングルスカル…舵手なし、漕ぎ手1人
・ダブルスカル…舵手なし、漕ぎ手2人
・舵手つきクオドルプル…舵手1人、漕ぎ手4人
・舵手なしクオドルプル…舵手なし、漕ぎ手4人
オリンピックでは距離2000m、一般的には6つのレーンを使って行われます。 リオデジャネイロオリンピックでは、男女シングルスカル、同ダブルスカル、同軽量級ダブルスカル、同クオドルプル、同エイト、同舵手なしペア、男子舵手なしフォア、同軽量級舵手なしフォアの14種目が行われました。
ボートの中には腰をかけるシート、足を固定するためのストレッチャー、シートを前後に動かすレール、オールを固定するクラッチなどの装置があります。漕ぎ手は①キャッチ(オールの先端で水をつかむ)②ドライブ(全身の力でオールを漕ぐ)③フィニッシュ(オールを水から抜く)④フォワード(次のキャッチの準備をする)——という一連の動作を繰り返していきます。シングルスカル以外の種目では、漕ぎ手同士がいかに息を合わせられるかがポイント。リズムがバチッと合った時の、水の上を滑るように進む爽快感も何ものにも代え難いものなのだそうです。
日本ボート協会では2020年の東京オリンピックでメダル獲得をめざす選手を、他競技から広く募集しています。我こそはと、これまでに2000名以上が挑戦していますが、そのうち6割がボート未経験者なのだとか。オリンピアンを夢見る体力自慢の方は、チャレンジしてみる価値がありそうですね。
いきなりやるのは無理。どんな競技なのか一度見てみたいという人は、4月21日(金)から3日間、愛知池で開催される「第62回中日本レガッタ」観戦がオススメ。
中学生から一般まで国内の精鋭1000人以上が集まる、伝統ある大会です。陸上の100m走のように単純に速いか遅いかを競うレースなので、初めて見る人でも分かりやすいと思います。興味のある方は一度、愛知県ボート協会へ問い合わせてみてはいかがでしょう。
(ライター : 鶴 哲聡)