一生涯ドラゴンズ応援宣言!
サカナクション 山口一郎
岐阜県出身の父の影響で
物心ついた時からの竜党
山口一郎さんは北海道小樽市出身。中日ドラゴンズとは縁のない土地で生まれ育ったが、岐阜県金山町(現下呂市)出身で大のドラゴンズファンだった父親の影響で、物心ついた時からドラゴンズを応援していたという。
「僕が小学生の頃の北海道は、野球といえば巨人という土地柄でした。もちろん、クラスメイトはみんな巨人ファン。ドラゴンズを応援していたのは僕一人だけでしたね。当時、北海道ではドラゴンズの情報を入手するのが大変でした。テレビで見られるのは巨人戦のみ。あとはAMラジオが頼りでした。父と車に乗ってラジオを聴きながら応援していたことを今でもはっきりと覚えています」。
子どもの頃のドラゴンズに関する一番の思い出は、1988年のシーズン。就任2年目となる星野仙一監督の下、主砲・落合博満選手を中心とする恐竜打線と最優秀選手(MVP)に輝いた守護神・郭源治投手の活躍などでリーグ優勝を果たしている。当時8歳だった山口少年の脳裏には、闘志むき出しで戦う星野監督や選手たちの姿が焼き付いているそうだ。
「彦野・立浪・ゲーリー・落合・宇野・仁村・川又・中村。当時の打順は今でも空で言えるほどです。中でも好きだったのは立浪和義さん。高卒ルーキーでありながら、プロで何年もやってきているかのような活躍を見せてくれて、とてもかっこよかったですね。その立浪さんがようやく監督になってくれて、とても感慨深いものがあります」。
激しいポジション争いで
今季のドラゴンズは一味違う
山口さんの憧れの存在だった立浪監督は今シーズンで就任3年目。過去の2シーズンは球団初の2年連続最下位という屈辱を味わった。
「いろいろな批判はあったと思いますが、僕はポジティブに捉えています。その理由は、この2年で選手を入れ替えたから。立浪監督就任前のドラゴンズの不安材料はベテランが多く、若手が育っていなかったこと。それを一気に若手中心のチームに変えてくれたのが立浪監督です。長い目でドラゴンズを見た時、立浪監督が行った改革は必ずプラスになると思っています」。
オープン戦では21年ぶりの優勝を果たし、開幕直後には4年ぶりの6連勝をマークして、一時は首位に立つなど好スタートを見せた今シーズンのドラゴンズ。セ・リーグは混戦が続いているだけに十分にAクラス入りは可能だ。山口さんも「昨シーズンとは比較にならないほど新陳代謝が進んでいる」というドラゴンズに手応えを感じている。
「岡林勇希選手のケガで三好大倫選手がチャンスを掴んだり、期待されていた石川昂弥選手から高橋周平選手がサードのポジションを奪ったり、中田翔選手の加入でダヤン・ビシエド選手が安泰じゃなくなったりと、すべてのポジションで競争が起き、チームが活性化しています。これまでのドラゴンズにはなかったことなので。こうした選手間の争いが今シーズンのドラゴンズの見どころの一つだと思います。シーズン終盤には、レギュラーの顔ぶれが全く違っている可能性も。一ファンとして、とてもワクワクしています」。
目先の勝ち負けに一喜一憂せず
長い目でドラゴンズを応援しよう
体調がすぐれなかった時期もドラゴンズの試合の観戦だけは欠かさなかったという山口さん。たまに神宮球場へ観戦にいくこともあるが、もっぱらインターネット配信を利用している。一軍の試合はもちろん、二軍の試合もすべてチェックするという熱の入れようだ。
「ドラゴンズの情報は東海地方の人には行き届きますが、東海地方以外に住んでいる人間には情報はなかなか入ってこないので、配信はとても助かっています。おかげでドラゴンズへの熱は高まりましたよ。こうして復帰できたのもドラゴンズのおかげ。頑張っている選手の姿を見て、勇気をたくさんもらいました。本当にドラゴンズには救われましたね」。
最後に今シーズンの順位予想をお願いしたら、いかにも山口さんらしい答えが返ってきた。
「もちろん優勝してほしいですが、強くても弱くても、どうせ一生応援するのだから、長い目で見て、ドラゴンズを楽しもうと思っています。目先の勝ち負けにこだわるのではなく、『今年は粋の良い新人が入ってきた』とか『とうとうあの選手も引退か』といった人間ドラマを楽しむのが野球ファンの最高の楽しみ方ではないでしょうか」。
まさに「NO DRAGONS, NO LIFE」。おそらく多くの愛知県民と同じように、山口さんにとってドラゴンズは人生でなくてはならない存在だと言える。
PROFILE
やまぐち いちろう/1980年9月生まれ。北海道小樽市出身。高校時代の同級生らとサカナクションを結成し、2007年にメジャーデビュー。『新宝島』や『ミュージック』などのヒットを連発し、一躍人気バンドの仲間入りを果たした。小中学校は野球部に所属。ポジションはキャッチャーやセンターを務めた。
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