バレーボール⼥⼦チームSNSフォロワー数No.1!—ビオーレ名古屋の“バズる発信⼒”

保育士を中心に構成される実業団バレーボールチーム「ビオーレ名古屋」。メンバーの多くは保育士としての業務をこなしながらバレーボール競技にも励む「二刀流」として日々奮闘している。
異色ともいえる取り組みから何かと注目を集める同チームであるが、現在スポーツ界の内外から特に注目されているのが巧みな「SNS戦略」。Instagram公式アカウントフォロワーは6.4万人を数え、バレーボール女子チームとしてはNo.1を誇っている(2025年9月4日現在)。そして、オンライン上のみの盛り上がりに留まらず、観客動員にも繋がっているという。巨大スポンサーを持たない小さなチームが、SNSを通じて全国的な認知度を確立した、その裏側とは?


求人にSNSを活用した実績が原点
「保育士×バレーボール」という唯一無二のポジションを確立しつつあり、全国的に知名度を上げている「ビオーレ名古屋」。その成功を支えた要因のひとつがSNS戦略だ。
「法人として保育士不足に悩んでいた時期に、SNSを活用したのが原点」と話すのは、社会福祉法人栄寿福祉会の理事⻑として複数の保育施設を運営し、ビオーレ名古屋のオーナー兼監督を務める寿台順章氏。SNSが福祉や教育の分野でほとんど活用されていなかった6年前から運用をはじめ、多くの人材を確保することに成功した実績があるという。
「このような成功体験からバレーボールチームを結成することが決まった時点で、SNSを活用することは既定路線でした。実は道筋や将来像は見えていて、その上での仕掛けだったんです」と明かす。実際に結成当時のチーム公式ホームページには「SNS戦略」という文字を堂々と踊らせていたという。

選手の“素”を感じられる動画がバズる
さて、肝心な投稿内容だがバレーボールの話題よりも、選手の日常を切り取った投稿が目立つ。これには何か意図があるのだろうか。
「バレーボールに限らずですが一般的なスポーツチームの投稿は、プレーやゲームの様子が中心だと思います。既存のファンはSNSから試合の情報を得られて満足だと思うのですが、新たなファンの獲得に至るのは難しいでしょう。うちには国内トップレベルの選手がいるわけではないですし、プレー面ばかりを発信してもほかのチームに太刀打ちできません」と寿台氏。
「教育や福祉に携わりながら二刀流でがんばる」というコンセプトを前面に押し出しつつ、選手の人となりや仕事ぶりを伝える動画の配信を心がけているのだという。
「まだまだフォロワー数も少ない時期だったのですが、新しく買った服を見せたくてファスナーを開け閉めしているなんでもない動画が突然100万再生されていたことには驚きました」と笑うのは、チーム結成当時から在籍し初代キャプテンも務めた久呂奈々選⼿。SNSではその可愛らしい笑顔から、天紫(てんし)先生の愛称で親しまれている。
「わざとらしく企画を立てなくても、選⼿の“素”が垣間見られる投稿が一番伸びる」と寿台氏は分析する。


SNSを通じて会場に足を運ぶファンも増加
SNS戦略が功を奏し、観客動員数も上昇しているという「ビオーレ名古屋」。SNSがきっかけとなり、はじめて試合会場に足を運んだというファンが大半を占めるという事実にも驚かされるばかりだ。全国・全世界に発信できるのもSNSのメリットであり、遠征先で熱烈な応援を浴びることも多くなったという。
現在InstagramでTOPにピン留めされている動画は、なんと430万再生を記録している。現在のチームキャプテンであり“画伯”のあだ名で親しまれている、大城なるみ(おおぎなるみ)選手が得点板の担当をしているところを隠し撮りし、気付くかな?という動画。途中カメラが回っていることに気が付いた大城選手の表情や仕草が可愛らしく、チャーミングな魅力が溢れているのだ。

普段の様子をもっと出して、興味を持ってもらい「え、この人バレーボールも出来るの!?」というくらい、まずは選手の人となりを知ってもらいたいと話す、寿台氏。
選手個々にスポットライトを当てたSNS投稿は、バレーボールという競技に興味を抱いてもらう入口としてとても有効な手段であると言えそうだ。

「二刀流」に励む選手から元気をもらえる
現在は0歳児のクラスを担当しながら、バレーボールに励んでいる久呂選手。チームでは主にミドルブロッカーを務め、チームを牽引している。チームでは攻撃面での活躍を期待されているが、献身的な守備も久呂選手の持ち味だ。
「バレーボールのモヤモヤした感情や悩みは、保育園に来ると子供たちが何気ない言葉で吹き飛ばしてくれます。逆に保育園でモヤモヤしたことがあっても、チームメイトであり同年代の保育士でもある仲間と相談し合うことができます」と久呂選手は明るく話す。
保育士として、バレーボール選手として。「二刀流」に大変さや辛さを感じるどころか、相乗効果でそれぞれの仕事の質を高め合っている様子が印象的だった。
「SNSが注目を集めるにつれ、園児や保護者さんから応援してもらえる機会も増えてとてもうれしいです。この前は『ナナ』って書いたTシャツを作って、保育園に着てきてくれた園児もいたんです」と顔をほころばせる久呂選手。バレーボールで活躍する“保育園の先生”は園児や保護者にとって「最も身近なヒーロー」なのだ。
「『ナナ先生を見てバレーボールを始めたよ』と園児に言ってもらえるのがひとつの夢。そのためにはプレーもSNSも両方頑張りたいです。卒園した子どものなかで『バレーボールをやりたいけど、近くにバレーボールのチームがないんだ』と言っている子もいました。ぜひビオーレの練習会場に来てもらって、一緒にバレーボールをしている様子を投稿できたらいいな」。
保育士というハードワークをこなしつつ、アグレッシブにバレーボールに励む選手たちからはとんでもない量のエナジーをもらえる。そんな彼女たちの素顔を垣間見られるSNSをフォローし、試合会場に足を運んでみては。

ビオーレ名古屋

保育士や栄養士、看護師、スポーツ指導員を中心に構成された愛知県名古屋市を拠点とする女子バレーボールチーム。令和7年度中部日本6人制バレーボール総合男女選手権大会第4位(6チーム中)。保育とバレーボールの両立を目指し、Vリーグ昇格を目標に活動中。
Instagram:@viorenagoya_vb
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