メ~テレ 横井ゆは菜のフィギュアスケート最前線 第6回

『aispo!』をご覧のみなさんこんにちは!元フィギュアスケーターの横井ゆは菜です。前編に続き、山本草太選手と山下真瑚選手にお話を聞いていきます。
今回はフィギュアスケートを通じた出会いや、共に競技に励んできた仲間たちに対する2人の想いを聞くことができました。ほかにも、意外な一面も知ることができましたので、ぜひご覧ください!

前編をまだ読んでいない人はこちらをチェック!
もしもスケートに出会っていなかったとしたら……
横井ゆは菜(以下横井):最初に2人がフィギュアスケートを始めたきっかけを聞かせてください。
山本草太選手(以下山本):母がフィギュアスケートを観るのが好きだったので、小さい頃から目にする機会が多くて、5歳の時に「やりたい!」と話したのがきっかけですね。
山下真瑚選手(以下山下):私はたまたまテレビに流れていたトリノオリンピックで荒川静香さんが滑っている姿を観て、「まこ、あらからしるかになるー」って言ったらしいんです(笑)。リンクで初めて滑ったのは5歳だったんですけど、それから2年間はずっと雪だるまを作ったりして遊んでいて、グランプリ東海クラブに入って本格的に始めたのは7歳になってから。
横井:子どもの頃はフィギュアスケート以外に何かやりたいことはありましたか?
山本:あまり外の世界に触れないままスケートに入ったので……。小さい頃はマジでスケートしか知りませんでした。
横井:その気持ちわかるなあ。私もずっとスケートをしてきたから、ほかにやりたいことを聞かれてもあまり想像つかない。
山本:たまに大学では、「サッカー部?」って間違われることがあるよ。見た目がサッカー部っぽいらしく(笑)。だから、サッカーもいいなって思う。
横井:確かにサッカー部っぽい雰囲気があるよね(笑)。草太がサッカー選手だった世界線も見てみたい気がするね。もしフィギュアスケートと出会っていなかったら、今頃は何をしていたと思いますか?
山本:じゃあ、サッカーで。
横井:手を抜かないでください!

横井:真瑚ちゃんはどう?
山下:私はスケートをやっていなかったら、弓道がやりたかったなあ。なぜかというと、毎年12月に行われる大会の会場横で弓道の大会が行われていたのが気になって。前からずっとやってみたいなと思っていたんです。それ以外は、巫女さんをやっているか、海外に留学しているか……。
横井:そういえば、真瑚ちゃんはインターナショナルな幼稚園に通っていたんだよね。
山本:英語は話せるの?
山下:発音だけはいいかもしれない。
横井:うらやましい。私は海外に行っても「thank you」と「sorry」しか言えないから。草太も海外の選手と仲良くしている写真をよく見るんだけど、どうやってコミュニケーションを取っているの?
山本:海外の選手は僕が英語を話せないのを知ってくれているから、単語とノリで話してる。写真だったら、「ピクチャー、OK?」みたいな感じで。
山下:そうなるよね。私も幼稚園の頃はしゃべっていたけど、今はパッとは出てこなくなっちゃった。もっと喋る機会を作らないといけないなと思っています。

氷上では一人、でもたくさんの出会いに支えられてきた
横井:長い間フィギュアスケートを続けて、よかったと思うことと大変だったことをそれぞれ教えてください。
山本:氷の上で、自分の感じていることを表現できるところに魅力を感じています。フィギュアスケートは個人競技だから、自分の演技を観てもらえる時間がそれぞれにあるのはいいですね。反対に、試合でミスをしたら全部自分の責任なので、それがプレッシャーになることもある。励まし合って一緒に練習する仲間はいるけれど、試合の時に氷の上に立つのは自分一人なので、それがいいところでもあり大変なところでもありますよね。

山下:私がフィギュアスケートをやっていてよかったと思うのは、いろいろな人と出会えたこと。国内にも海外にもお友だちができたし、山田満知子先生をはじめ、今も教えてくださっているクラブの先生方や小さい頃に教えてくださった先生方……。スイスでの合宿ではステファン・ランビエール先生にも出会えて、今でも「真瑚、久しぶり」みたいな感じでお話ができる。取材してくださるメディアの方もそう。素敵な人にいっぱい出会えたのはフィギュアスケートのおかげだなと嬉しく思っています。しんどいことは、スピンかな。
横井:スピンはきついよね。私も現役時代はよく練習で苦労していました。
山下:私は本当にスピンが苦手なので。
山本:真瑚ちゃんはいつもスピンの練習を撮影して見直しているよね。
山下:うん。頑張っているところなので、「上手くなったね」と言ってもらえると「やったー」って嬉しくなります。

横井:最近悩んでいることはありますか?
山本:何だろう?スケートに関することで?
横井:スケートでもいいし、それ以外の、どんな些細なことでも。
山下:私は毎年自分でプログラムの曲を編集するのだけど、その編集が結構大変。「あと2秒、どこを減らせばいいの?」みたいな感じで苦労しているので、それが悩みかな。
※曲の時間はショートプログラムは2分50秒、フリースケーティングは4分のため
山本:自分で編集をするのはすごいね!僕も含めて大体のスケーターは、どの曲で滑るかは考えるけど、曲の編集は振付師さんやコーチに任せることが多いから。でも確かに「原曲のこの部分を使ってほしかったな」と思うことはあるので、編集を自分でできると満足できる曲に仕上がりそうだね。
横井:頭の中で、ここでこのジャンプを入れようって考えながら編集しているの?
山下:そうそう。イメージして作らないと、後々大変になることがわかってきたから。

山本:真瑚ちゃんの悩みに比べるとちょっと恥ずかしいんだけど、僕は肉ばかり食べてしまうことが悩みかな(笑)。
山下:ご飯は自分で作っているの?
山本:いや、作らない。だから焼肉屋に行きがち。
横井:真瑚ちゃん、焼肉に行きがちな草太に何かアドバイスはありますか?
山下:焼肉に行くなら、鉄分がいっぱい取れるものを食べたらいいんじゃないかな。
横井:草太、レバーは食べられるの?
山本:栄養を気にしてレバーを頼んだりもするけど、やっぱりカルビの方が好きだから、好きなものを頼みがちだよね。

フィギュアスケートを通して培った財産
横井:フィギュアスケーターは大学卒業を機に引退をする選手が多い中で、草太は卒業後も現役を続けているし、真瑚ちゃんも卒業後の現役続行を発表しました。同世代の選手が先に引退していく姿を見てどう感じていますか。
山本:僕の同期は三原舞依ちゃんくらいで、一つ下が山隈太一朗くんと、かおちゃん(坂本花織選手)。今はもう、僕より年上は友野一希くんくらい。試合とか遠征に行った時も3つとか5つとか年下の選手ばかりなので、ちょっと心細いなあと感じることはありますね。だから、一希がいると安心する。
横井:心細いんだ。
山本:うん、やっぱりさみしいよね。
横井:真瑚ちゃんは?まだ現役を続けている同期も多いと思うけど。
山下:私が引退を意識するようになったのは、ゆは菜ちゃんの代が卒業したくらいからで、荒木菜那ちゃんもいなくなって、「あれ?もう真瑚、4年生?」「私が主将なんだ」みたいな感じでした。同い年でずっと一緒に練習していた選手が春にはいなくなるんだと思うと寂しいです。
横井:私の同級生はみんな一緒に引退したから、周りが先にやめていく感覚はわからないんだけど、やっぱり寂しいよね。
横井:まだ先の話にはなるけれど、草太は真瑚ちゃんが引退した後どんなことをしていると想像しますか?
山本:真瑚ちゃんは踊ることや表現することが好きだから、フィギュアスケートの先生や振り付けができそうだなと客観的に見ていて思いますね。
横井:菜那ちゃんの引退セレモニーのプログラムの振り付けをしていたよね。あのプログラム、すごく好き。
仲良しの山下真瑚選手と荒木菜那選手の過去インタビュー記事をチェック!
横井:真瑚ちゃん、草太は引退後にどんなことをしていると思いますか?
山下:私も先生をしている草太くんは想像ができるかな。特に、草太くんはジャンプを教えるのが得意そうだなと思う。論理的に教えてあげられそうだから。でも、スーツを着て仕事している草太くんもイメージもできる。
横井:確かに。草太は昔からスーツだけは似合う。似合いすぎて、高校生くらいから会社員みたいだった(笑)。
山本:会社員のイメージは、見た目の話かな?
山下:そうだね。でも、取引先に行く姿はイメージはできるけど、パソコンで作業しているところはイメージできないかも。

横井:いろいろと将来を想像するのは面白いね。2人が引退後どんなキャリアを歩むとしても、フィギュアスケートで培った経験は必ず生きてくると思います。フィギュアスケートを通じて2人が最も学んだこと、財産は何ですか。
山下:私はメンタルがすごく鍛えられたと感じています。フィギュアスケートを長く続けてきたからこそ、いろいろな人と出会い、自分の意見を言えるようになりました。それによって、多少嫌なことがあっても、物事をポジティブに捉えられるようにもなりました。スケートを引退しても、自分の意見をはっきりと言うことを忘れないように、人と接していきたいと考えています。
山本:先ほども話しましたが、フィギュアスケートは個人競技だから、大会でどうしたら上手くいくかを日々自分の身体と頭で考えなくてはなりません。もちろん、先生のアドバイスや周りの方の支えがあってのことですけど、トレーニングにしろ、食事にしろ、日々の生活にしろ、方法は溢れていて、その中から最後は自分自身で「これだ」と決断して行動しなければいけない。自分で考えたからこそ、上手く行った時は自信になるし、上手くいかなかった時も納得できると思うので。人の考えを素直に聞く柔軟性を保ちながら、最後は自分で決めることが大事だと最近考えるようになりました。
横井:私の場合はがむしゃらに取り組むことの大切さを、フィギュアスケートを通じて学んで、それが今も生きていると実感しています。2人にもフィギュアスケートが教えてくれたことを大切にしながら、これからの自分の道を歩んでほしいです。

こちらの情報もチェック!
ここで皆さんにお知らせがあります。メ~テレで現在、私が取り組んでいる仕事です!
3月20日(木・祝)に、愛知県芸術劇場にて「村上佳菜子のフィギュアスケート音楽会」が開催されます!昨年この公演を観に行きましたが、演奏される曲すべてが聴きなじみのある曲ばかり。先輩方の名演技を思い出しながらの鑑賞は新鮮でしたし、ソリストによる演奏や、歌声には圧倒されました。
曲の合間には、村上佳菜子さんとゲストによるトークもあったので、普段オーケストラのコンサートに行かない私でも、あっという間に感じるほど楽しめました。皆さんぜひお越しください!

『村上佳菜子のフィギュアスケート音楽会』
PROFILE

横井ゆは菜
よこい ゆはな。2000年5月生まれ。愛知県名古屋市出身。2013年のガルデナスプリング杯ノービスクラスで2位となるなど、ジュニアの頃から注目を集める。2018年の世界ジュニア選手権では6位入賞。ジュニアでキャリアを重ね、2019年よりシニアに転向。2022年には目標の一つであった四大陸選手権に出場して7位となった。中京大学卒業と共に引退し、現在はメ~テレのイベントコンテンツ部で日々の業務に励む傍ら、フィギュアスケートの魅力を発信している。
X @yuhachin0519
Instagram @yuhachin

山本草太
やまもと そうた。2000年1月生まれ。大阪府出身。幼少期からフィギュアスケートを始め、中学生時に横井ゆは菜さんと同じ邦和スポーツランドに所属。2018年中京大学に入学、卒業した現在も同大学の「オーロラリンク」を拠点として練習に励んでいる。2024–25シーズンはグランプリシリーズのカナダ大会、フィンランド大会で4位。チャレンジャーシリーズのネーベルホルン杯では優勝を飾った。

山下真瑚
やました まこ。2002年12月生まれ。愛知県名古屋市出身。3歳の時に荒川静香氏のイナバウアーを観て憧れたことからスケートを始める。2021年中京大学に入学、2024年よりスケート部の主将を務める。横井ゆは菜さんは高校・大学で2学年上の先輩にあたる。2024–25シーズンは香港で行われたアジアンオープントロフィー2位、全日本フィギュアスケート選手権6位など輝きを放つ。
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