木瀬部屋 井筒親方が語る、大相撲名古屋場所 プレイバック― 将来性豊かな若手の台頭に注目 ―

IGアリーナの優勝第一号は平幕の琴勝峰
新たに誕生したIGアリーナのこけら落としとして行われた大相撲名古屋場所は、「荒れる名古屋場所」と言われる通り、平幕の琴勝峰が初優勝を飾る波乱の展開で幕を閉じた。
例年とは勝手の違う、新しい環境の中で行われた15日間は力士にとってどんなものだったのか。木瀬部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたっている春日井市出身の井筒親方(元幕内明瀬山)に振り返ってもらった。

「荒れる名古屋」と言われる通り、波乱に満ちた展開に
今やすっかり名古屋の夏の風物詩となった大相撲名古屋場所が、初めて開催されたのは1958(昭和33)年のこと。その後、1965(昭和40)年に新設されたドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)での開催となり、以後約60年の長きにわたって名古屋場所の会場となってきた。
ドルフィンズアリーナの老朽化に伴い、新たにオープンしたIGアリーナでの開催となった今年の名古屋場所は、場所前に大の里が第75代横綱に昇進するなど、話題に事欠くことなく、連日満員御礼になるなど、多くの観客で盛り上がりを見せた。
「支度部屋から土俵への導線など、ドルフィンズアリーナで行われていた時と比べて全く違っていたので、違和感を覚えていた力士も少なくなかったようです。『ドルフィンズアリーナより涼しくて良い』と好意的な感想や、『名古屋場所(本場所)ではなく、地方巡業に来ているみたい』といった感想が聞こえてきました」と井筒親方。
今年の名古屋場所に関しては、新しい環境にいち早く慣れることが、優勝争いの大きなポイントになったのではないかと振り返る。
今場所は豊昇龍と大の里の、2人の横綱が東西の番付に揃い、彼らを中心に優勝争いが繰り広げられることが予想されたが、豊昇龍は怪我の影響で5日目から休場。新横綱の大の里は4つの金星を配給して早々に優勝争いから脱落するなど、予想とは大きく反する結果となった。
「この時期の名古屋はとても暑く、体調管理が難しい上、新アリーナへの順応が必要になったため、例年以上にコンディションを整えることが難しかったのかもしれません」。

ウクライナ出身の安青錦の戦いぶりを絶賛
2横綱に加えて大関・琴櫻や関脇の霧島、若隆景ら番付上位の力士の勝ち星が軒並み伸び悩む中で、土俵を大いに沸かせたのは前頭15枚目の琴勝峰だった。4日目と5日目に連敗して3勝2敗となった後は勝ちっぱなしで、プレッシャーのかかる終盤戦も、落ち着いて前に出る取り口で白星を重ね、見事に主役の座へと上り詰めた。
「来場所以降は横綱や大関も黙ってはいないでしょう。琴勝峰も番付が上がって上位の力士との対戦が増えますし、そこで彼の真価が問われると思います。体が大きくて将来性の豊かな力士なので、さらに一皮も二皮もむけてもらいたいですね」
【2024年に琴勝峰にインタビューした際の記事はこちら】
今回の名古屋場所では琴勝峰のほか、前頭筆頭の安青錦、同8枚目の一山本、同14枚目の草野といった若手に加え、ベテランの玉鷲が史上最年長の40歳8カ月で殊勲賞を受賞するなど、伏兵と呼ばれる力士の活躍が目立った。
中でも井筒親方の目を引いたのが安青錦だ。ウクライナ出身の21歳は、3日目に豊昇龍から初の金星を挙げるなど11勝4敗の好成績を残し技能賞を獲得した。初日の琴櫻戦と5日目の霧島戦の決まり手が内無双だったことを井筒親方は絶賛。
「最近あまり見かけない技を決めることができたのは、安青錦がしっかり稽古をして、相撲を熱心に研究している証拠。まだ若いし、さらに精進してもらいたい」とエールを送った。

広くて快適なIGアリーナで楽しもう
最後に井筒親方自身のIGアリーナに対する感想を聞いた。
「アリーナ自体がとても広く、升席のサイズも大きくなってお客様はゆっくりと観戦できたのでは。空調が効いていて涼しかったので、快適さも増したのではないでしょうか。地下鉄の駅を降りてすぐなど、アクセスも良いので、今年行きそびれてしまった人は、来年こそはぜひ足を運んでみてほしいと思います。力士も新しい環境に慣れるはずですし、今年以上に白熱した相撲が見られるのでは」
来年はどんな展開が待ち受けているのか。1年後が待ち遠しくて仕方がない。

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