今年のフィギュアは”ここ”がアツい!
横井ゆは菜的ココ見て選手権

日本の強さを見せつけた1年でした!
『aispo!』をご覧の皆さんこんにちは!元フィギュアスケーターの横井ゆは菜です。時が経つのは早いもので、私も社会人3年目になりました。3年目にして初めて「悩む」という経験をしました。競技人生の中でも壁にぶち当たることはありましたが、悩んだか?といったらそうでもなかった私ですが、仕事で悩んで、初めて「人に相談する」ことを知りました。もっと人と関わって、成長していきたいです!
さて、フィギュアスケートの今シーズン(2024-25シーズン)は4月の国別対抗戦をもって幕を閉じましたが、この1年は日本勢の強さが顕著に表れたシーズンだったように思います。特にグランプリシリーズは常に日本人選手が表彰台に乗っていて「ほら!日本選手強いでしょ!?」と、私は見ているだけなのに鼻高々でした!
何より誰がトップに躍り出てもおかしくない、高いレベルで実力差があまりない点が日本勢の強さだと思います。シニアは経験に裏打ちされた円熟味が増してきて、ジュニアはフレッシュな勢いのある選手が揃っています。

ミラノ五輪で最大枠獲得!
底力を見せた男子フィギュア
2026年のミラノ・コルティナ冬季オリンピックの出場枠を懸けた世界選手権では、日本男子勢が底力を見せつけました。
鍵山優真選手と佐藤駿選手はこれまでにもグランプリシリーズなどで活躍していましたが、壷井達也選手は「自分が足を引っ張るわけにはいかない」とものすごいプレッシャーの中で挑んだ大会だったと思います。
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彼とは昔同じクラブで練習していて、たっちゃんと呼んでいました。グランプリシリーズに出るような選手はだいたい小学生のうちにダブルアクセルを習得するのですが、たっちゃんはどちらかというと技の習得が遅い方で3、4年練習し続けて中学生でやっと跳べるようになったくらい。
そのたっちゃんが世界選手権で枠取りに貢献してるなんて!と、もはや親戚のおばちゃんのような気持ちです。この重圧に耐えた彼はきっと一回りも二回りも成長しているはずです。そんな中で迎える五輪シーズン。期待が高まります!
今や日本のエースと言っても過言ではない鍵山優真選手。2023-24シーズンまでは4回転が3本の構成でしたが、今シーズンではジャンプの本数と種類を増やしています。オリンピックを見据えて、あともう一つ壁を越えたい、アメリカのイリア・マリニン選手に勝ちたいという思いがひしひしと伝わってきました。

日本には他にも佐藤駿選手、三浦佳生選手、友野一希選手、山本草太選手など注目の選手が揃っています。これは男女問わずですが、今シーズンはオリンピックを見据えて難しいジャンプに挑んでみたり、チャレンジングな構成や選曲など、さまざまな挑戦が多くみられました。来シーズン(2025-26シーズン)は、オリンピックの出場権を獲得するためにも、挑戦だけでなく得点を取って勝ちに行くという「ガチ感」が伝わるシーズンになるのではないかと思います。

【オリンピックにかける思いが伝わる!山本草太選手の特集YouTubeはこちら】
日本女子フィギュア史上過去最高!?
超ハイレベルな実力派勢ぞろい!
今シーズンを振り返ると、女子のレベルが一気に底上げされたと思います。グランプリシリーズは日本女子過去最多の8人が表彰台に登っているんです!日本の女子選手は誰もが強いと証明されましたね。
全日本選手権4連覇を成し遂げた坂本花織選手は疾走感と迫力あるジャンプが魅力ですが、今シーズンはそこに変化も加えてきています。今まで選ばなかったような曲や息つく暇もないようなアップテンポの構成などです。
コレオシークエンス(曲の表現を重視した要素)の後に、跳びにくいコースでトリプルルッツを跳んでいるのを見て、あえて難しいことに挑戦し、今後余裕を持てるようにしているんだなと感じました。
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最初から難しいコースで練習しておけば、本番で練習と違うコースでジャンプに入ってしまっても対応できますよね。
オリンピックシーズンはみんな自分の持ち味が発揮できるような得意分野で勝負をしてきます。難しいコースからの踏み切りに慣れておくことや、演技の幅を広げるようなプログラムは、得意分野で挑むときにより自信を持つための施策なのではないかと睨んでいます!
樋口新葉選手は1年の休養を経てグランプリシリーズデビューから10年目を迎えます。復帰後、世界のトップレベルまで戻ってきたこと自体がすごいことなのに、元来のセンスとその努力が掛け合わさり成熟した彼女の強さに注目です。
松生理乃選手はブレードと氷の摩擦を一切感じさせないスケーティングにぜひ着目してください。「え?浮いてる?」というくらいのエアリー感が存分に発揮されているのが、今シーズンのプログラムです。フリーでは片足でスーッと円を描くように滑るのですが、それが鳥肌ものなんです!

ただ片足で滑るだけで感動させられる選手は稀です。ジュニア3年目あたりから一気にジャンプの精度も上がり、着実に実力と実績を積み上げてきているので来シーズンは飛躍の年になるのではないでしょうか。

5年前の松生理乃選手の記事はこちら
私も出場した2018年の世界ジュニアで3位だった山下真瑚選手は、シニアデビューした年にグランプリシリーズ初出場で2位と、トントン拍子ともいえるペースで実績を積んだ後、苦戦のシーズンを強いられました。
しかし、ここ最近は復調してきてシーズン後半の国際大会では表彰台にも乗っています。たまたまグランプリシリーズに出ていないだけで、実力的には世界トップレベルに遜色ないんです。ミラノも十分狙えます。

【山本草太選手と山下真瑚選手にインタビュー】
冬季オリンピックのフィギュアスケート出場枠はたったの3枠。その時の調子や巡り合わせのピースに当てはまった選手が選ばれることも少なくありません。果たして誰が選ばれるのか!?今からドキドキしています!
IGアリーナオープン、ミラノ五輪開幕
ますます盛り上がる日本フィギュア
これだけ日本フィギュアが強くなったのは、20代の選手がすごく活躍していることが関係している気がします。ジュニア時代に目立った成績を残していない渡辺倫果選手や住吉りをん選手も努力し続けた結果、シニアになって花開きました。
壁にぶち当たっても諦めずに頑張り続けた選手たちが築いた選手層の厚さなんじゃないかな。それを見ているジュニアの上薗恋奈選手、和田薫子選手、岡田芽依選手らがまた、時にはうまくいかなくても努力し続けたら壁が越えられるという自分への期待を持ちながら頑張れると思います。
【上薗恋奈選手も登場!みなとアクルス杯観戦レポート】
シングルで活躍していた島田高志郎&櫛田育良選手のアイスダンスカップル誕生という衝撃ニュースも飛び込んできました。表現力とスケーティングスキルに長けている二人がどんな演技を見せてくれるのか、期待度マックスです!
ミラノ五輪を控える2025-2026シーズン、日本フィギュア界はますます盛り上がりを見せてくれることでしょう。前哨戦となるグランプリファイナルはいよいよオープンするIGアリーナで開催されます!そこで活躍した選手が日本代表になるのか、はたまたダークホースが登場するのか!?これから先の日本フィギュア界にワクワクが止まりません!

PROFILE
横井ゆは菜
よこい ゆはな。2000年5月生まれ。愛知県名古屋市出身。2013年のガルデナスプリング杯ノービスクラスで2位となるなど、ジュニアの頃から注目を集める。2018年の世界ジュニア選手権では6位入賞。ジュニアでキャリアを重ね、2019年よりシニアに転向。2022年には目標の一つであった四大陸選手権に出場して7位となった。中京大学卒業と共に引退し、現在はメ~テレのイベントコンテンツ部で日々の業務に励む傍ら、フィギュアスケートの魅力を発信している。
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Instagram @yuhachin
aispo!マガジン最新号
2025 / vol.47
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