愛知県スポーツ局スポーツ振興課
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THE FACE of aispo! 表紙の顔#2
名古屋グランパスエイト GK ミッチェル・ランゲラック

「最後に責任を取るポジション」

 ゴールキーパーの楽しさとは?とインタビューで尋ねた時、ミッチェル・ランゲラックは苦笑いを浮かべて答えた。「喜びが少ない、というか喜びを表せるようなポジションではないと言った方がいいかな。攻撃の選手はリスクを冒してトライできるけど、ゴールキーパーは最後に責任を取らなければいけないポジションだから」。

 昨季まで19年間、グランパスのゴールマウスには楢崎正剛が君臨し続けた。現日本代表の川島永嗣らライバルを寄せ付けず、リーグ戦通算630試合のうち556試合に出場。その絶対的守護神に次いでGKを任されたのは、1992年から94年までプレーしたディド・ハーフナー以来となる外国人GKだった。

新天地・名古屋での挑戦

 愛称「ミッチ」のサッカーヒストリーはオーストラリア東部の「本当に小さな町」(本人談)から始まる。サッカーだけでなくラグビー、クリケットを楽しみ、サッカーに専念したのは13歳の時。恵まれた体格と高い能力で、先日、本田圭佑選手が移籍を決めたことでも知られるメルボルン・ビクトリーと18歳でプロ契約。活躍が認められドイツに渡ると、ヨーロッパチャンピオンズリーグの大舞台にも立ち、母国を代表してブラジルワールドカップにも招集された。
 まったく予期していなかったという新天地は、攻撃サッカーを志向する風間監督率いる名古屋グランパス。ボールをつなぎ、前掛かりにゴールを狙うスタイルだが、その代償として、ボールを奪った相手の速攻にさらされたゴールキーパーが1対1で対峙することも少なくなかった。「負けず嫌いの塊」は、為す術のない失点に端正なマスクを歪ませ、やり場のない怒りをぶつける日々が続いた。
 新戦力を加え、グランパスは「反攻の夏」を迎えた。7月22日。首位サンフレッチェ広島との対戦で3度のスーパーセーブ、0-0のドローに持ち込むと、ミッチは試合終了とともに珍しく両手を突き上げた。「皆さんはスーパーセーブと言うかもしれないが、僕にとってはこれが仕事。今日はチームを助けられたよ。」グランパスの歴史に名を刻む新守護神。J1残留を願うサポーターの思いを背負い、勝利のために守り続ける。

文=佐藤芳雄
中日新聞社出版部「月刊グラン」編集部員。専門誌時代にJリーグ開幕に伴うフィーバーやアメリカワールドカップ取材を経験。20年前には大分トリニティ(現大分トリニータ)の広報も。グランパスのトップや下部組織、名古屋オーシャンズを追い、国内外を旅するアラフィフ。

名古屋グランパスエイト
ミッチェル・ランゲラック
(オーストラリア代表)

PROFILE
1988年8月22日生まれ。オーストラリア・クイーンズランド州出身。オーストラリア国内リーグを経て2010年にドイツのボルシア・ドルトムントに移籍。スペインのクラブを経て2018年、グランパスに完全移籍。2014年ブラジルワールドカップではオーストラリア代表として選出された。193センチ、84キロ。



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