愛知県スポーツ局スポーツ振興課
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SPORTS JOURNALIST’S COLUMN

愛知県のチームや選手を追いかけている 各スポーツのスペシャリストが、 独自の視点でその近況を語る

SOCCER 和泉竜司

苦戦は急激な若返りの反動か キーマンに推したいのは……

 11節の浦和戦に勝利して以降、13戦して1勝(5分7敗/8月25日時点)。風間八宏監督が率いて3年目の名古屋グランパスが苦しんでいる。「苦境を抜け出すためのキーマン」について考えてみたが、いやはや考え出すとキリがない。12試合もゴールから見放されていたジョー、例年のような躍動感が失われているガブリエル シャビエル、怪我から戻ってきたエドゥアルド ネットの復調は必要不可欠で、貴重な切り込み役の前田直輝、最終ラインで奮闘する中谷進之介らも後半戦へ向けて浮上の鍵を握る存在と言えるからだ。
 そもそも多くのタレントを揃えているのに、なぜ黒星が先行しているのか。原因はひとつに絞れないが、個人的にはここ数年でのチームの急激な若返りの反動が生じているのではないかとも感じている。その点、先日、風間監督がかつて率いた川崎フロンターレの記者と話す機会があったが、彼はこんなことを口にしていた。「名古屋との違い?当時のフロンターレも色々と混乱した時期はあったけど、ケンゴやヨシトがいたのが大きかったね」。ケンゴとはフロンターレ一筋の司令塔、中村憲剛のことで、ヨシトとは当時のエースFW大久保嘉人(現在はジュビロ磐田でプレー)のことである。共にカリスマ性があり、苦しい時は彼らがチームをまとめ、牽引してきたのだ。
 翻って今のグランパスは若手と、ここ数年で加入した選手が主で、キャプテンの丸山祐市は負傷でしばらく戦列を離れ、先日復帰したばかり。クラブと共に酸いも甘いも経験してきた“重鎮”が不在であり、副キャプテンのジョーは模範的な選手だが、言葉の壁が存在する。
 さて前置きが非常に長くなってしまったが、その状況下で期待したいのが、レギュラー陣では唯一の生え抜きで、所属4年目の和泉竜司だ。相手を外す動き、逆を取るトラップは抜群で、マジメな好青年でもある。彼がチームの顔として自覚を持ち、周囲に影響を与えられる存在になれば、よい風が吹くはずだ。


PROFILE
いずみ りゅうじ。
1993年生まれ、三重県出身。2016年、名古屋グランパスに加入。これまで、サイドバックやボランチ、ウイングなど数多くのポジションを務め、高い技術と適応力を証明した。今年は主にサイドハーフとして出場している。

文=本田健介
専門誌「サッカーダイジェスト」の副編集長。同誌では名古屋グランパスなどを担当し、昨年はグランパスの奇跡のJ1残留や、川崎フロンターレのリーグ連覇などを取材。また日本代表の担当でもあり、今年はUAEで開催されたアジアカップや、ブラジルで行なわれたコパ・アメリカを現地取材した。



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