the FACE of aispo! 表紙の顔#7 バレーボール男子 日本代表 石川祐希
©JVA2019-11-008
海外でのプロ生活で判断力に磨き
今年10月に行われた東京2020オリンピックの前哨戦、FIVBワールドカップバレーボール2019で男子日本代表は過去最高の8勝を挙げ、28年ぶりとなる4位と躍進した。19歳の新鋭・西田有志の躍動が光ったが、それを引き出したのは海外で培った実力を随所に発揮した石川祐希だ。
初戦のイタリア戦。序盤から打点の高いスパイクで得点を量産していた石川は、第2セット終盤、バックアタックを打つと見せかけて、ライトに素早くトスを上げる意表をつくプレーを見せる。これを西田がフリーで叩き込み、会場のボルテージは最高潮に達した。
この試合で石川はチーム最多の19得点を挙げただけでなく、瞬時の判断力で周りを活かして試合をオーガナイズ。イタリアで1年間のプロ生活を過ごした日本のエースは、ひと回りたくましいプレーヤーに成長して男子日本代表に帰ってきた。
日本の勝利のために進化を続ける
「海外で戦うことで、日本代表に戻った時、海外の選手を相手にどのような戦い方をすればよいのかを学んでいる」。石川は常々こうした言葉を口にする。自分自身の技術向上だけではなく、常にそこでの経験を日本バレーのために持ち帰ろうとする姿勢が素晴らしい。
ワールドカップの期間中、「2mを越える海外の壁に対抗するには、ストレートで逃げることも有効ではないか」と声を掛けたところ、石川は「そこは今回勉強しなければいけない部分」と話し、ブロックの隙間から針の穴を通すようなストレートスパイクに積極的にチャレンジしていた。このように人の意見に耳を傾け、学び取ろうという成長意欲と実行力こそが、石川をより高みに導いているのだろう。
東京2020でメダルを穫るためには、選手個々が実力を発揮し、それを石川が統括できるのかがカギとなる。大げさではなく、石川の出来でチームが決まる。今季もセリエAで吸収し、半年後のオリンピックでいかに成長した姿を見せてくれるのか非常に楽しみだ。石川祐希ならやってくれると期待したい。
PROFILE
1995年生まれ、愛知県岡崎市出身。小学4年生からバレーをはじめ、星城高等学校では史上初の2年連続高校3冠(インターハイ・国体・春高バレー)に貢献。中央大学1年生だった2014年に男子日本代表入りし、大学に籍を置いたまま同年イタリア・セリエAのモデナへ短期留学。大学卒業後はプロ選手として活動し、2019/20シーズンからはセリエAのキオエネ・パドバに所属する。ポジションはアウトサイドヒッター。
語り=青山 繁
1969年生まれ、愛知県名古屋市出身。中京高等学校(現中京大学附属中京高等学校)、法政大学を経て、富士フイルムバレー部でレフトとして活躍。1992年のバルセロナオリンピックに出場したほか、世界選手権、ワールドカップなど、数々の国際大会に出場した。2002年に東レアローズに移籍し、2006年現役を引退。現在は中京大学バレーボール部の監督を務める傍ら、バレーボール解説者としても活動する。中京大学体育学研究科修士課程修了。
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