愛知県スポーツ局スポーツ振興課
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SPORTS JOURNALIST’S COLUMN

愛知県のチームや選手を追いかけている 各スポーツのスペシャリストが、独自の視点でその近況を語る

GYMNASTICS 寺本明日香

写真提供:ゲッティ イメージズ

情熱のままに歩み続ける 体操日本女子の“小さな巨人”

 身長142cmの小さな身体のどこに、あの重圧を跳ね返すパワーを潜めていたのだろうか。今秋にドイツで行われた世界体操競技選手権大会。日本女子の主将を務めた寺本明日香は、決して落とすことのできない東京2020の団体総合出場権獲得に向かって、全エネルギーを捧げて演技を行った。大会前に痛めていた足首はまだ万全ではなかったが、不安をすべて飲み込み、走り、跳び、舞った。その結果、日本は予選11位となり4大会連続でオリンピックの団体総合の切符を獲得。みんなの夢を必死につないだ寺本の目に、涙が浮かんだ。
2011年、高校1年生の時に世界選手権に初出場し、以後はオリンピックを含めて9年連続で世界大会に出場中。2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、日本女子として52年ぶりの個人総合入賞を果たしており、今では世界中の選手から一目置かれる存在だ。
 出場すれば寺本にとって10度目の世界大会となる東京2020では「団体でメダルを目指します」と宣言している。リオオリンピックで日本女子団体は4位。現在の実力は、世界大会で2011年から連続優勝中の米国が抜きんでており、ロシアが続くが、今年の世界選手権で予選8位だったイタリアが決勝で3位に躍進するなど、銅メダル争いは混沌としている。寺本は、「本番は何が起こるか分からない。3位以下は僅差なので出来栄え次第でメダルも取れる」と前を向く。
12月14日(土)・15日(日)には各国のトップ選手が一堂に集う2019豊田国際体操競技大会があり、寺本も出場予定だ。本大会は1年の締めくくりとなる試合であり、来年に向けて試しておきたい新しいことにチャレンジできる場でもある。「東京までの私の課題は床運動」と話す寺本が、一歩先の取り組みを見せてくれるかもしれない。


PROFILE
てらもと あすか。
1995年生まれ、愛知県出身。6歳の頃から体操を学び、数々のジュニア大会で輝かしい成績を残す。2011年よりシニアに転向、2度のオリンピック出場や3度のNHK杯体操優勝など、体操日本女子を牽引する。ミキハウス/レジックスポーツ所属。

文=矢内由美子
北海道生まれ。北海道大学卒業後にスポーツニッポン新聞社に入社し、オリンピック、サッカーなどを担当。2006年に退社してフリースポーツライターになった。オリンピックは夏と冬を合わせて7大会を取材。文藝春秋『Number』でコラム「オリンピックロード」を連載中。

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