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the FACE of aispo! 表紙の顔#9 中日ドラゴンズ 内野手 石川昂弥

ビッグマウスが竜を変える

 「1年目から一軍でプレーする。二軍でやるつもりは一切ない」「目標は三冠王です」。
 そう、ファンはこういう選手を待っていた!愛知県半田市出身。3球団競合の末、与田剛監督が見事当たりクジを引き当てた、中日ドラゴンズ期待のドラフト1位ルーキー・石川昂弥。身長185㎝・体重93kg。身体もでかいが、言うこともでかい。これまでのドラゴンズの若手達は、わりと大人しい選手が多かった。チームが「地味」と言われる所以だが、石川はそんなイメージを払拭してくれそうな“大物感”が漂っている。
 小学2年生から少年野球チーム「ツースリー大府」で野球を始め、6年生で「ドラゴンズジュニア」に選抜。ボーイズリーグの「愛知知多ボーイズ」でプレーした中学時代には、野茂英雄氏が総監督を務める「NOMOジャパン」のメンバーに選ばれ、米国遠征も経験した。東邦高等学校では、1年生の春からベンチ入りを果たし、3年時の春のセンバツでは投手として5試合に先発し全勝。打っても3本塁打を放ち、母校を30年ぶりの優勝に導いた。
 若くして大舞台慣れしていることが、10代と思えない風格を醸し出している理由だと思うが、しっかり結果を残していることにも注目したい。これは本人の“目的意識の高さ”によるものだろう。

三冠王・落合博満との共通点

 入団前から口にしている「三冠王」も、石川は本気で狙っている。しかも「10年後に」と目標設定も明確だ。それは実現するのだろうか?キャンプや実戦で石川の打撃を実際に見た評論家陣は、皆一様に「モノが違う」と言う。特に評価が高いのは、右打者でありながら「右方向に打つ技術」をすでに身に付けていることだ。3年春のセンバツ決勝で打った2発は、バックスクリーン右と、右中間だった。ただ力任せに左方向へ引っ張るのではなく、状況によっては逆らわず右方向へ……。この懐の広い打撃は一朝一夕で身に付くものではない。
 広角に打ち分ける長距離砲といえば、思い出すのが「ミスター三冠王」落合博満ドラゴンズ元監督。石川との共通点は「道具へのこだわり」だ。落合氏は現役時代、新品のバットを少し握っただけで「いつもより少し太いな」とコンマ1㎜の狂いを指摘した逸話がある。石川は侍ジャパンの四番・鈴木誠也(広島東洋カープ)のバットをベースにしたモデルを使用しているが、「グリップエンド、1㎜ 細くなりませんか」と、メーカー担当者に注文したというから凄い。驚いたのは、福岡ソフトバンクホークスとの練習試合の際、初対面の内川聖一や柳田悠岐にお願いして、愛用のバットを譲ってもらっていたことだ。もちろん研究材料にするためである。
 さらに上を目指すためなら物怖じせず、行動に移せる図太さも新人離れしている。こういう積極性、貪欲さがドラゴンズを変えてくれると私は信じている。三冠王に向かって突き進む石川昂弥のこれからに注目したい。

2020年のプロ野球が、
ついに開幕の時を迎える!

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開幕が延期されていた今年のプロ野球だが、6月19日(金)に開幕されることが決定!ドラゴンズのホーム開幕戦は6月26日(金)からの広島東洋カープとの3連戦。当面は無観客試合となるが、ドラゴンズナインに声が届くように自宅から応援しよう!

プロ野球2020 セントラルリーグ公式戦

6月26日(金)・27日(土)・28日(日)
中日ドラゴンズvs広島東洋カープ
会場:ナゴヤドーム
HP→http://dragons.jp/


PROFILE
石川昂弥。2001年生まれ。愛知県半田市出身。小学2年生から野球を始め、地元のクラブなどで活躍。東邦高等学校時代は2年生から主将を務める。2019年の第91回選抜高等学校野球大会では全5試合に先発して勝利投手となり、3本塁打も記録。チームの優勝に大きく貢献した。同年「2019WBSC U-18ワールドカップ」のメンバーに選出される。2019年、ドラフト1位ルーキーとして中日ドラゴンズに入団。二軍練習試合で本塁打を放って一軍昇格を果たすなど、早くも大器の片鱗を見せている。


文=チャッピー加藤
1967年生まれ。愛知県名古屋市出身。上智大学卒。構成作家・ライター。ドラゴンズ戦は中日球場時代から観戦。「野球は球場で観るもの」をモットーに14年連続、全12球場で公式戦を生観戦(継続中)。ラジオ番組の構成を手掛けながら、毎年、ドラゴンズの日程に合わせて北海道から沖縄まで全国を飛び回っている。『月刊ドラゴンズ』に竜党ライター仲間とグッズを考える会議を連載中。共著『ドアラドリル』(東京ニュース通信社)。
Twitter @chappykato

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2023 / AUTUMN vol.38

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