
the FACE of aispo! 表紙の顔#11 ジェイテクトSTINGS オポジット 西田有志

写真提供:ジェイテクトSTINGS
2019年のW杯で大ブレイク
ドキドキよりワクワクといったところか。ベンチで出番を待つ表情は、まるでジェットコースターの順番を待つ少年のようにキラキラと輝いていた。2018年1月6日(土)の堺ブレイザーズ戦でV・プレミアリーグ(現V1リーグ)史上最年少で公式戦デビュー。途中出場ながら15本のスパイクを放ち、10本を決めた。翌日のJTサンダーズ広島戦はフル出場し、チーム最多の26得点。所属するジェイテクトSTINGSは敗れはしたが、話題をさらったのは17歳の高校生、西田有志だった。高校卒業と時を同じくして日本代表「龍神NIPPON」に初選出された西田。飛躍のきっかけは、ベストサーバーとベストオポジットを受賞した2019年のワールドカップだ。カナダとの最終戦。第5セット、9–9でサーブが回ってくると、強烈なスピンがかかったボールで何度も相手を吹っ飛ばした。怒涛の6連続得点でゲームセット。そのうちの実に5点が西田のサービスエースであり、圧巻のパフォーマンスを世界に見せつけた。8勝をあげた日本は、28年ぶりの4位と躍進した。ワールドカップから11日後に開幕した2019-20シーズンのV1リーグの様相は一変した。日本代表の若きエースの姿を見ようと入場口は開門前から長蛇の列。背番号「14」が入ったグッズはすぐに売り切れに。西田がウォーミングアップでスパイクを打つだけで、スタンドからどよめきがあがった。快進撃を続けたジェイテクトSTINGSは、2位でレギュラーラウンドを突破。ファイナルでパナソニックパンサーズを下すと、チームは令和初のチャンピオンに輝く。西田の最高殊勲選手賞受賞に異を唱える者などひとりもいなかった。

写真提供:ジェイテクトSTINGS
肉体改造でパワーアップ
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、東京2020は1年後に延期される中、西田は肉体改造に励んでいた。前年よりウエイトトレーニング時に使用する重りの重量を20〜30kg上げ、それに伴って筋肉量が増加し、体重も5kg近く増えたという。Tシャツは2XLから3XLにサイズアップ。サーブのスピードは以前よりも4〜5km/h上がり、最速127km/hに達した。「ジャンプ力も上がっているし、ボールに対する力の入り方も変わったと実感しています。体幹もブレにくくなりました。相手のブロックにスパイクが当たっても、ボールがコート外に飛んでいく確率が増えて、自分の中で成長を感じています」とトレーニングの成果を語る。
体調を管理するために自炊もはじめた西田。「そこが自分の中で一番大切にしているところ。身体が疲れている時は何を食べたらいいのか、トレーニングをした後はどんな栄養素を摂ればいいのかを考えています」。
今年10月17日(土)に開幕を迎えたV1リーグ、西田にとって20歳で4年目のシーズンとなる。無邪気だった少年は精悍さが漂う大人へと成長した。奈良で行われた東レアローズとの開幕戦は、サービスエース3本を含めて両チーム最多の39得点。肉体改造で進化を遂げた豪腕で、ファンの度肝を抜いた。「お客さんが入った中で久しぶりにバレーボールができて、心の底から楽しかったです」。コートを背にして、ボールを高く放り投げる。サーブを打つ前のルーティンだ。これで会場の空気が引き締まる。そして、ボールを持った右手を伸ばし、鋭い視線で照準を定める。その先に見据えるのは、対峙する相手か、それとも光り輝く自身の未来だろうか。
CHECK!
大のカラオケ好き!
主将に歌をプレゼント

写真提供:ジェイテクトSTINGS
開幕戦の試合後、勝利者インタビューで西田は美声を響かせた。その日が29歳の誕生日だった主将の本間隆太に即席でバースデーソングをプレゼント。コロナ禍で声を出した応援が禁止されているため、スタンドのファンに「ハリセンをたたいて手伝ってください!」と呼びかけた。大のカラオケ好きで、好きな曲はザ・ブルーハーツの「人にやさしく」。自粛期間中は「自宅カラオケ」にハマっていたそうだ。
文=岩本勝暁
大阪府出身。2002年からフリーランスのスポーツライター&フォトグラファーとして活動を開始する。バレーボールやビーチバレー、サッカー、競泳などのオリンピック競技からセパタクローまで幅広く取材。2004年のアテネから2016年のリオまで、夏季オリンピックを4大会続けて現地で取材した。V・プレミアリーグに昇格した2013-14シーズン以降、ジェイテクトSTINGSのすべての公式戦を現地で取材している。
Twitter @katsuakiiwamoto
V1リーグ
1/22(金)~23(土)
vs ウルフドッグス名古屋
会場 豊田合成記念体育館エントリオ
2/27(土)~28(日)
vs FC東京
会場 ウィングアリーナ刈谷
PROFILE
にしだゆうじ。2000年生まれ。三重県出身。姉・兄の影響で5歳からバレーボールをはじめる。海星高等学校時代はU-19日本代表に選出、第11回アジアユース男子選手権大会に出場した。高校在学中の2018年1月にV・プレミアリーグデビュー。日本代表「龍神NIPPON」にも選出され、2019年のワールドカップではベストサーバーとベストオポジットに選ばれる。ジェイテクトSTINGSでも強烈なスパイクとサーブを武器に、2019-20シーズンのVリーグ初優勝に貢献。最高殊勲選手賞(MVP)、得点王、サーブ賞、ベスト6を獲得した。最高到達点は350cm。186cm、87kg。
HP www.jtekt-stings.jp
aispo!マガジン最新号

PickUp記事
-
ジェイテクトSTINGS…
ドキドキよりワクワクといったところか。ベンチで出番を待つ表情は、まるでジェットコースターの順番を待つ少年のようにキラキラと…
aispo! 表紙の顔2020/12/07
-
個性を輝かせチームを…
名古屋市を本拠地とする女子卓球リーグチーム、トップおとめピンポンズ名古屋。1年目の2018-2019シーズンこそリーグ最下位での…
特集記事2020/12/07
-
豪快なスタートダッシュに…
両手で1本のオールを持つスウィープと、両手に1本ずつのオールを持つスカルに大別されるボート競技。1人乗り、2人乗り、4人乗り…
アス友2020/12/07
-
デンソーエアリービーズ
デンソーエアリービーズ広報担当の福島美花です。SNSに力を入れて、選手達の頑張る姿を発信していきます。また元選手としての経験を…
こちら広報担当です!2020/12/07
-
デンソーエアリービーズ…
デンソーエアリービーズのホームタウンパートナーである西尾市。特許庁の地域ブランドにも認定されている「西尾の抹茶」や…
おすすめスポット2020/12/07
-
5年目のBリーグ 三者三様…
プレッシャーと戦うことはプロスポーツ選手にとっては当たり前のことだが、彼ほど周りから様々なプレッシャーを受けるバスケ選手は…
aispo! 表紙の顔2020/10/05
-
女子ハンドボール界の…
8月29日(土)に開幕した第45回日本ハンドボールリーグ。会社が社員の部活動として行っている実業団チームが多い中で、名古屋市…
特集記事2020/10/05
-
“成長の階段に終わりは…
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、3月からの前半戦が中止となっていた日本女子ソフトボールリーグが、9月5日(土)に…
アス友2020/10/05
-
三遠ネオフェニックス
Bリーグ三遠ネオフェニックス広報担当の石橋かおりです。今シーズンは注目選手が入団したほか、オフのトレーニングでレベル…
こちら広報担当です!2020/10/05
-
三遠ネオフェニックス…
三遠ネオフェニックスのホームタウン・豊橋市。NHK連続テレビ小説『エール』の舞台でもあり、魅力溢れるスポットが盛りだくさん…
おすすめスポット2020/10/05
-
中日ドラゴンズ 内野手…
「1年目から一軍でプレーする。二軍でやるつもりは一切ない」「目標は三冠王です」。そう、ファンはこういう選手を待っていた!愛知県半田市…
aispo! 表紙の顔2020/06/15
-
さらなる進化を遂げた…
4年連続でレギュラーシーズンベストファイブ、ベストFT成功率賞に輝いた日本が誇る生粋のシューター・金丸晃輔選手。苦悩と進化のシーズンの…
特集記事2020/06/15
-
東京2020をステップに…
およそ1年前、若手の登竜門と呼ばれるトゥーロン国際大会で日本代表に初召集された名古屋グランパスのFW相馬勇紀選手。2019年6月12日…
アス友2020/06/15
-
トヨタ自動車ヴェルブリッツ
トヨタ自動車ヴェルブリッツの広報担当、山﨑弘樹です。私は元々、ヴェルブリッツの選手でしたが、現在はチームの活動内容や選手達の魅力の発信など…
こちら広報担当です!2020/06/15
-
Bリーグ史上最年少デビュー…
「自信がなかったら挑戦してない。でもそれは、B1でプレーが通用するという自信ではなく、どんな壁にぶつかっても挑戦し続けるという自信です」…
COLUMN2020/03/31
-
愛知・豊田にラグビー…
2019年、世界中が注目した「ラグビーワールドカップ2019」。「ONE TEAM」をスローガンに、史上初のベスト8進出を果たしたラグビー日本代表…
COLUMN2020/03/13
-
東京2020オリンピック…
来たる東京2020オリンピックを前に、注目度が高まりつつあるビーチバレー。トヨタ自動車ビーチバレーボール部GM兼監督の川合俊一さんへの取材は…
COLUMN2020/03/10
-
世界中で人気を博す…
2019年9月15日(日)に行われたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)。二度目のマラソンとなった鈴木亜由子は、レース中盤から単独2位で…
aispo! 表紙の顔2020/03/02
-
RUGBY キアラン・リード
日本中を熱気に包んだラグビーワールドカップから新たな年を迎えたが、楕円球の勢いは止まらない。国内リーグであるジャパンラグビートップリーグ…
COLUMN2020/03/02
-
SOCCER ランゲラック
ポテンシャルはある。だけど結果には結びつかない−−。2019年の名古屋グランパスは、そんなチームだった。序盤は首位争いを演じていたグランパス…
COLUMN2020/03/02
-
東京オリンピックの新種目 3x3…
日本バスケットボール界で新たな歴史が刻まれた。2019年10月2日から6日まで、中国・蘭州市で開催された「FIBA 3×3 U23 ワールドカップ2019」で…
アス友2020/03/02
-
バレーボール男子 日本代表 石川祐希
今年10月に行われた東京2020オリンピックの前哨戦、FIVBワールドカップバレーボール2019で男子日本代表は過去…
aispo! 表紙の顔2019/12/09
-
BASEBALL 梅津晃大
7年連続Bクラスの5位。こう書くとイマイチな成績に見えるが、2019年の中日ドラゴンズ、就任1年目の与田監督を採点するとしたら…
COLUMN2019/12/09
-
GYMNASTICS 寺本明日香
身長142cmの小さな身体のどこに、あの重圧を跳ね返すパワーを潜めていたのだろうか。今秋にドイツで行われた世界体操競技選手権大会…
COLUMN2019/12/09
-
東京2020スケートボードの…
東京2020オリンピックに正式種目として追加されたスケートボードでは、直線的な構造物を滑って技を競う「ストリート」と、複雑な…
アス友2019/12/09
-
ラグビー 日本代表 姫野和樹
日本ラグビーのスター選手といえば、前回のワールドカップで日本列島にブームを巻き起こした五郎丸歩選手をはじめ…
aispo! 表紙の顔2019/09/09
-
SOCCER 和泉竜司
11節の浦和戦に勝利して以降、13戦して1勝(5分7敗/8月25日時点)。風間八宏監督が率いて3年目の名古屋グランパスが苦しんでいる…
COLUMN2019/09/09
-
FIGURE SKATING 山下真瑚
世界ジュニアフィギュアスケート選手権2018銅メダリストの山下真瑚は、中京大学附属中京高等学校に通う16歳。昨シーズンの全日本…
COLUMN2019/09/09
-
「笑顔」と「やさしさ」で…
地元開催のオリンピックで初のメダルが期待される、新体操日本代表団体チーム「フェアリージャパン POLA」。今回は、2015年から…
アス友2019/08/23
-
名古屋グランパス FW ジョー
Jリーグがスタートして27年。これまで数多くの有名外国人ストライカーが日本にやってきた。古くはイングランド・プレミアリーグで…
aispo! 表紙の顔2019/06/15
-
東京2020 体操の種目別…
3年目のBリーグは、アルバルク東京が2連覇を達成、“令和初”の年間王者に輝いた。愛知を拠点とするB1の3チームは、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ…
アス友2019/06/15
-
BASKETBALL 安藤周人
3年目のBリーグは、アルバルク東京が2連覇を達成、“令和初”の年間王者に輝いた。愛知を拠点とするB1の3チームは、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ…
COLUMN2019/06/15
-
BASEBALL 与田剛
「すべての責任は、監督である私がとります。だから、ミスを恐れず思いっきりライバルや敵にぶつかってほしい」。中日ドラゴンズの与田剛監督は…
COLUMN2019/06/15
