個性を輝かせチームをさらなる高みへ
Tリーグ女子の頂点を目指す“おとめ達”
応援を力に変えて、勝負の3年目に臨む
名古屋市を本拠地とする女子卓球リーグチーム、トップおとめピンポンズ名古屋。1年目の2018-2019シーズンこそリーグ最下位でのスタートだったが、翌シーズンは順位をひとつ上げた。そして迎えた2020-2021シーズンは、彼女達にとって勝負の3年目となる。「応援してくださるファンの皆さんのおかげで頑張れます。応援を力に変えて積極的なプレーをしていきます」と話すのは、チームの若きリーダー・鈴木李茄選手。はつらつとした笑顔でチームを盛り上げる山本笙子選手と、唯一無二のプレースタイルを武器にする出澤杏佳選手を加えた3名に、今シーズンの抱負から個人の想いまで幅広く聞いた。
学生から社会人まで、個性豊かなチーム
豊田市にある杜若高等学校卓球場での練習を終え、リラックスした表情でインタビューに応じてくれた3名。「練習後には3人でご飯に行くこともありますよ」と話すのは、チームを牽引する鈴木選手。現在中央大学に通う山本選手は、「メンバーはみんなおしゃべりが好きで、オフタイムは笑顔でいることが多い。けれど卓球の話になると個人の意思はしっかりしていて、メリハリを持って練習に望んでいます」とチームの雰囲気を教えてくれた。鈴木・山本両選手から「おっとりしていて癒やし系!」と可愛がられているのは、チーム最年少の高校生プレーヤー・出澤選手だ。トップおとめピンポンズ名古屋は高校生、大学生、社会人に海外選手と、個性豊かなメンバーが揃う。
鈴木選手といえば、昨シーズンに韓国のヤン・ハウン選手と組んだダブルスでセカンドシーズンベストペア賞を獲得したことが記憶に新しい。「2人でコートに入る安心感は大きかったです。ヤン選手の動きを読んだり、ボールを繋げようと意識したりというように、お互いのために頑張るところはダブルスならではの醍醐味だと思います」と、シングルスとの違いを楽しみながら試合に臨んでいたようだ。言葉でのコミュニケーションも取りつつ試合にも集中しなくてはならないため、難易度は高かったと振り返る部分もあったが、今シーズンに向けて自身を大きく成長させてくれたに違いない。
出澤選手は「フォア面に表ソフト、バック面に粒高ラバー」という珍しい組み合わせのラケットを使用することでも知られている。小学1年生の12月に「日立大沼卓球」に入ったことがきっかけで、唯一無二のプレースタイルが出来上がったのだという。自身の性格を「負けず嫌い」だと話す出澤選手だが昨シーズンの結果について、「年上の選手や外国人選手とたくさん関われて、緊張もしたけれどいい経験になりました」と、初めてのプロリーグ体験を振り返った。「今シーズンも強い選手と当たって結果を残したいです」という力強い言葉に込めた意思は固いようだ。
山本選手の強みは積極的なプレー。福原愛選手に憧れて卓球を始めた彼女は、そのメンタル力やここ一番の勝負強さに影響を受けているという。昨シーズンは大学生活とチームメンバーの“二足の草鞋”での参戦となった山本選手だが、それぞれの立場で意識していたことを尋ねると、「大学ではチームの中心的存在として活動していましたが、同時にチームを勝利に導かなくてはというプレッシャーも感じていました。Tリーグでは格上の選手に挑戦していく気持ちで臨めたので、思い切ってプレーできたと思います」と話す。今シーズン途中に大学卒業を迎え、その後はリーグに専念する予定の山本選手。一皮むけたプレースタイルで、ますます観客を魅了していくことだろう。
三者三様の個性を活かして、リーグ上位へ
チームのまとめ役でもある鈴木選手は、出澤選手・山本選手をそれぞれどのように見ているのか。「出澤選手は、彼女が中学生の時から知っています。普段は茨城県内で一緒に練習することが多いのですが、最初の頃の大人しいイメージから一変、だんだん“この子面白いなあ”という印象になりました(笑)。年齢も10歳以上違うし、初めは出澤選手も私に対して遠慮がちだったと思うのですが、次第に打ち解けてきました。プレーについては、異質な戦型にも関わらずミスも少なく攻撃的なスタイル。彼女から学ぶところがたくさんあります」。
一方、山本選手については「見ていて気持ちいい選手」だと話す。「今までは試合の時しか顔を合わせることがなかったのですが、合宿などではたくさん話す機会ができました。大学生らしいハツラツとした明るさはこちらも元気になれるし、チームを盛り上げてくれる存在だと思います。彼女のプレーは両ハンドなのですが、目立ったミスもなく積極的なスタイルで気持ちいいので、とても好感を持っています」。
今シーズンの目標を聞くと、「昨年よりもいい順位を。一つひとつの勝ちを大切に積み上げていきたい」と声を揃える3人。決意を新たに、挑戦を続けていく。
すずき りか。1994年生まれ、静岡県出身。青森山田高等学校、専修大学卒業。左シェークドライブ型。2017年、全日本社会人選手権準優勝。2018年、日本卓球リーグの前期1部優秀選手賞。チーム在籍3年目を迎え、頼れるリーダーとしてチームのまとめ役も担う。落ち着いたプレーが信条で、冷静に戦況を把握してチームを勝利に導く。味噌カツや味噌煮込みうどん、手羽先など、大の名古屋めし好きという一面も。
やまもと しょうこ。1998年生まれ、福井県出身。福井商業高等学校卒業、中央大学在籍。右シェークドライブ型。2019年、全日本大学総合卓球選手権 女子シングルス準優勝。これまでは大学生とTリーグ選手の二足の草鞋を履いていたが、大学卒業を迎える今シーズンからはTリーグに専念。悲願のリーグ個人初勝利を目標に掲げる。「愛知に来たら味噌カツは必ず食べます!」と名古屋めしの魅力にはまっている。
いでさわ きょうか。2002年生まれ、茨城県出身。大成女子高等学校在籍。右シェーク異質攻撃型。2019年、全日本卓球選手権ジュニア優勝。同年にクロアチアオープンで国際大会デビュー。おっとりとした雰囲気の持ち主だがプレー中は一変。類い稀なスタイルを武器に、チーム最年少でありながら持ち前の負けん気でチームの勝利に貢献する。行ってみたい愛知の観光スポットは「名古屋城のライトアップ」。
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