
the FACE of aispo! 表紙の顔#12 名古屋グランパス DF 中谷進之介 FW 前田直輝

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土台あっての”積極補強”
“ジーニアス”柿谷曜一朗をはじめ、超大型補強が大々的に報じられることの多い2021年の名古屋グランパスだが、ちょっとお待ちを。2年連続の残留争いから1シーズンでリーグ3位と躍進した強さがあったからこそ、名だたる選手たちもグランパスの次なる野望に興味と夢を抱いたのである。その基礎、土台を築いたのはもちろん、昨シーズン、チームを支えた既存戦力達。その中心人物として数えられるのが、#25 FW前田直輝と#4 DF中谷進之介だ。それぞれ26歳、24歳とまだ若いが、上位争いをできるまでに進化したチームに不可欠な人材である。
彼らの特徴はハッキリしている。前田は右サイドを中心にキレのあるドリブル突破を見せるアタッカーだ。ボールの上で左足をクルリと回転させるフェイントは十八番にして必殺の武器。わかっていても止められないドリブルに、強烈なシュートも持っている。昨シーズンはホームでのJ1リーグ第9節の浦和レッズ戦で1試合4得点の離れ業を演じ、リーグ最終戦でも起死回生の決勝弾をその左足から生み出した。現在はFWとしての適性も見出され、時に最前線でもプレーできる拡張性も彼の持ち味となっている。チームには同い年のマテウスや王者・川崎フロンターレから移籍してきた齋藤学などライバルも多いが、「90分間仕掛け続ける男」はこれまでと同じように、目の前のDFを切り裂くのみだ。
昨シーズンのグランパスは”Jリーグ最少失点”という勲章を勝ち取ったチームでもある。そのゴール前で#3丸山祐市とともに鉄壁となったのが中谷である。2019年、2020年の2年連続でリーグ戦全試合にフルタイムで出場した鉄人は、対人守備能力の高さと攻撃面での貢献度を併せ持つ現代的なセンターバックだ。周囲を操るクレバーさと指揮能力も抜群で、ここぞの場面で身体を張る勇気は味方を奮い立たせる。コンビを組む丸山とはもはや阿吽の呼吸で、彼らの動きのシンクロ率は時に鏡を見ているよう。前体制では果敢な攻撃参加も得意としていたが、堅守を好む監督の下では本業であるゴールを守ることに集中し、リーグ全体でも高い評価を受けるに至った。今シーズンは#14木本恭生という強力なライバルが加入したが、それでもマッシモ・フィッカデンティ監督の信頼はそう簡単には揺るがないだろう。

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何でもできる強いチームへ
その主力中の主力がウカウカしていられない戦力を保有するに至った今シーズンのグランパスには、大きな期待が寄せられている。9年ぶりのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)での躍進はもちろんのこと、リーグ戦をはじめとする国内タイトルの奪取はもはや現実的に求められる目標となった。各チームは、「グランパスは守りが堅い」「堅実な闘いで勝点を奪ってくる」と警戒を強めており、百戦錬磨の指揮官とたくましさを増した選手達であっても楽な戦いはひとつもない。だからこそ昨シーズン築き上げたベースをしっかりと保持し、そこに新戦力のパワーを上乗せして、昨シーズンよりも強い集団となることが栄冠への第一歩だ。その”ベース”となるのが前田の突破力と、中谷の守備力、統率力であることは改めて言うまでもない。
「次の対戦相手がグランパスだと知った相手が、嫌がるチームになろう」。知将フィッカデンティはあらゆる対応ができる万能のチームを目指して、今シーズンもチームを鍛え上げている。中谷がその一角を担うリーグ最強の守備陣と、前田が切り込み隊長にも仕上げ役にもなれる変幻自在の攻撃陣は、一言でいえばその”強さ”の象徴だ。まだまだコロナ禍は収束が見えず、今年もシーズンは不測の事態にさまようかもしれない。だが勝利を渇望し、実直に闘い続けられることを証明した今の彼らならば、必ずや歓喜の時をサポーターにプレゼントしてくれるはず。躍進の次は大躍進を。2021年の名古屋グランパスは、期待を裏切るチームではない。
CHECK!
もうひとつの負けられない戦い
「Jリーグマスコット総選挙2021」

今やJリーグ界を代表するマスコットキャラクターとなったグランパスくん。2018-2019年と総選挙連覇を果たしたものの、昨年は横浜F・マリノスのマリノスケに敗れ惜しくも2位に。チームが2010年以来の王座を狙う今年、グランパスの象徴である彼が負けるわけにはいかない。男のプライドをかけた戦いの結末はいかに。本誌が読者の皆さんの手に渡る頃、全身で喜びを表すグランパスくんの姿に会えることを期待したい。
文=今井雄一朗
雑誌社勤務を経て、2015年よりフリーランスに。以降、名古屋グランパスと愛知県のサッカーを追いかける日々。クラブ応援メディア「赤鯱新報」を運営中。
PROFILE
なかたに しんのすけ。2018年夏に敢行された大型補強で加入した1人。加入当初は有望な若手という位置づけだったが、2年連続の残留争いを主力として経験したことでDFとして大きく成長した。対人能力の高さだけでなく、前線を活かすパスさばきにも定評があり、常に攻撃の起点となるプレーも持ち味。スピードもあり、俊足のFWにも決して走り負けすることはない。2019年、2020年とリーグ全試合フルタイム出場を継続中のタフガイで、風格も出てきた今年は3年連続フルタイム出場に挑むシーズンとなる。
まえだ なおき。2018年夏にJ2の松本山雅FCから移籍加入し、半年で7得点を挙げチームのJ1残留に大きく貢献。ドリブルの切れ味はJリーグ屈指の存在で、2019年には9得点、20年も7得点と近年は決定力も向上してきている。仲間のために走れるチームプレイヤーでもあり、前線からの守備でもチーム屈指の積極性を誇る。昨年は負傷もあって本領発揮の機会は少なかったが、右サイドからのカットインシュートは健在。エースの座を奪い返すべく、今シーズンは結果にこだわる1年になる。
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