愛知県スポーツ局スポーツ振興課
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the FACE of aispo! 表紙の顔#13
中日ドラゴンズ 投手 髙橋宏斗

ドラフト1位のトップランナーになれ!

 春を告げる南風が吹き抜けたような、そんな爽やかな笑顔だった。沖縄本島の中部にある読谷村、中日ドラゴンズの春季キャンプが行われている球場で、髙橋宏斗は無邪気な微笑みを返してくれた。球場横でチューブを使ったストレッチトレーニングの最中に目が合った時だった。しかし、その直後に立ったブルペンでの投球で、穏やかだった島風は嵐となって、私の目の前に吹き荒れる。かつて中京大学附属中京高等学校時代に投球を近くで見たという人は、こう語っていた。「球はうなりを上げていた」と。しなやかな右腕から投げ込まれる速球は、気持ちよさそうな音を響かせてミットに吸い込まれ続けた。伸びのあるストレートに“ドラゴンズの未来”を見た瞬間だった。
 2021年シーズンはかつてないほどルーキー達の活躍が目覚ましい。阪神タイガースの佐藤輝明は、横浜スタジアムでの場外弾をはじめホームランを量産中。横浜DeNAベイスターズの牧秀悟は、10年選手ばりのスラッガーぶりを発揮。広島東洋カープの栗林良吏は、今や抑えの切り札。そして東北楽天ゴールデンイーグルスの早川隆久は、着々とエース道を歩む。そんな新星達に見向きもせずに、ドラゴンズがドラフト会議で単独1位指名したのが髙橋だった。それだけの逸材であるからであり、それだけの将来性があるからであり、間違いなく“竜のエース”となる実力を見出しての決断だった。その意味でドラゴンズ球団は大いなる投資をした。だからこそ、あえて言う。並みいる同期の新人選手達を必ず越えてもらわねば困る。

その剛速球は
「千賀であり松坂でありマー君であり」

 「福岡ソフトバンクホークスの千賀滉大のようだ」。髙橋が背負った背番号19の先輩であるドラゴンズ黄金期のエース吉見一起は、その投球をこう評した。背筋力を含めて、強靭な身体能力を認めたうえでの分析である。「松坂大輔や田中将大の高校時代に負けていない」。ドラゴンズのスカウトを務める米村明は、ドラフト会議を前にこう語っていた。高校2年生時の秋の明治神宮大会では全国制覇を達成。残念ながらその後の甲子園大会は、春夏共に新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となってしまったものの、髙橋は「不敗神話」を継続したまま竜の一員となった。力強くそしてしなやかな投球は、早くもプロ野球史に名を刻むエース達に例えられている。
 髙橋はドラゴンズが運営する少年野球チーム「ドラゴンズジュニア」の出身である。そのOBには、根尾昂そして石川昂弥がいる。この3人は小学生時代にすでにドラゴンズブルーのユニホームを着て野球をしていた。言わば「竜の申し子」。ファンは夢見る、根尾と石川、両先輩がバックを守るマウンドで投げる髙橋の姿を。バンテリンドームの興奮が今から目に浮かぶ。そしてその時、ドラゴンズは新たなる黄金時代を迎えているはずだ。無邪気な笑顔と剛速球を持つ“エース”髙橋宏斗と共に。
 待っているぞ!

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 Webサイト『CBCドラの巻』では北辻さん(写真)をはじめとした論説室コラムや実況アナウンサーコラム、ドラゴンズOB達によるトークコラムなど、ドラゴンズ愛に溢れた情報を随時更新中。ドラ党は要チェックだ。
HP→hicbc.com/sports/dragons


文=北辻利寿
1959年生まれ。愛知県名古屋市出身。CBCテレビ特別解説委員。中日ドラゴンズへの限りなき愛を胸にCBC(中部日本放送)に入社。落合博満の現役時代には報道局の“落合番記者”として活動。筋金入りのドラゴンズウォッチャーとして、現在はCBCラジオ『ドラ魂キング』出演やWebでの論説コラムを執筆中。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ! 2』(ゆいぽおと)がある。


PROFILE
たかはしひろと
2002年生まれ。愛知県尾張旭市出身。小学2年生から野球を始め、6年生時にはドラゴンズジュニアのメンバーに選出される。中学校時に内野手から投手へと転向。中京大学附属中京高等学校ではエースとして活躍し、2年生時には明治神宮野球大会など数々の優勝に貢献した。3年生となった2020年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で軒並み大会が中止となる中で行われた愛知県独自大会準々決勝で、自己最速となる154km/hをマーク。同年のドラフト会議で1位指名を受けて中日ドラゴンズに入団。引退した吉見一起の背番号19を受け継いだ。


プロ野球2021年度 セントラル・リーグ公式戦

6/22(火)~24(木) vs 阪神タイガース
7/2(金)~4(日) vs 東京ヤクルトスワローズ
7/9(金)~11(日) vs 横浜DeNAベイスターズ
バンテリンドーム ナゴヤ
HP→dragons.jp



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2024 / vol.43

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