“ライバルはいつも自分の中に”
自分を冷静に見つめて技の精度を高める
金メダル最有力は、愛知出身の15歳の中学生!
愛知県あま市にあるスケートパーク「Hi-5」。スケートボード(パーク)で東京2020に出場する岡本碧優選手は、この場所で日々練習を重ね、世界へと羽ばたいた。2019年、若干13歳にして世界選手権で優勝を飾って世界ランキング1位となり、今現在もその順位を維持し続けている“絶対女王”の岡本選手。今回のオリンピックでも金メダル最有力選手と目されている。
久しぶりの大会が思い出させてくれた、負けることのくやしさ
穏やかな日差しの下、リラックスした表情を見せる岡本選手に、いよいよ開幕を迎えるオリンピックについて率直な気持ちを尋ねると、「ニュースでもたくさん報道されているし、友達も“いよいよだね”って応援してくれて。それでようやく実感が湧いてきました」と笑顔で答える。一方で、「大会で勝ったら満足して気持ちが抜けてしまうことが多い」とも話す。2019年の日本オープン・パーク選手権優勝を皮切りに、国際大会6連勝中と負け知らずであったことについて、「ずっと勝ち続けることができたことで、満足してしまいました」と岡本選手は当時の心境を振り返る。
2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ほとんどの国際大会が中止となった。そんな中で迎えた東京2020の予選対象大会となるデュー・ツアー(アメリカ・アイオワ州)。今年5月に行われたこの大会で、岡本選手は3位となり優勝を逃してしまう。「オリンピックを前にして、全然納得のいく滑りができずに負けてしまったことがくやしいです。このくやしい気持ちを生かして、本番までの短い練習時間を頑張りたいと思っています」と、若き女王は新たなモチベーションを語る。
メンタルの支えとなるのは、信頼を置く笹岡拳道(けんと)コーチの存在だ。現在岡本選手は、親元を離れ笹岡コーチの実家に身を寄せて3年となる。「この3年で技術的なことだけでなく、礼儀や挨拶なども教わりました。それに、私の性格をわかっていただけているので、とても助かっています」と岡本選手。大事な試合の前や不安な時はコーチのもとへ行き、アドバイスをもらって冷静に自分を見つめることを大切にしているという。そうして背中を押してもらい、臨む。どんな大舞台でも岡本選手が堂々とした試合を見せるのは、笹岡コーチの助言によって冷静に本番を迎えられるからなのだ。
オリンピックが1年延期となりその間にライバル達も著しい成長を遂げている。先のデュー・ツアーを制した世界ランキング2位の四十住さくら選手、同3位のスカイ・ブラウン選手、岡本選手よりさらに若い12歳・開心那(ここな)選手らである。中には岡本選手しか大会で成功させることができなかったバックサイド540を習得した選手もおり、オリンピックではハイレベルな争いが予想される。しかし岡本選手は、そんなライバル達の成長に心囚われることなく、「ライバルは自分自身の中にある」という姿勢で臨む。「コーチにも、他人ではなく自分に意識を向けるように言われています。与えられた課題をこなして後悔のない滑りをすればおのずと結果がついてくると思うので、それをただやるだけです」。くやしさを糧にしつつも変わらぬ姿勢を貫き、大一番の舞台を見据えている様子だ。
※バックサイド540:跳んだときに体とボードを540度(1回転半)横回転させる技
見どころは“スピード”と“高さ”! オリンピックに向けて最終調整
メンタルだけでなく、フィジカルの面でも岡本選手は自分らしさを保ち、磨きをかけている。「オリンピックに向けて、特にスピードと高さを意識するようにしています。技に移行する時にスピードが出ていないと、どうしてもエアーの高さも出ない。だからまずはスピードに乗って、そのままの勢いで跳びたい。オリンピックではそのあたりを見ていただけたら嬉しいです」と話す。また、バックサイド540や日本人で彼女が初めて成功したというフリップインディーに加えて、新技にも挑戦しているというから驚かされる。オリンピックをその披露の場に選んだところに、負けたくないという力強い思いを感じた。
来たる大舞台への最終調整に差し掛かった岡本選手。若くしてトップに君臨し続ける彼女は、今やライバルやさらに下の世代の勢力から“追われる”立場となった。しかし彼女は揺るがない。自分の中にこそ戦う相手を持ちながら、数々の技で世界を圧倒する。
※フリップインディー:デッキ(板)を蹴って空中で1回転させてからつかむ技
おかもと みすぐ。2006年生まれ。愛知県高浜市出身。小学校2年生から競技を始め、6年生からは岐阜県内にある笹岡コーチの実家に下宿。2019年には13歳にして世界女王となり、現在までその座に君臨。「バックサイド540」をはじめ、高難度の技を次々と成功させるなど、常に進化を続けている。
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