練習もプライベートも“常に全力“
ソフトボール・後藤希友が見据える新たな1年
小・中学校で才能が開花!未来の“代表エース候補”に
数々の名場面を生み出した東京2020の中でも、とりわけ盛り上がりを見せた女子ソフトボール。「13年越し」となる大会2連覇を成し遂げた日本代表チームで、特に活躍したひとりが後藤希友選手だ。
後藤選手がソフトボールに出会ったのは、小学校のソフトボール部の顧問の先生や先輩に声をかけられたことがきっかけだ。「もともとスポーツが好きで、どのスポーツでも楽しいと思っていました」と後藤選手。先生はその才能を見越していたのか、ポジションは最初からピッチャーだったという。また、バスケットボール部にも所属し、ソフトボール部と両立。「この頃は、どちらかというとバスケットボールのほうが好きでした」と笑顔で話す。バスケットボールでもその類まれなる運動神経と球技に対する才能を開花させて大活躍し、チームとしては愛知県大会まで出場するほどの好成績を残した。「今でもバスケは好きで、試合を見たりします。漫画のスラムダンクも大好きです(笑)」。
中学校では、その実力を顧問の先生に見込まれてソフトボール部に。後藤選手はメキメキと成長し、都道府県対抗全日本中学生女子大会では、愛知県代表のエースとして堂々たる好投を見せた。その後は、ソフトボール強豪校の東海学園高等学校に進学。海外遠征を経験するなど、着実にステップアップを重ねて、日本代表の次世代エース候補として注目を集めるようになる。そんな後藤選手にとって思い出深い試合は、高校3年生のインターハイの決勝。接戦の末、準優勝と涙をのんだ。「1回からずっと投げていて、自分のミスで負けたといってもいいような試合でした。この試合のことは、いつまでも忘れないと思います」。自身の性格を「超絶負けず嫌いです」と評する後藤選手にとって、この敗戦はその後のソフトボール人生の大きな糧となったことだろう。
練習とプライベート、職場の良好なバランスが原動力に
“常に全力”がモットーの後藤選手は、「オフを楽しむのにも全力投球」だ。この日のインタビューを行った豊田市の『cafe po.tto 豊田』にもよく訪れてはスイーツを堪能しており、特にお気に入りはクレームダンジュとミックスベリーのパフェ。「ベリーが大好きなのと、上に乗っているアイスが濃厚で、本当においしいんですよ。こればっかり頼んでいます(笑)あとは、チョコレートのパフェも大好きですね」。
友人たちと過ごす時間は、後藤選手にとって欠かせない時間だ。「オフの日は地元の友人と一緒に名古屋駅の周辺や栄、金山でウインドウショッピングを楽しんでいます。その時にみんなから“すごいね!”って褒めてもらえると、とても嬉しいです。友達が応援してくれるので、もっと頑張らなくちゃと思いますし、大きな励みになっています。あとは家でK-POPアーティストのライブDVDや動画を見て過ごす時間も大好きで、気が付いたら何時間も経ってます(笑)」。
生まれ育った名古屋の街も大好きだと話す。「地元が大好きで、特に熱田神宮は初詣などでよく訪れています。名古屋は都会すぎず田舎すぎず、とても住みやすい街だと思います」。また、味噌カツや手羽先などのなごやめしも好きで、「濃いめの味付けが自分好み」と教えてくれた。
ソフトボール中心の日々を送る後藤選手だが、現在はトヨタスポーツセンター内にあるトヨタ工業学園に勤務し、業務も行っている。「オフシーズンには職場に行って、事務作業などの手伝いをしています。たまに、教室のホームルームへ参加することもあるんですよ」。練習、プライベート、職場。これらすべての良好なバランスが、後藤選手の原動力の一端となっているようだ。
若手中心のチームで中心的存在に
2022年3月28日(月)にいよいよソフトボールの新リーグ「JDリーグ」が開幕する。ところが、新たなシーズンを前にレッドテリアーズでは、キャプテンの古澤春菜選手をはじめ、共に東京2020を戦った峰幸代選手らベテラン勢が引退。また、5年間チームを率いた中西あかね監督もその座を退き、新たにレッドテリアーズのOBである馬場幸子コーチが監督に就任。「馬場監督は、何事もはっきりと言われるタイプなので、自分のダメなところはどんどん直していこうと思っています」と意気込みを語ってくれた。
新監督の下で迎える3年目のシーズン。東京2020や日本女子ソフトボールリーグで輝かしい成績を残した後藤選手だが、決して現状に満足しているわけではないようだ。「ピンチの時は、どうしても気持ちが切り替えられないことがあるので、今は試行錯誤しながらその切り替え方法を学んでいます。コツは徐々につかめてきてはいますが、まだまだ自分のものにはなってないので、どんな時もコントロールができるように、自分自身を高めていきたいです」。
今後について尋ねると「いつも力を抜かず、本気以上に本気を出しています。気持ちを引き締めていきたい。できるかどうかわからないけれど、将来はお母さんになっても、まだ投げていられたら」と目を輝かせて話す後藤選手。まだ21歳の誕生日を迎えたばかりの彼女の夢は、これからも広がっていきそうだ。
後藤希友
ごとう みう。2001年生まれ。愛知県名古屋市出身。ポジションは投手、左投左打。小学校の時にソフトボール部の顧問に声をかけられて入部。中学校では都道府県対抗全日本中学生女子ソフトボール大会の愛知県チームのエースとして活躍。東海学園高等学校へ進学し、インターハイに出場。2018年に日本代表に選出され、日米対抗戦で代表デビューを果たす。2019年にトヨタ自動車レッドテリアーズに入団。2021年、ソフトボール日本女子代表として東京2020に出場し、金メダル獲得に貢献。
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