愛知県振興部スポーツ振興課
JPEN
instagram facebook twitter youtube
menu
page top

勝利に向け、日々邁進中!
愛知のチームの練習風景を徹底レポート!
第3回 愛三工業レーシングチーム〔自転車競技〕

 自動車部品を製造する愛三工業株式会社を母体とし、UCI(※)コンチネンタルチーム登録を行ってから今年で16年目を迎える自転車ロードレースチーム「愛三工業レーシングチーム」。2021年に行われたツアー・オブ・ジャパンでは伊藤雅和選手が個人総合6位に、また全日本選手権のロードレースでは草場啓吾選手が見事に優勝を果たすなど輝かしい戦績を残した。さらなるチーム全体のレベルアップとUCIアジアツアー優勝を目標に、チームは日々練習に勤しんでいる。
(※)UCI…国際自転車競技連合


いよいよ再開するロードレース参戦。全日本選手権とジャパンカップ優勝を目指す

 今シーズンのチームスローガンは「世界への挑戦!アジアNo.1チームへ」。しかしコロナ禍の影響で、2020年に行われたツール・ド・ランカウイ(マレーシア)を最後に海外レースへの参加はできていない。また海外だけではなく、国内の大会も相次いで縮小され、2020~2021年の2年間はチームとして実績を積むためのレース参加が十分に叶っていないのが現状だ。
 2022年はようやくさまざまなレースが動き出す。UCI公認レースであるツアー・オブ・ジャパンや、JBCF(※)主催の国内Jプロツアーなどのレースに参加し、やがて始まるであろう国際大会参加に向けて実力の底上げを図っていく。特に8月に鈴鹿サーキットで行われる「シマノ鈴鹿ロードレース」には毎年参加。隣県で行われることもあって社員の応援も多く、選手たちも気合が入るレースだ。最終的には全日本選手権と、国内最大のレースといわれるジャパンカップでの優勝を目指して走り続けていく。
(※)JBCF…全日本実業団自転車競技連盟


パーソナルコーチとの練習で、個々のレベルアップを図る

 コロナ禍の影響で一緒に練習する機会がなかったこともあり、2020年からは各選手にパーソナルコーチをつけ、個別に練習を行っている。自転車に装着したパワーメーターのデータをクラウド上で管理し、選手とコーチが共有することで強みやウィークポイントなどを視覚化し、練習メニューを考案。プロのコーチがついたことで、各選手の練習効率も上がり、実力アップにつながっている。愛三工業レーシングチームには総合力があり、スプリントレースに強い選手が多い。その上で、山岳レースでもしっかり結果を残せるような力を練習で養っている。普段のベーストレーニングは、冬場は1ヶ月に約3000〜3500km走行。合同練習ではお互いの足合わせをメインとし、レース前は山を高速で何度も走るなど、短時間高強度の練習を行い、レースの高速域に耐えられる体づくりを中心に行っている。


合同合宿でチームのコミュニケーション力を強化

 個々の練習はそれぞれの実力強化にはつながるが、どうしても選手間のコミュニケーションが希薄になる。ロードレースはいずれも長丁場で、1人の力ではどうにもならないことも多い。チームメイトがエースの前を走って風よけの役割をするなど、全員でエースをサポートして優勝に導いていくことが重要だ。そのため2021年から再開した合宿では、特にチームの連携強化に注力。ベテラン選手が練習メニューの作成やミーティングの主導を行い、チーム全体の連携を高めている。

 ハードな練習をこなすには、十分な休息も必要だ。愛三工業レーシングチームでは週に1、2回休息日を設けて、1〜2時間ほど軽く走るリカバリーライドを行っている。リカバリーライドでは自分の好きなコースを走り、近くのカフェに寄っておいしいコーヒーを味わったり、景色を楽しんだりしてリラックス。中には、他のチームの選手と一緒に走ったり、学生時代の仲間と走る選手もいるという。こうした休息は、選手のメンタルを支える大切なポイントとなっている。


イベントやファン交流会を通して地域貢献を実践

 こうした日々の練習やレース参戦に加え、ファンとの交流やイベントを通して自転車の魅力を伝え、地域貢献を行うのもチームの大切なミッションだ。毎年4月にはファン交流会を開催。2022年は新城市で開かれ、一緒にサイクリングを行い、トークショーやランチ会を行った。また、毎年10月には大府市で自転車教室を実施し、自転車の乗り方や交通ルールを知ってもらい、マナーアップを図る取り組みを行っているという。さらに、会社として行う地域のクリーン活動にも積極的に参加している。
 選手個人でも、後輩の面倒見がよいことで知られる草場啓吾選手は、地元の高校生に練習指導を実施。地元で行われるレースにゲストライダーとして出場している。

 今シーズンはさらに個々の実力とチーム力を強化し、全日本選手権やジャパンカップでの優勝をステップに、アジアを舞台に活躍できるチームとなることを目指していく。将来的にはヨーロッパに選手を輩出できるようになることが理想だ。9月に行われるツール・ド・北海道をはじめ、続々と行われるロードレースでの、チームのさらなる活躍に期待したい。

aispo!マガジン最新号

2023 / AUTUMN vol.38

PickUp記事