愛知県スポーツ局スポーツ振興課
JPEN
instagram facebook twitter youtube
menu
page top

aispo! News #8

フィギュアスケートシーズンの到来を告げる
みなとアクルス杯の最終日に密着取材

 2022年7月1日(金)〜3日(日)の3日間にわたって開催された「第12回名古屋市スケート競技会みなとアクルス杯」。例年、愛知・名古屋の選手を中心にシニア、ジュニア、ノービスの選手たちが、「邦和みなと スポーツ&カルチャー」のアイスリンクに集結して行われる大会だ。
 スケート界は7月初旬から新シーズンが始まる。シーズンの序盤は国内のローカル大会が続き、9月頃からはブロック大会が開催され、各選手は12月に開催される全日本選手権出場を目指していく。一方、国際大会も同様に、例年9月頃からチャレンジャーシリーズやグランプリシリーズが始まる。今シーズンから、プログラムコンポーネンツ(演技構成)が5項目から3項目となるほか、スピンのレベル要件などのテクニカルルールが改正されたため、その意味でも新たなスタートを切る大切な大会となった。

 勝敗を決する最終日のフリースケーティングは、前日のショートプログラムの成績を受けて下位から順に滑走。注目の中京大学や中京大学附属中京高等学校の選手も、それぞれに初戦を飾った。

 シニア男子は、270点を超える圧巻の滑りを見せた中京大学の山本草太選手が優勝(総合優勝)。4回転サルコウ、4回転トウループ+2回転トウループ、3回転アクセル+1回転オイラー+3回転サルコウなどのビッグジャンプを決めたほか、伸びのあるスケーティングや華麗なスピンで会場を沸かせた。自身で選曲したというラフマニノフの曲に、鈴木明子氏が振り付けをし、しっかりと音楽に乗った山本選手らしいスケーティングや表現を見せた。今シーズンは日本スケート連盟強化選手として、ショートとフリーの完成度を高め、世界選手権、四大陸選手権への出場を目指す。

山本草太FS『ピアノ協奏曲第2番』
撮影:Tetsuo Ogino


 ジュニア女子は、中京大学附属中京高等学校の後藤千弦選手が3位(総合4位)となった。黒を基調にゴールド、パープル、ライトブルーの色を使った大人っぽい衣装で登場。シルク・ドゥ・ソレイユの「Corteo(コルテオ)」の曲に乗って、3回転ルッツ+2回転トウループや3回転フリップを決め、スピンやコレオグラフィック・シークエンスにも加点がされた。また、パントマイムの表現を取り入れたり、指先まで意識した振り付けなどで、コントラストのある演技を見せた。

後藤千弦FS『Corteo』
撮影:Tetsuo Ogino


 同じく中京大学附属中京高等学校の高岡もも選手は8位(総合7位)。ブルーを基調に花をあしらった衣装は、ガーシュウィンの軽快なピアノのメロディーにぴったりだ。冒頭に3回転トウループ+2回転アクセル+2回転トウループ、3回転トウループ+2回転トウループの大技を入れ、後半は軽やかなステップとスピンで締めた。曲のオルゴール調に合わせたかわいい振り付けにも注目が集まった。

高岡ももFS『ラプソディー・イン・ブルー』
撮影:Tetsuo Ogino


 シニア女子は、華麗な演技で会場を魅了した中京大学の山下真瑚選手が優勝(総合優勝)。今シーズンはショートもフリーも曲を一新。グリーンが差し色のパープルの衣装に身を包み、ミュージカル『サンセット大通り』の曲に合わせた美しい演技を披露。3回転ルッツ+3回転トウループ+2回転トウループの3連続ジャンプなどの安定したジャンプ技のほか、縦横無尽な動きと優雅な振り付けで魅せる滑らかなステップなど、曲調に合わせた表現力が際立つ演技となった。

山下真瑚FS『SAYURI』
撮影:Tetsuo Ogino


 3位(総合3位)となったのは、中京大学附属中京高等学校の横井きな結選手。真っ白なレースとティアラが印象的なコスチュームで登場し、ミュージカル『オペラ座の怪人』の曲に合わせてしなやかに舞った。3回転サルコウ+3回転トウループの大技を決め、後半の細やかなステップ、高いジャンプなど、全身が躍動する演技で観客を沸かせた。

横井きな結FS『The Phantom of The Opera』
撮影:Tetsuo Ogino


 山下選手と同じ中京大学の荒木菜那選手は6位(総合6位)。ピンクとパープルのグラデーションが愛らしい衣装を身に纏い、3回転ルッツや3回転トウループや、スピン、ステップで、ミュージカル『エリザベート』の名曲を体現した演技を披露した。

荒木菜那FS『Der Schleier Fällt』
撮影:Tetsuo Ogino


 試合後には、表彰式や優勝者のインタビューが行われた。シニア男子優勝の山本選手は、「練習どおりの演技ができたので、この感覚をシーズン中も同じように続けていきたい」という今日の感想と共に、「オンとオフで気持ちの切り替えができるようになった」と、好調の要因についても触れた。シニア女子優勝の山下選手は今の心境を、「昨シーズンよりも精神的な部分がポジティブになった」と話し、その思い切りの良い演技をしながらも、「ショートとフリーをしっかりまとめられるようにしたい」と抱負を語った。


 これから本格的に始まる今シーズンのフィギュアスケート。将来のスケート界を盛り上げていく愛知ゆかりの選手たちから目が離せない。

aispo!マガジン最新号

2023 / AUTUMN vol.38

PickUp記事