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小林拓一郎の
解き放て! シーホース

ミスターバスケットボールを追いかけて

 小学生の時に連載が始まったバスケットボール漫画『スラムダンク』の影響で、中学からバスケ部に入りました。シュートがスパンっとゴールに入るのが気持ち良くて夢中になりました。シューティングをしている時は無心でいられるので、今でも嫌なことがあるとシューティングをしています(笑)。 ホームコートMCを担当しているシーホース三河との出会いは、ZIP-FMのナビゲーターになった頃、ミスターバスケットボールと称された佐古賢一(元・レバンガ北海道ヘッドコーチ)さんがアイシンシーホース(当時)に所属していることを知ったことがきっかけです。佐古さんが同じ愛知県にいることを知ったら、もう居ても立ってもいられなくなってしまって、「一度でいいから佐古さんの名前をコールさせてください!」と、当時のアイシンバスケ部に直談判しに行きました(笑)。
 これまでに数多くの感動的な景色を見せてもらった中で、最も印象に残っているのはBリーグ2シーズン目のCSセミファイナル第2戦(アルバルク東京戦)です。比江島慎ひえじま まこと選手(現・宇都宮ブレックス)が同点の3Pシュートを決めた瞬間の、アリーナが揺れているような大歓声は今でも忘れられません。
 もうひとつ、反対の意味で印象深いのは、2020年3月15日に無観客で行われた横浜ビー・コルセアーズ戦。この試合は金丸晃輔選手(現・三遠ネオフェニックス)がBリーグ最多3ポイントシュート成功記録タイとなる11本の3Pシュートを決め、45得点を挙げる大活躍をしたのですが、「コースケ、カナマルー」と叫んでも会場からのリアクションがなく、不思議な感じでした。なぜなら、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、この試合は無観客試合として行われていたからです。僕はラジオの仕事をしていて、相手が見えない状況でしゃべることに慣れているので、その経験を生かして、「あの席にはあの人が座っていて、きっとこういうリアクションを返してくれるだろうな」と思い浮かべながら、一言一言を投げかけていました。でもやはり寂しかったですね。だからこそ、今こうしてお客様を迎えて試合ができることは「当たり前」ではなく、「本当に幸せなこと」だとかみ締めています。

常にハッスルプレーをする選手にひかれる

 今シーズンのシーホース三河で個人的に注目しているのは、ブランドン・ジャワト(BJ)選手です。インドネシア代表でもあるBJは、ディフェンスやルーズボール、リバウンド、そういう泥臭い部分で絶対に手を抜かない。明るい性格で、ベンチでも常にチームメイトを盛り上げているし、どんな時も自分にできることをやるんだという姿勢を貫いている。観ている僕たちも清々しい気持ちになれます。
 僕もバスケを始めた当初は試合に出られませんでした。どうしたら試合に出られるだろうと考えた結果、ディフェンスを頑張り、ルーズボールを追いかけ、リバウンドに飛び込んで、「あいつが出ているとマイボールになる率が高いぞ」と思われる選手になろうと決めました。だから、BJだけでなく、長野誠史さとし選手(現・シーホース三河)もそうですが、ディフェンスを頑張る選手にはシンパシーを感じます。バスケをしている小さい子には、ぜひ彼らのような泥臭いプレーを真似してほしいです。

バスケットボールへの感謝の気持ちをつないでいきたい

 僕はバスケに人生を変えてもらった、救ってもらったと言っても過言ではありません。だから恩返しとして、日本のバスケが盛り上がるために自分にできることがあればどんどん愚直にやっていきたいと考えています。
 2020年には、地元・豊川市にカフェを併設した誰でも無料で使えるバスケットコート「グレープパークコート(通称:グレパー)」をオープンしました。中学生の頃、日本では練習する場所が全然なくて探し回った経験があったのですが、アメリカはあちこちにバスケットコートがあるんですよ。本当に驚きました。その時から、日本のバスケを強くするためにはこういう環境を作らなければいけないし、誰もが自由にバスケをできる場所を作りたいという夢をずっと温めてきました。
 2018年に父が急逝して、2,000平米あるぶどう畑を相続することになり、「やり始めなければ何も始まらない」と踏み出すことを決めました。バスケやラジオを通じて出会ったいろいろな方たちの協力を得て完成したコートでは、子どもから大人まで多くの人がバスケを楽しんでいます。将来グレパーから飛び立っていった子がBリーガーになり、僕が試合でその選手の名前をコールしたり、海外で活躍する選手が出てきて応援ツアーを企画してみんなで観に行ったりできたら最高ですね。そんな未来を想像しただけで鳥肌が立ちます。

PROFILE
小林拓一郎
TAKUICHIRO KOBAYASHI
こばやし たくいちろう。1979年生まれ。愛知県豊川市出身。ZIP-FMミュージック・ナビゲーター。愛称は「コバタク」。オレゴン州立大学在学時にキャンパスラジオDJという新たな夢に出会い、帰国後本格的にDJの道へ。2008年よりシーホース三河の専属ホームコートMCを務める。

Twitter @kobataku33
Instagram @kobataku33

Information
グレープパークコート
愛知県豊川市にある「グレープパークコート」は、小林さんが企画・運営を行うストリートバスケットコートだ。子どもも大人も思う存分にバスケを楽しめる場所として、多くの人に愛され、支えられている。

HP https://grapeparkcourt.comz



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