aispo! News #16
4度目の世界一に挑む、強豪チーム「ジャパンドリームチーム」のプレーに注目!
第5回世界身体障害者野球大会
“もう1つのWBC”と呼ばれる身体障害者野球の世界大会「世界身体障害者野球大会」。愛知・名古屋では初の開催となる「第5回世界身体障害者野球大会」が、バンテリンドーム ナゴヤで2023年9月9日(土)、10日(日)の2日間にわたって開催される。今回は日本をはじめ米国、プエルトリコ、韓国、台湾の5つの国と地域が参加し、身体障害者野球の頂点を目指す。
日本における身体障害者野球の始まりは、元阪急ブレーブス福本豊氏が神戸市内にあった肢体不自由者の医療施設への訪問をきっかけとして、1981年に身体障害者野球チーム「神戸コスモス」を結成し、1993年に同チーム監督の故・岩崎廣司氏が中心となり「日本身体障害者野球連盟」を立ち上げたことによる。その年に全国大会を開催。故・星野仙一氏や現中日ドラゴンズ監督の立浪和義氏らプロ野球界からも多くの支援を得て、現在は全国38チームが連盟に登録し、競技人口は950人を上回る。
愛知・名古屋での大会開催に際し、大会名誉顧問の長嶋茂雄氏からは次のメッセージが届いている。
「第5回世界身体障害者野球大会が5年ぶりに開催されることになりました。世界中を騒がせた新型コロナウイルスの影響で、2018年以来の開催です。大会開催実現に努力を重ねてこられた関係者の皆様にお慶び申し上げます。名古屋は今回初めての開催となります。プロ野球中日ドラゴンズの本拠地でもあり、名古屋をはじめ、愛知、岐阜、三重などこの地域は昔から野球熱が盛んなことはよく知られていました。今回の身障者野球にも関心を高める方が多いと思います。今回の参加者は米国、プエルトリコ、大韓民国、台湾、日本の5カ国です。このチームを相手に勝ち抜くにはどうすればよいのか。3月に行われたワールドベースボール・クラシック(WBC)を思い出して下さい。日本は大会前から“世界一”を目指す、と目標を掲げ熱戦の末、狙い通り、アメリカとの決勝戦を勝ち抜き、14年ぶり3度目の優勝を決めました。日本列島は久しぶりに野球で盛り上がりました。野球の楽しさ、面白さを改めて知った子供たちも多かったと伝えられています。選手全員、何が何でも勝ち抜くと強い意欲をもってチーム一丸となったことも勝因の一つでしょう。今年1月に車いすテニスの国枝慎吾さんが2006年世界1位になって17年、最期まで世界1位のまま現役を引退、3月にパラスポーツ界から初めて国民栄誉賞を授与されました。彼は自分のラケットに「俺は最強だ」と書き続けていたといわれます。チームで戦う野球も同じです。選手それぞれが「自分のベストを出し切ろう」と取り組めば、チームの力は必ず向上します。WBCに続いて第5回大会が大いに盛り上がることを願っております」
身体障害者野球には独自のルールが存在する。まず肢体にハンデを持つ選手がいるため、バントは禁止。ただし障害の度合いでバントのような動作しかできない選手の場合は有効だ。また盗塁や振り逃げも禁止。捕手の体にボールが触れていればその時点でボールデッド(プレー中断)となり、進塁もできない。ただし捕手の体に触れずボールがそれた場合は1つだけ進塁が可能だ。
また下肢障害などで走塁が困難と認められた選手には打者代走が適用される。代走者は三塁と本塁を結ぶファールラインの延長線からバックネット方向へ1m後退した地点がスタートラインとなる。
また身体障害者野球の選手たちは、使用具や補助具も巧みに使いこなす。手首にグラブをかける、第2グリップをつける、捕手のマイチェアーや台座に台車をつけるなど、それぞれの障害に合わせて使用し、素晴らしいプレーを行う。それも見どころの一つだ。
15人の選手が所属する日本チーム「ジャパンドリームチーム」は、今年の1月下旬に合宿練習を行い、1月29日には、愛媛・松山坊っちゃんスタジアムで結団式を開催。愛媛県知事や松山市長ら来賓の前で、主将の松元剛選手(名古屋ビクトリー所属)が勇ましく決意表明。選手全員が世界一を誓った。
その後、エキシビションマッチとして新田高校女子硬式野球部と交流戦を開催。ジャパンドリームチームの選手らは打・投・守すべてにおいて好プレーを連発。見事5-0で勝利を収めた。
7月6日には山内監督やコーチのほか、松元主将ら地元チーム「名古屋ビクトリー」に所属し、大会へ出場する日本代表選手たちが大村秀章愛知県知事、河村たかし名古屋市長を表敬訪問。大会に対する意気込みを語り、大村知事と河村市長から大会連覇への激励を受けた。また7月15〜17日には福島県福島市で第2合宿を開催。初日には名球会の協力のもと千葉ロッテマリーンズ前監督の井口資仁さんを講師に招いて地元の野球少年を対象に野球教室も行われ、身体障害者野球に対する競技への理解を広めた。
第1回の2006年大会、2010年大会と2018年大会に見事優勝を果たした強豪国、日本。4回目の世界一を目指す選手たちの熱いプレーを、ぜひ現地で観戦して応援したい。
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