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2024/06/17 特集記事

IFSCクライミングユース世界選手権2023で銀メダルを獲得した髙尾知那選手にインタビュー!

日本スポーツクライミング界のホープ

 スポーツクライミング競技で活躍する、中京大学2年生の髙尾知那選手。昨年8月に韓国で行われたIFSCクライミングユース世界選手権2023で銀メダルを獲得するなど、目覚ましい成長を遂げている注目株だ。身長が高くリーチが長い選手が有利とされるスポーツクライミングの世界で、149㎝と小柄な体格の髙尾選手。「スポーツクライミングは筋力だけでなく、柔軟性やバランス感覚、また、どのように身体を動かして壁を攻略するか戦略を立てる力など、様々なアビリティーが必要とされる競技です。「登り方は人それぞれで、誰かと一緒のことをしなくていい、自由なスポーツです。また、パラクライミングでは、目や足の不自由な方も取り組んでおり、誰もが挑戦できるスポーツです。」とその魅力を語る。
 競技には同じ条件で設置された高さ15mの壁を2選手が同時に登り速さを競う「スピード」、高さ4~5m程度の壁を制限時間内にいくつ登れるかを競う「ボルダー」、高さ12m以上の壁を制限時間内にどの地点まで登れるかを競う「リード」の3種目があり、髙尾選手が得意としているのは「リード」だ。一方で、ホールドからホールドへ飛び移るなどダイナミックな動きが多い「ボルダー」には苦手意識があるという。「私はほかの選手が持ちにくいという小さなホールドもストレスなく保持できるし、持久力にも自信があります。なので粘り強く登るリードが得意だけれど、ボルダーのダイナミックな動きも経験を積んで更に実力と自信をつけていきたいですね」と話す。
※ホールドとは壁から突起した手掛かり、足掛かりとなるもの。

登っている時が一番自分らしくいられる

 小学1年生の時に父親と一緒にクライミングができる施設へ行ったのが、髙尾選手がスポーツクライミングを始めたきっかけ。最初は怖くて登れなかったそうだが、月1回のペースでクライミングジムに通うようになり、小学3年生で選手に登録した。小学5年生でジュニアの全日本選手権でデビュー、多くの試合経験を積んでいったが、中学2年生から高校1年生にかけては大会で思うような結果を出せず、悩んだ時期もあったという。「結構色々考えて緊張してしまうタイプです。ネガティブ思考に囚われて結果が出ない時期が続きましたが、最近は自分に向き合えるようになってきました。緊張してしまう自分を受け入れられるようになって、試合で実力を発揮できることが増えました」と自分自身の変化を感じている。
 中京大学ではスポーツ科学部に在籍。身体のつくりやトレーニング法、ジェンダー論などを学んでいる。「これから始まるスポーツ心理学の授業を楽しみにしています。スポーツクライミングはメンタルがすごく大事になるので、詳しく知りたいです」と勉学にも意欲的だ。平日の練習は週2日だが、土日には1日5時間登る日もあるという。学業と競技の両立は大変だと感じる時もあるそうだが、気持ちは前向きだ。「辛い時もあるけれど、2日間も競技から離れていると登りたくてウズウズしてきちゃいます(笑)。やっぱりクライミングが大好きで、登っている時が一番自分らしくいられます」と弾けるような笑顔を見せた。

ずっとスポーツクライミングに携わりたい

 大学でスポーツについて学ぶ中で、様々なことに関心が広がっていると話す髙尾選手。「選手としていつまで競技を続けられるかは分からないど、クライミングが大好きなのでどんな形でもずっと携わっていきたいと考えています」。試合に帯同してくれるスタッフたちの仕事にも関心が向くようになったそうで、現役を退いた後は自身がワールドカップのような大舞台で選手を支えるスタッフになった姿も思い描いているという。
 東京2020からオリンピックの正式種目となったスポーツクライミングは、日本国内でもライバルがひしめき合う。今シーズンからユースではなくシニアの大会に出場となる髙尾選手は、シニアの日本選手権で優勝し、2028年のロサンゼルスオリンピックで日本代表になることを目標に掲げ、こう宣言した。「一番高い表彰台に乗りたいです!」。
 もっと上へ、もっと高く。小柄なクライマーの挑戦は続く。

(写真真ん中が髙尾選手)

PROFILE
たかお ともな。2004年9月生まれ。豊田市出身で、小学1年生からクライミングを始める。国内外の大会に数多く出場し、IFSCクライミングユース世界選手権2023では銀メダルを獲得。リード種目で日本代表に選出されており、6月末にオーストリアで開催されるワールドカップに出場予定。中京大学スポーツ科学部に在籍。


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