メ~テレ 横井ゆは菜のフィギュアスケート最前線 第4回
グランプリシリーズ開幕!日本勢の躍進が熱い!!
『aispo!』をご覧の皆さんこんにちは!元フィギュアスケーターの横井ゆは菜です。近頃はすっかり秋めいて涼しくなってきましたね。
フィギュアスケートファンの皆さんは秋になると、「いよいよグランプリシリーズの時期だなあ」と感じる方も多いのではないでしょうか。
フィギュアスケートに詳しくない方のために、グランプリシリーズについて簡単に説明させていただきます。国際スケート連盟(ISU)が承認するシリーズ戦で、6カ国で開催されています。またシリーズ戦の最後には、6大会の成績上位選手が出場するグランプリファイナルが行われます。
今回は日本勢、特に愛知ゆかりの選手の演技を掘り下げながら、グランプリシリーズの見どころを紹介していきたいと思います。
10月18日に開幕した「フィギュアスケートグランプリシリーズ2024」ですが、日本勢の活躍がすごい! 初戦のアメリカ大会は、男子、女子、ペアの全てで日本人選手が表彰台に乗る活躍!特に私の同級生の樋口新葉選手が初優勝したことは本当に嬉しいし、誇りに思います。さらにペアでは、「りくりゅう」こと、三浦璃来選手・木原龍一選手組が通算4回目のグランプリシリーズ優勝。木原選手のケガから復活V、お見事でした!
昨シーズンまでは2人の和やかな雰囲気に似合った、見ているこちらが思わず笑顔になってしまうようなプログラムが多かったのですが、今シーズンはコンセプトをガラリと変えてきてかっこいい系、“Very cool”なプログラムに!新鮮味があって、観ていて楽しいですね。
ペア競技の一押しポイントは、演技が終わった後のアイコンタクト。お互いの演技に納得しあっている表情を見せたり、どちらかが失敗した時はフォローしたりと、ペアの絆が垣間見えるのはシングルにはない魅力だなと思います。
りくりゅうペアへのインタビュー記事をチェック!
りくりゅうペアが登場する「漫画あいスポくん」もチェック!
漫画 あいスポくん「あいスポくんと三浦璃未選手&木原龍一選手」
中京大中京高校・中京大学ゆかりの女子選手が大活躍!
アメリカ大会で優勝したりくりゅうペアは中京大学ゆかりの選手です。ほかにも、私の母校でもある中京大学・中京大学附属中京高等学校ゆかりの選手がグランプリシリーズに出場します。
第2戦カナダ大会の女子シングルでは、松生理乃選手が坂本花織選手に次ぐ2位!松生選手は2020年の全日本ジュニア選手権で優勝するまでは、比較的遅咲きの選手でした。そんな彼女ですが、以前からスケーティングスキルの高さには目を見張るものがありました。
3回転から3回転のジャンプコンビネーションの技術もさることながら、構成点、いわゆるスケーティングの上手さが高い評価を得ていている松生選手。その滑りには「オーラ」すら感じます!
特別強く氷を押しているわけではないのに、スピードが出ていて、滑らか。観ていて気持ちがいいんです。実際に観ていただくと、その素晴らしさが一目でお分かりいただけると思います。
松生選手の高校生時代のインタビュー記事をチェック!
スケート王国・愛知の系譜を受け継ぐ16歳の新星・松生理乃
カナダ大会では、日本人選手が表彰台を独占したことが大きな話題となりました。その一角を占めたのが、中京高校出身の吉田陽菜選手です。彼女の注目ポイントはトリプルアクセル。ジュニア1年目の2019年の全日本ジュニア選手権でトリプルアクセルを成功させて3位になって以降、トリプルアクセルをプログラムに組み込んでいます。
これは実はすごいことで、トリプルアクセルに挑戦する選手は何人かいますが、コンスタントに成功している選手はそれほど多くないんです。挑戦するだけじゃなくて、大舞台で成功させているのがまたすごい!
私はトリプルアクセルを途中で諦めた身なので、彼女がいかに努力しているか身に染みて分かります。
日本のエース・鍵山優真選手に注目!
続いては男子の注目選手を紹介していきます。2022年北京オリンピックの銀メダリストで、昨シーズンの世界選手権でも銀メダルを獲得した鍵山優真選手。実績、実力ともに日本のエースですよね。
数年前までの鍵山選手は技の難度よりも完成度を重視するタイプでした。それでも一つ一つの技のクオリティーがすごく高いので、世界のトップと十分に渡り合えていました。そこに、今シーズンは4回転フリップという高難度のジャンプを高クオリティーで入れてきている。そうなったら、もう怖いものなしじゃないでしょうか。
ジャンプ以上に私が大好きなのは鍵山選手のステップです!中京大学で練習を見た時もステップを念入りに練習していましたが、迫り来るようなステップで見入ってしまいました。
今シーズンはフリーがフラメンコの曲調で、それがまた素晴らしいんです。私は昨シーズンのプログラムが大好きで、「次に、これを越えるのは難しいんじゃないか?」と勝手に心配していたんですけど、今シーズンはそれを超えてきました!完成度+高難度ジャンプ+迫真のステップ=最強。4回転の神“Quad God”こと、アメリカのイリア・マリニン選手に立ち向かう闘志を感じさせる最強のプログラムをぜひ見ていただきたいです!
この記事が公開される頃には、日本大会(NHK杯)の結果が出ているかと思いますが、きっと素敵な演技を魅せてくれるでしょう!
鍵山選手が表紙を飾ったバックナンバーをチェック!
山本草太選手は第5戦フィンランド大会に登場
そして、邦和みなとスポーツ&カルチャーや中京大学のリンクで一緒に練習してきた山本草太選手。今シーズンは4回転フリップに挑戦しているのですが、今年9月のネーベルホルン杯は敢えて4回転フリップを構成に入れず、ノーミスで滑り切って逆転優勝!
これは「フィギュアスケートあるある」なんですけど、難易度を下げた時にミスをするということが意外と起こりがちなんですね。それをノーミスでやり切れたのは、これまでの練習の積み上げの成果だなと感じました。プログラムの後半に4回転ジャンプを入れてきていることからも、練習の充実度が感じられます。
昨シーズンは“NEW草太”というコンセプトで取り組んでいましたが、今年も今年でNEW草太!彼はクラシックの音楽が合うイメージだと思うんですけど、今シーズンのSP(ショートプログラム)はピアノを基調とした曲なので、新しさの中にも彼の元々持っている魅力も発揮できています。
そして、私が彼を「頼もしいな」と思えるのは、まだまだ成長しようという向上心が見えること。「上位」ではなく「トップ」を目指しているからこそ、勝つために4回転フリップにも挑んでいるんだと思うんですね。幼馴染みの草太くんのそういう姿勢をとても尊敬していますし、応援しています。
カナダ大会では4位と惜しくも表彰台を逃しましたが、フィンランド大会ではその悔しさを晴らすような演技に期待が高まります。
グランプリシリーズをもっと楽しむためのゆは菜ガイド
個人的には演技後の選手の表情にはすごく注目しています。ミスした時の悔しい顔やガッツポーズなど、この選手はこれまでどんなふうに練習を積んできたんだろうと色々と想像できるのが面白いんです。選手の素が一番垣間見える瞬間だと思うんですよね。
私は自然とガッツポーズが出るタイプでした(笑)。鍵山選手はノーミスの演技をして、ガッツポーズするところまでをイメージするのがルーティーンだと話しているのを聞いたことがあって、人それぞれで面白いなと思います。
グランプリシリーズは、個々の大会の順位によってグランプリファイナル進出が決まります。シリーズもいよいよ終盤ですが、これまでの順位(ポイント)をメモしておき、どの選手がファイナルに進出するのか予想するのも楽しいですよ。
グランプリシリーズはテレビ朝日系列で放送していますので、出場選手などの大会情報は番組HPでチェックしてくださいね。
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう!
※外部のサイトにリンクします。
テレビ朝日 グランプリシリーズのHPはこちら
第5戦フィンランド大会は11月16日・17日に放送予定
2025年にIGアリーナで開催されるグランプリファイナルの続報にもご期待ください。
PROFILE
よこい ゆはな。2000年5月生まれ。愛知県名古屋市出身。2013年のガルデナスプリング杯ノービスクラスで2位となるなど、ジュニアの頃から注目を集める。2018年の世界ジュニア選手権では6位入賞。ジュニアでキャリアを重ね、2019年よりシニアに転向。2022年には目標の一つであった四大陸選手権に出場して7位となった。中京大学卒業と共に引退し、現在はメ~テレのイベントコンテンツ部で日々の業務に励む傍ら、フィギュアスケートの魅力を発信している。
X @yuhachin0519
Instagram @yuhachin
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