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2025/02/21 特集記事

メ~テレ 横井ゆは菜のフィギュアスケート最前線 第5回

左から山本草太選手、山下真瑚選手、横井ゆは菜さん

フィギュアスケートファン必見!
山本草太選手と山下真瑚選手にインタビュー

 『aispo!』をご覧のみなさんこんにちは!元フィギュアスケーターの横井ゆは菜です。私が愛知のフィギュアスケートに関するコラムをお届けするのも、これで5回目となります。 
 今回は私の母校・中京大学を訪れて、山本草太選手と山下真瑚選手に直撃取材!! その模様を前後編にわたってお届けしていきます。前編では2人がお互いにどんな印象を持っているのか、どんなプログラムが印象に残っているかなど、スケートオタク度高めな内容でお届けします(笑)。

懐かしの母校で、私が2018年に優勝した全国高校総体フィギュアの記念写真を発見

横井ゆは菜(以下横井):本日はよろしくお願いします!

山本草太選手(以下山本)・山下真瑚選手(以下山下):よろしくお願いします。

山本:この3人って、珍しい組み合わせだよね?

横井:珍しいね。草太と私は同じ邦和スポーツランド(現 邦和みなとスポーツ&カルチャー)で育ってきて、2021年に草太が真瑚ちゃんの所属しているグランプリ東海クラブに移籍したから、3人が揃う機会は意外となかったよね。ファンの皆さんにも「珍しい組み合わせだな」と感じていただけるのではないかと思って、2人に来ていただきました。まだシーズンが終わっていない中でお時間を作っていただき、ありがとうございます!
※この取材は1月23日に行われました

山本・山下:こちらこそ、ありがとうございます。

インタビュー開始前には、2人の練習の様子を見学

横井:今はグランプリ東海クラブでも中京大学でも一緒に練習することが多い2人ですが、初めて会った時のことは覚えていますか。

山本:僕はノービスAの2年目のシーズンに大阪から名古屋に来たんですけど、その時は僕が邦和スポーツランドで、真瑚ちゃんはグランプリ東海クラブと別々のクラブに所属していたので、愛知県強化指定選手限定のスケートリンク貸切練習で一緒になったのが最初だと思います。「すごくスケーティングが上手なジュニアの子がいるな」というのが第一印象ですね。

山下:え?ジュニアより前に出会っていたよね? 

山本:それ以前にも会っていたかもしれないけど、はっきりと覚えているのは真瑚ちゃんが世界ジュニア選手権で3位になったシーズン(2017-2018)の頃かな。上手な選手だと印象に残っています。

山下:世界ジュニアは中学3年生の時ですね。私はそれよりも前から県強化指定選手の練習で邦和の選手と一緒になることが多くて。草太くんは邦和のお兄さんお姉さんの中の一人で、ジャンプがすごく上手い選手だと思っていました。当時の私はまだルッツトゥ(後ろ向きで左足がアウトサイドのまま右足のつま先をついて跳ぶジャンプが「ルッツ」、そのルッツを後ろ向きで左足のつま先をついて跳ぶジャンプがルッツトゥ)が跳べなかったので、「すごい!」と思いながら見ていましたね。草太くんは私のルッツトゥのお手本の一人です。

横井:わかる!私も草太はルッツが上手いというイメージがあります。私が初めてルッツトゥを成功させた時、実は飛ぶ前に草太のルッツトゥを思い浮かべてから跳んだんですよ。そしたら跳べた!真瑚ちゃんのルッツトゥもきれいな印象があるよね。

山下:ありがとう。ずっとプログラムにルッツトゥを入れています。

この日も真瑚ちゃんはルッツトゥの練習をしていました

横井:かなりスケートオタクな質問になっちゃうんだけど、真瑚ちゃんはいつもルッツトゥを2本入れるプログラム構成で、今シーズンも11月の西日本フィギュアスケート選手権まではルッツトゥ2本の構成だったよね。12月の全日本フィギュアスケート選手権では2本のルッツトゥのうち1本をアクセルトゥ(アクセル:前向きで右足を振り上げて跳ぶジャンプ)に変更したのは、どのような意図があったの?

山下:もともとトゥに苦手意識があって、今シーズンはずっとルッツトゥが回転不足になったりしてうまくいっていなかったので、全日本では絶対に跳べると100%の自信を持てる構成でまとめようとアクセルトゥに変更しました。

横井:真瑚ちゃんのアクセルトゥをあまり見たことがなかったから、「なんてレアなの!」と、私はかなりテンションが上がりました。草太もルール変更があってからはシークエンスダブルアクセル(足を踏みかえてから跳ぶ2回転ジャンプ)が得点源になっているよね。最近は男子のシークエンスでアクセルが見られるのが私的には嬉しい。2人ともルッツが上手いという共通点がありますが、それ以外に、お互いの「ここがすごい!」と思うポイントを教えてください。

山本:さっきも話したけど、ジュニアの頃からスケーティングが伸びやかだなと思っていたし、今もトップスピードのままジャンプが跳べるところは真瑚ちゃんの武器。僕も見習いたい。見習いたいけど、簡単にはできないんだよね(笑)。それから、自分の表現にすごく自信を持っているところも素晴らしいなと思う。

横井:私も真瑚ちゃんのスケーティングが超大好きで、何年も前から言い続けてる(笑)。

山本:あとは、イナバウアー!

横井:そう!真瑚ちゃんのイナバウアー、いいよね。フリーの見せ場だと思う。

私真瑚ちゃんのイナバウアーが好きなんです。

山下:私が思う草太くんのすごいところは、練習量。朝から晩まで、見ていて心配になるくらいずっと練習している。中京大学のオーロラリンクは入館時に名前を記入をするんですけど、私が来た時には必ず草太くんの名前が書いてあるし、私が帰る時にもまだ練習してる。私は短期集中型なので、そういう積み重ねが大事なんだなとすごく尊敬しています。

横井:私も妹のきな結(横井きな結選手、中京大学)から「草太、ずっと氷の上に乗ってるよ」って、噂では聞いていました。

山本:長ければいいというわけでもないし、真瑚ちゃんみたいに短期集中の方が効率がいいとはわかっていて、できれば僕もそうしたい。でも上手くいかないことが多いので、自分が納得するまで滑ってしまうんですよね。

横井:自分の現役時代のことはもうだいぶ忘れてしまいましたが、それぞれの選手に合った頑張り方がありますよね。ちなみに、自分自身の強みは何だと考えていますか。

山本:マジで強みと思えるところはないんだけど……。唯一イーグル(両足のつま先を開き、背を反らして横に滑る技)は皆さんに褒めてもらえるので、イーグルは自信を持っている部分ですね。

大鷲が羽ばたく瞬間が美しい!

山下:私はポジティブな性格!

横井:いえいえ、私から見ると2人とも強みがもっとたくさんあると思うんだけど。自分に厳しいところも2人の強みなのかも。

山下真瑚選手の過去インタビューも合わせてチェック!

好きなプログラムを挙げ出したら止まらない!

横井:お互いに印象に残っているプログラム、好きなプログラムを教えてください。

山本:今年のSP(ショートプログラム)の映画『ムーラン・ルージュ』の『Hindi Sad Diamonds』は、少し変わったテイストの編集になっていて、独特な世界観が真瑚ちゃんに合っているし、これまでにない新鮮な感じがして好きですね。あとは、コロナ禍のシーズンでのフリー、青っぽい衣装の時に……。

山下:『A Thousand Years 』かな?ボーカル入りの曲。

横井:私も好き!「真瑚ちゃんらしいなあ」って思いながら見てた。

山本:そう。あの曲が流れたら「あっ、真瑚ちゃんだ」ってなるよね。あと、『蝶々夫人』もいいよね。

横井:話し出すとどんどん出てきて、止まらなくなって困る。スケートファンの皆さんが考えている以上に、スケーターはスケートが好きで、「好きなプログラムのことを伝えたい!」って思っているんですよ。スケートオタクは私だけではないんです(笑)。真瑚ちゃんは草太のどのプログラムが好きですか?

フィギュアスケーターはみんなフィギュアオタクです

山下:私は草太君のプログラムでは、FS(フリースケーティング)の『In This Shirt』が好きです。親子で好き(笑)。

山本:おー、懐かしい!

山下:ゆっくり始まって、だんだん振りが力強くなって、最後のステップのシュッ!あれがお気に入りポイントです。

横井:わかる!『In This Shirt』は後ろ向きに始まるプログラムで、その前のシーズンの『信長協奏曲』も後ろ向き始まり。それが草太の魅力を高めていると言っていいんじゃないかと私は分析しています。

山下:私もそう思います。後ろ始まりがいい!あと好きなのは、緑色の衣装の……。

横井:『ドラゴン/ブルース・リー物語』じゃない?

山下:そう!あれもすごく好きです。

横井:でも、『ドラゴン』を滑っていた期間は短かったよね?シーズンの途中で変更しなかった?

山本:全日本が終わったタイミングで『In This Shirt』に変更したね。

草太のプログラムはどれも素敵なんです!

横井:草太も真瑚ちゃんも、これまでに色々なプログラムに挑戦してきたけど、お互いにこういうプログラムをやってほしい、観てみたいという提案はありますか。

山本:真瑚ちゃんはタンゴもフラメンコもやってるし、壮大な曲も似合う。なんだろうなあ……。大人っぽいジャズなんて似合うかも。

横井:確かに、真瑚ちゃんのジャズは見たことないね。

山下:ジャズ、やってみたい!私は草太くんの昨シーズンのSP『カメレオン』みたいなプログラムをもっと見てみたい。ゆったり優しい感じはすぐに想像できるんだけど、ノリノリ系、元気な曲をあまり観たことがないから、そういう草太くんをもっと見てみたい。

横井:私も観たい。

山本:機会があれば(笑)。

どんな曲でも様になる真瑚ちゃん

横井:2024-25シーズンも終盤に差し掛かっていますが、今シーズンの残り、そして来シーズンに向けてどんなところを磨いていきたいですか。

山本:今シーズンはジャンプの安定性に欠けるところがあったので、まずはジャンプをもっと安定させたい。スピンやステップを取りこぼす試合もあって、そうした細かい部分が最終的に得点に響いてくる。ジャンプの確実性とそれ以外の要素の質を高めることを両立できるように練習していきたいです。

山下:私はもっと個性を磨きたい。山下真瑚にしかできない表現やエッジワークなどを追求して、「真瑚だからできるよね」と言ってもらえるようなスケートがしたいです。

横井:残りのシーズンも楽しみにしています。読者の皆さん、後編はお2人のスケート人生に迫っていきますので、お楽しみに!

次回もお楽しみに!

村上佳菜子さんの音楽会が今年も開催!

 ここで皆さんにお知らせがあります。メ~テレで現在、私が取り組んでいる仕事です!
 3月20日(木・祝)に、愛知県芸術劇場にて「村上佳菜子のフィギュアスケート音楽会」が開催されます!昨年この公演を観に行きましたが、演奏される曲すべてが聴きなじみのある曲ばかり。先輩方の名演技を思い出しながらの鑑賞は新鮮でしたし、ソリストによる演奏や、歌声には圧倒されました。
 曲の合間には、村上佳菜子さんとゲストによるトークもあったので、普段オーケストラのコンサートに行かない私でも、あっという間に感じるほど楽しめました。皆さんぜひお越しください!

『村上佳菜子のフィギュアスケート音楽会』

PROFILE

横井ゆは菜
よこい ゆはな。2000年5月生まれ。愛知県名古屋市出身。2013年のガルデナスプリング杯ノービスクラスで2位となるなど、ジュニアの頃から注目を集める。2018年の世界ジュニア選手権では6位入賞。ジュニアでキャリアを重ね、2019年よりシニアに転向。2022年には目標の一つであった四大陸選手権に出場して7位となった。中京大学卒業と共に引退し、現在はメ~テレのイベントコンテンツ部で日々の業務に励む傍ら、フィギュアスケートの魅力を発信している。
X @yuhachin0519
Instagram @yuhachin

写真提供:中京大学スケート部

山本草太
やまもと そうた。2000年1月生まれ。大阪府出身。幼少期からフィギュアスケートを始め、中学生時に横井ゆは菜さんと同じ邦和スポーツランドに所属。2018年中京大学に入学、卒業した現在も同大学の「オーロラリンク」を拠点として練習に励んでいる。2024–25シーズンはグランプリシリーズのカナダ大会、フィンランド大会で4位。チャレンジャーシリーズのネーベルホルン杯では優勝を飾った。

写真提供:中京大学スケート部

山下真瑚
やました まこ。2002年12月生まれ。愛知県名古屋市出身。3歳の時に荒川静香氏のイナバウアーを観て憧れたことからスケートを始める。2021年中京大学に入学、2024年よりスケート部の主将を務める。横井ゆは菜さんは高校・大学で2学年上の先輩にあたる。2024–25シーズンは香港で行われたアジアンオープントロフィー2位、全日本フィギュアスケート選手権6位など輝きを放つ。


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