名城大学女子駅伝部 密着レポートvol.2
駅伝シーズンを迎える部員たちの「想いと葛藤」

チームスローガンは、「感謝を胸に、ジョウショウ・メイジョウ」
10月27日(日)に宮城県で開催される「第42回全日本大学女子駅伝対校選手権大会」の8連覇、12月30日(月)に静岡県で開催される「2024全日本大学女子選抜駅伝競走(富士山女子駅伝)」の7連覇という前人未踏のチャレンジに向けて、トレーニングに励む名城大学女子駅伝部のチームスローガンだ。ジョウショウには、常勝・常笑・上昇の3つの意味が込められている。
同部の活動は、春先のトラックシーズンと秋から冬にかけての駅伝シーズンに分けられており、8月は駅伝シーズンに向けた走り込みの合宿を長野県の富士見高原で行った。

2024年のトラックシーズンは、5月には宮崎県でゴールデンゲームズ、6月には新潟県で日本陸上競技選手権、7月には北海道にてホクレン・ディスタンスチャレンジに出場。また8月の富士見高原での合宿後には、神奈川県で全日本インカレ(日本学生陸上競技対校選手権大会)が行われた。次はいよいよ駅伝シーズンだ。

前回の富士見高原での米田勝朗監督のインタビューに続き、第2回は瀬木彩花選手(2年)、石松愛朱加選手(3年)、キャプテンの谷本七星選手(4年)に、それぞれの胸中を語ってもらった。
第1回の記事はこちら
念願の駅伝でのメンバー入りを目指す瀬木選手
今年のトラックシーズンは、1500mと3000mで自己ベストを更新するなど、満足のいく結果となった瀬木彩花選手。初めて出場した日本選手権の1500mを「ターゲットナンバー(出場可能な人数)ギリギリでの出場でした。緊張したけれど、トップレベルの人と走る経験ができたのは貴重な経験でした」と振り返る。
昨年の駅伝シーズンでは部内での出場メンバー入りが叶わずに悔しい思いをしただけに、今年こそは駅伝を走りたいという気持ちを燃やしながら合宿での練習に力を注いだ。同級生の山田未唯選手が8月末にペルーで開催された「リマ2024 U20世界陸上競技選手権大会」の日本代表に選出されたことにも、大いに刺激になったという。
「今年の合宿のテーマは3000mより長い距離への抵抗や不安をなくすこと。練習後の流しでもスピードが落ちないように意識しながら取り組んでいます。5000mでは秋以降に15分台が出せるようにしたいです」と明確な目標設定を掲げる。そのためにも、まずは駅伝メンバー入りを果たすことが重要となる。「全日本までの過程を大事にして自信をつけ、自分がやってきたことに悔いが残らないよう、この1年を頑張っていきます」と駅伝に向けた意気込みを語る。

チームの精神的支柱として駅伝シーズンに臨む石松選手
石松愛朱加選手は、トラックシーズンにモチベーションが上がらず、苦しんだ時期があったと打ち明ける。「春のゴールデンゲームズまでは、5000mという距離に対しての苦手意識から走りたくないという気持ちが強く、思うような結果が出ませんでした。自分で走りたいと思えるよう自分で気持ちが上がるような練習メニューを組み、心身の調子を徐々に整えていきました。後半は意識がだんだん変わってきて、春よりしっかり走れるようになった実感があります」。
トップアスリートになればなるほど、メンタルコントロールは必須スキルだ。石松選手がスランプから脱出できたのは、徹底した自己分析にある。「これまでもたびたび、走りたくなくなる時期を経験してきました。気持ちには波があると自覚しているので、今では無理にあがこうとせずに、仕方がないと一歩引いて自分を見ることができるようになっています。また、気持ちと走りは100%イコールではないことも体験しました。気持ちが乗らなくても走れたらラッキーですし、割り切るのが上手くなりました」と笑顔も見せた。
「駅伝の出場メンバーに選ばれるのは最低条件。どの区間を任されても役割のさらに上を行く走りができるようにしたいです」と話す様子からは、上級生としてチームの精神的支柱も担う覚悟がうかがえる。

谷本選手は自身を見つめ直すことでさらなる上昇を期す
キャプテンとしてチームを牽引する谷本七星選手にとって、トラックシーズンは困難を極めた。6月からは3週間の教育実習でチームを離れた。教育実習終了後のホクレンでは新型コロナウイルス罹患により5000mを棄権、復帰後も坐骨神経痛に見舞われ、本格的に仕切り直しができたのは夏合宿からとなった。
「前半シーズンは副キャプテンの米澤奈々香選手(3年)もケガで思うように練習ができず、チームのモチベーションが気がかりだった」と谷本選手は話す。「チームスローガンの“ジョウショウ”の意味の一つが常に勝つという常勝。トラックも駅伝もどちらも強い名城大学でありたいという目標も含まれています。しかし、私自身は気持ちが空回りしてしまい、うまく走りにつながりませんでした」。
「私は中高でキャプテンの経験がなく、今年初めて大きな責任を担うことになりました。今思うと、周りを気にしすぎて想像を膨らませ、責任をどんどん肥大化させてしまった部分がありました。また日記を遡ると、キャプテンになる前までは自分の状態について記していることがほとんどなのに、それ以降は外向きの視点で書いてばかりいたんです」。キャプテン就任で、自分のコンディション調整に集中することがおろそかになっていることをこの時期に気付けたことは、チームにとって大きな収穫であろう。

チームの必達目標は、全日本大学女子駅伝、富士山女子駅伝の両大会での二冠だ。今後の駅伝シーズンに向けてキャプテンの谷本選手はチームのまとまりを意識し、チームミーティングを増やしていく予定だと言う。「ライバル校もめきめきと実力をつけていますが、私たちも全員がいいコンディションで大会を迎えられるように頑張ります」。
前回で米田勝朗監督が語ったように、より大切なのは「このメンバーで戦う一度きりの大会を充実させること」。応援する我々は、その上で連覇記録をさらに1つ伸ばすことに期待せずにはいられない。

谷本七星
たにもと ななせ。2002年6月生まれ。広島県出身。広島市立舟入高等学校を卒業後、名城大学に入学。全日本大学女子駅伝では3年連続で区間賞を獲得。今年からキャプテンを務める。

石松愛朱加
いしまつ あすか。2003年10月生まれ。兵庫県出身。須磨学園高等学校を卒業後、名城大学に入学。2023年は全日本大学女子駅伝3区の区間賞、富士山女子駅伝4区の区間賞と連覇に貢献。

瀬木彩花
せぎ あやか。2004年5月生まれ。岐阜県出身。美濃加茂高等学校を卒業後、名城大学に入学。全国高校駅伝で3年連続エース区間の1区を走るなど、駅伝部の未来を担う逸材の一人。
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