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2025/06/16 特集記事

「山を走ってるときが一番楽しい!」──スカイランニング最強姉妹、大掛柚奈選手&莉奈選手が語る“山愛”と挑戦

家族での登山が競技を始めるきっかけに

「あの山の頂上まで、どれだけの時間で登れるだろうか」——登山者なら誰もが抱くような思いから生まれたのがスカイランニングというスポーツだ。

累積標高差1200m以上の山道を20km~45kmほど走ったり(スカイ)、平均傾斜20%以上の山道を駆け上がったり(バーティカル)、雪山を走ったり(スカイスノー)、高層ビルやタワーの階段を駆け上ったり(ステアクライミング)、場所や季節、競技の内容によって様々な種目があるが、とにかく体力的に過酷な競技であることは間違いない。

春日井市出身の大掛柚奈選手と莉奈選手は、2024年7月に開催されたユース世界選手権や2025年4月に行われたスカイスノーの国際大会でワンツーフィニッシュを決めるなど、スカイランニング界を代表する選手として今後の活躍が期待されている。

2人がこの過酷な競技を始めたきっかけは何だろうか?
「小学生の頃、家族みんなで登山を始めたことがきっかけです。家の近所にある春日井三山(弥勒山、大谷山、道樹山)へしょっちゅう登りに行っていました。そのうち、歩いて登るだけでは面白くなくなってきて、走って登るようになりました」と柚奈選手が教えてくれた。

バスケットボールやバレーボール、テニスなど、競技人口の多いスポーツではなく、なぜスカイランニングというフィールドを選んだのか?
その問いに対し莉奈選手は次のように答えてくれた。「正直に言ってしんどい時もあります。でも私たちは山が大好き。山を走っている時が一番楽しいです」。

愛知県春日井市と岐阜県多治見市の境にある、弥勒山

競技に打ち込める環境を作るためにも好成績を

2015年から全日本選手権が開催されるなど、徐々にではあるが認知度が高まりつつあるスカイランニング。今では20以上の公認レースが日本各地で開催され、その参加者数は1万人を数えるという。それでもまだまだ競技人口は少ないのが現状だ。

柚奈選手も莉奈選手も「競技人口がもっともっと増えるといいな」と口を揃える。大掛姉妹の活躍がメディアなどでも取り上げられる機会が増えていることもあってか、最近は姉妹と同年代の若い世代の選手が増えているという。2024年には東海地方を拠点に活動するスカイランニングのクラブも創設されたそうだ。

とは言え、この地方でスカイランニングの練習環境が充実しているとまでは言い難い。この春、2人は春日井市の中学を卒業して、石川県金沢市にある金沢学院大学付属高等学校へ進学した。

石川県での高校生活スタート

スカイランニングの選手が彼女たちのほかにも3人ほどいて、所属する陸上競技部とスカイランニングの両立を後押ししてくれる体制が整っていることが決め手になったという。

「私たちと同年代の選手も多く出てきているので、そういう若い選手たちが競技に専念できる環境が整うと良いなと思います」と柚奈選手が言えば、「私たちがいっぱい活躍して、スカイランニングが面白いスポーツだということを多くの人に知ってもらいたいと思います」と莉奈選手は今後の活躍を誓った。

富士見台高原で雪山登山

一人でも多くの人に競技を知ってもらいたい

2人が憧れている選手はプロマウンテンランナーの吉住友里選手。世界選手権やアジア選手権など、数々の国際大会で優勝した実績を持つ、第一人者だ。憧れを抱く理由を莉奈選手は「日本で一番強くて、海外でも活躍しているから」と話す。

柚奈選手は「いつか下の世代の子たちから、私たちが憧れられる選手になれるように頑張りたいです」と抱負を述べた。

2人の当面の目標は今年の8月に行われるユース世界選手権で昨年以上の成績を収めること。昨年のユース世界選手権、スカイで1位、バーティカルで3位になり、2つの種目の合計点で競うコンバインド(複合)で優勝した柚奈選手は2連覇を、スカイ、バーティカルとも2位でコンバインドでは3位だった莉奈選手はリベンジを誓っている。

2024年のユース世界選手権

このほか、莉奈選手が出場したいと話すのは毎年7月に行われる「富士登山競走」。富士吉田市役所から山頂までのコースは、距離21km、標高差3000mを一気に駆け上る、日本一の名峰を舞台にした伝統あるレースだ。きつい坂を一気に駆け上る「上り」に自信を持っている莉奈選手ならではの目標だ。

一方の柚奈選手の口からは「都大路を走りたい」と意外なコメントが。陸上競技部で3000mに挑戦している柚奈選手は、毎年12月に京都を舞台に開催される全国高等学校駅伝競走大会に出場することを目標にしているという。

昨年の大会では、北海道の「札幌山の手高校」が陸上部員が足りず、バスケ部に所属している選手が駅伝メンバーとして出場し大きな話題になったが、大掛姉妹が出場すれば注目を集めるに違いない。そうすれば、スカイランニングという競技にも多くの人が関心を持つことだろう。

「まずはスカイランニングという競技があることを1人でも多くの人に知ってもらって、興味のある人はぜひやってみてほしいです」と柚奈選手が意気込みを語れば、莉奈選手は「バーティカルはロープウェイの駅があるところがゴールだったりするので、見に来やすいと思います。ぜひたくさんの人に応援してほしいです」とアピールした。

“山が大好き”な姉妹の物語は、まだまだ続いていく。最強姉妹が描くスカイランニングの未来に、引き続き注目していきたい。

PROFILE
大掛柚奈(姉・写真右)
おおがけ ゆな。2009年11月生まれ(高校1年生)。春日井市出身。2024年ユース世界選手権 女子複合1位(スカイ1位、バーティカル3位)。

大掛莉奈(妹・写真左)
おおがけ りな。2009年11月生まれ(高校1年生)。春日井市出身。2024年ユース世界選手権 女子複合3位(スカイ2位、バーティカル2位)。


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