「いつも通り」を心に留めて弓を引くことに集中し、世界大会で金メダルを目指す久野弥花選手にインタビュー!
再現力を大切に、毎回同じ動作で弓を引く
2024年2月29日(木)に日本ガイシホールで開催される「第4回世界弓道大会」。愛知・名古屋では初開催であり、世界25の国と地域から弓道家たちが集って、技を競い合う。この晴れ舞台に日本代表として出場する久野弥花(くのみか)選手。弓道を始めたきっかけは中学生の時、仲が良かった先輩の袴姿に憧れたことだと話す。「やるなら、同級生の中で一番うまくなってやろうと思って、一生懸命練習しました」。
中学生の段位取得は初段までが一般的だが、久野選手はその上の弐段を取得。さらなる上を目指し、全国屈指の強豪校、豊橋商業高校へと進んだ。1年生の時、インターハイの団体戦での優勝を経験。しかし2年生の時には県大会を勝ち進むことができず、インターハイ出場は叶わなかった。「優勝旗返還のためだけに会場に行くのはとても悔しかったです。今のままじゃダメだ、とさらに練習に力を入れるようになりました」。
練習は嘘をつかない。その年の冬の全国選抜大会では団体戦で準優勝、技能優秀校に輝いた。大学でもインカレや全日本王座決定戦など大きな試合に幾度も出場し、結果を残してきている。「弓道は再現力が大切。毎回違う弓の引き方では的に中(あた)らないので、常に同じ動き方で引くことが重要です。試合では毎回『いつも通りに』と思って弓を引きます。適度な緊張感が集中を高め、よい結果につながります」と久野選手。練習によって体に染み付いた動きを繰り返すことが勝利に結びつくと話す。


練習を重ねた分だけ結果につながる
久野選手は一児の母となった現在も、毎日欠かさず練習を行っていると話す。「毎日練習したらその分結果につながることと、自分としっかり向き合えるところが弓道の魅力。客観的に自分の射を見返して、次はこうやってみようと考えることができます。練習仲間にも自分の射について率直な意見を聞きながら、常に前向きな気持ちで取り組んでいます」。
弓道を始めて14年、それぞれの時代を経て成長を重ねてきたとも。「高校時代はキャプテンとして、先生に言われたことを忠実に守るために、仲間に対して厳しく当たることもありました。大学の部活ではいろいろな地域から来た人たちと練習をすることで多様な考え方があることを知り、少しずつ自分が丸く変わっていったと思います。社会人となった今では周りを見ることができるようになり、自分の射にもより一層集中できるようになりました」と自信にあふれた笑顔を見せる。
自分の弓を引くことに集中し、世界大会に挑む
練習の気分転換は、ショッピングモールでのウィンドウショッピング。試合を頑張った自分へのご褒美にスイーツやケーキを楽しむこともあるという。「家の近くのケーキ屋さんが好きです」と若い女性らしい素顔を見せる一方で、弓道をやっていてよかったと思うときを尋ねると「試合に勝ったとき。負けたときは本当に悔しい」と負けず嫌いの一面も併せ持つ久野選手が、次に挑むのは世界の舞台だ。「名古屋で世界大会が行われると知ったのは1年前。その時から絶対に出たいと思っていました」と話す久野選手は、その願いを叶えて日本代表チームの一員として弓を引く。「チームメイトの小越智就(おこしともなり)選手は昔から知っているので、一緒に出場することができるのが嬉しく、楽しみです。仲間には、常にポジティブな言葉をかけ続けて試合に臨みたいと思います」。目標はもちろん優勝だ。「25カ国・地域から選手が出場しますが、恐れずに大会自体を楽しんで優勝したい。仲間と一緒に、『いつも通り』で挑めば勝てると思っています。自分の弓を引くことに集中したいですね」。日の丸を背負って矢を放つ久野選手の勇姿を、ぜひ試合会場に足を運んで応援したい。
PROFILE
久野弥花
くの みか。1997年生まれ豊川市出身。中学校から弓道を始め、豊橋商業高等学校時代は全国選抜大会をはじめインターハイや国体に出場。愛知大学では全日本王座決定戦優勝、国体近的優勝など華々しい戦績を残す。社会人になってから令和3年全日本弓道大会有段者の部3位、令和4年国体遠的6位、近的準優勝に輝く。
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第4回世界弓道大会(愛知・名古屋)日本代表選考会 視察レポート
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