aispo! News #15
4年に1度のバスケの祭典がいよいよティップオフ!愛知県ゆかりの選手の3Pシュートに注目。
バスケットボールの世界最高峰の舞台、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」が、2023年8月25日(金)から9月10日(日)まで、フィリピン・インドネシア・日本(沖縄県)で開催される。史上初の複数の国での開催となる今大会には、開催国であるフィリピン、日本と各地区予選を勝ち抜いた30か国から、男子代表チーム計32チームが参加。世界の頂点を懸けて激闘を繰り広げる。
日本代表「AKATSUKI JAPAN」が属するグループ Eは、FIBAランキング(2月27日付)3位で、東京2020で銅メダルを獲得したオーストラリア、同ランキング11位で、「FIBAユーロバスケット2022」で3位となったドイツ、同24位のフィンランドと強豪ぞろい。グループ内総当たりで対戦し、上位2チームが2次ラウンドへと駒を進める。
13年ぶりに出場した前回の2019年ワールドカップでは、NBAで活躍する八村塁選手や渡邊雄太選手らを擁して「史上最強の日本代表」と期待されるも、5戦全敗。32チーム中31位で大会を終えた。雪辱を期した東京2020でも3連敗を喫し、2大会連続で『世界での1勝』を手にすることはできなかった。
東京2020後、女子代表に銀メダルをもたらしたトム・ホーバス氏をヘッドコーチ(HC)に迎えて、再出発を図った男子代表。東京2020で世界を驚かせた指揮官は、沖縄の地で再び旋風を巻き起こせるか。
生命線となるのは、3ポイントシュートの試投数と成功確率だ。ホーバスHCはペイントアタックからのレイアップと3ポイントシュートを軸にした効率のいいバスケットを志向している。今大会、八村選手は欠場するが、チームの中核を担うのは渡邊選手(フェニックス・サンズ)、馬場雄大選手、富永啓生選手(ネブラスカ大学)の海外組。中でも、NBAで歴代最多の3ポイントシュートを決めているステフィン・カリー選手の名前にちなみ、“和製カリー”とも称される生粋のシューター・富永選手の活躍が鍵を握る。
富永選手の代名詞は、3ポイントラインよりもさらに遠くから射抜く“ディープスリー”。昨年7月の「FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選」Window3対オーストラリア戦で5本の3ポイントシュートを含むチーム最多の18点で鮮烈デビューを飾ると、続く「FIBAアジアカップ2022」では、準々決勝の対オーストラリア戦で8本の3ポイントシュートを成功させ、33点を記録する圧巻の活躍を見せた。
世界大会での1勝。そしてアジアの出場国でトップの成績を残したチームに与えられる、来年パリオリンピックの出場権を掴むためには、この愛知県名古屋市出身のサウスポーシューターの長距離砲が欠かせない。
激化するメンバー争い。
三河・西田、名古屋D・須田が猛アピール
ワールドカップまで1カ月を切り、本番の12人のロスター入りを目指すサバイバルも佳境を迎えている。とりわけ激戦なのは、ウィングと言われるシューティングガード(SG)とスモールフォワード(SF)のポジション。ほぼ当確と見られる馬場選手、富永選手に加え、比江島慎選手(宇都宮ブレックス)、須田侑太郎選手(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)、原修太選手(千葉ジェッツ)、西田優大選手(シーホース三河)、金近廉選手(千葉ジェッツ)、ジェイコブス晶選手(横浜ビー・コルセアーズ)の6人が残りの切符を争っていた。
「なんとしても競争を勝ち抜いて、“メンバーに残ってやる”という思いしかありません」
シーホース三河に所属する西田選手は、生き残りに並々ならぬ闘志を見せる。というのも、西田選手は東海大学時代からコンスタントに代表合宿に招集されてきたが、2019年ワールドカップ、東京2020ではいずれもメンバー入りを逃し、悔しい思いをしてきたからだ。
ホーバスHC体制下では最多の出場試合数を誇る三河のエース&エースキラーは、持ち前のディフェンス力に加え、昨シーズンは3ポイントシュートの精度に磨きをかけた。「ベストタフショット賞」に輝くなど、勝負所での強さも身につけた。さらに7月のチャイニーズ・タイペイ、韓国との国際強化試合では、三河ではあまり経験がないポイントガードを任され、23日の韓国戦では6アシストをマーク。万能性、適応力の高さを示し、ワールドカップメンバーへの生き残りに向けて猛アピールを続けてきた。
名古屋ダイヤモンドドルフィンズの須田選手も、高確率な3ポイントシュートを武器にホーバス・ジャパンで着実に結果を残してきた。昨夏の「アジアカップ2022」対シリア戦では、15分のプレータイムで12本中9本の3Pシュートを決め、キャリアハイとなる33得点を挙げる爆発力を披露。フィジカルの強さを活かしたディフェンスにも定評があり、「3&D」として安定したパフォーマンスを続けてきた。
日本代表は、東京大会(8月15日 vsアンゴラ、8月17日 vsフランス、8月19日 vsスロベニア/有明アリーナ)で最終調整を行ったうえ、4年に一度の大舞台へ向かう。
初戦のドイツ戦は8月25日、沖縄アリーナで行われる。直前まで一人一人がステップアップし、チームの一体感を高めて、世界へ挑む。
愛知県のBリーグチーム所属の代表候補に選ばれた選手
●西田 優大 (シーホース三河)
1999年3月13日生まれ、徳島県出身。東海大学時代からプロの舞台を経験し、2021-22シーズンにシーホース三河に加入。鋭いアタックや高精度の3Pシュート、高いディフェンス力で攻守の中心を担い、Bリーグ最優秀新人賞に輝く。高校生から各世代の日本代表として戦い、国際大会での経験が豊富。愛称は「おでんくん」。190cm /90kg、SG(シューティングガード)
●須田 侑太郎 (名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
1992年1月3日生まれ、北海道出身。琉球ゴールデンキングス、アルバルク東京などを経て、2021-22シーズンに名古屋ダイヤモンドドルフィンズに加入。2021年のワールドカップ予選Window1で代表デビュー。7月のアジア杯シリア戦では75%の高確率で3Pシュートを決めた。190cm /87kg、SG(シューティングガード)
●張本 天傑 (名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
1992年1月8日生まれ、愛知県出身。2016年に名古屋ダイヤモンドドルフィンズに加入。外国籍選手とのマッチアップも苦にしないフィジカルの強さを武器に国際大会でも存在感を発揮。2012年日本代表に初選出されて以降、コンスタントに日本代表に名を連ねる。東京2020日本代表。198cm /100kg、PF(パワーフォワード)
●エヴァンス ルーク (ファイティングイーグルス名古屋)
1991年3月16日生まれ、アメリカ出身。2021年2月に帰化。トム・ホーバス体制ではワールドカップ予選Window1から招集され、日本のインサイドを支えてきた。ゴール下で体を張ることはもとより、スクリーナーとなってフリーの選手を作るなど攻守に献身性が光る。203cm /100kg、C(センター)
文=山田智子
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