勝利に向け、一歩一歩前進中!
愛知のチームの練習風景を徹底レポート!
第11回 FCマルヤス岡崎〔サッカー〕

シーズンも中盤に差し掛かり、ますます熱を帯びるJFL(日本フットボールリーグ)。地元愛知のFCマルヤス岡崎は2024シーズンの開幕戦を制して以来「勝点3」から遠ざかっていたが、5月19日に開催された対横河武蔵野FCを3-0で下すなど再び上昇気流をつかもうとしている。
3月から11月までにおよぶ長いシーズンを戦い抜き、優勝を目指すFCマルヤス岡崎。チームとして日々どのようなトレーニングを積んでいるのか、話を聞いた。

攻撃的なチームスタイルが練習にも現れる
2020年に岡崎にオープンした「龍北スタジアム」を本拠地とするFCマルヤス岡崎。2022年からは命名権により「マルヤス岡崎龍北スタジアム」の愛称で呼ばれている。週末を中心に自らのクラブ名を冠したスタジアムで、地元の熱い声援を受けながらプレーできる選手たちの練習にも熱が入る。


試合を終えた直後の週明けは走り込みのほか、ステップや切り返しなど基本的なフィジカルトレーニングに徹することが多いという。
翌日からは週末に行われる次戦に向けチームの戦術を確認しつつ、より具体的で明確な意図を持ったトレーニングに移行。対戦相手の直近3~4試合は、チームスタッフが隈なくチェックし傾向をつかんでいる。相手チームの方針や選手の特徴、弱点が現れている箇所を各選手と映像で共有。対戦相手のイメージを膨らませたところで、紅白戦など実践形式のトレーニングを行う。

チームには「練習のための練習をしない」という明確なポリシーがあり、常に試合を意識してトレーニングに臨んでいる。本番のプレッシャーの中でも、技術をフルに発揮できるメンタルの強化を最重要課題としている。
また、クラブの目指す「観客を魅了する攻撃的なサッカー」という軸は決してブレない。相手の弱点を突くばかりではなく、ボールの保持率を上げつつ積極的に前進するスタイルがトレーニング風景にも現れている。
ベテランやOBらがチームを支える
JFLにはそれぞれの職場で一般の会社員として勤務しながら競技に励む選手も多いなか、FCマルヤス岡崎に所属するのはプロ契約を結んだ選手が30人中25人を占める。集中してサッカーに取り組むことができている。これにはクラブを強化することで、会社や地域を元気にしたいというマルヤス工業のビジョンも垣間見られる。

一方で5人の選手(2024年5月現在)は社員選手として、マルヤス工業で勤務しながらサッカーに取り組んでいる。
「午前中トレーニングを行い、午後からすぐに通常の業務に戻る社員選手は体力的になかなかしんどい部分もあると思います」と話すのは、現在クラブで運営委員などを担当している伊藤晴斗さん。2022シーズンまで同クラブにおいてDFとして活躍した。伊藤さん自身も社員選手として日々の業務をこなしながらサッカーに取り組んできた経験を持ち、それぞれの選手に近い立場からチームを献身的にサポートしている。
また、現役では最年長の村瀬勇太選手(MF)もチームの支柱。伊藤さんが「足元の技術と戦術の理解度が高い」とリスペクトを込めており、多方面で若手選手にいい影響を与えている。ゲームを客観的に分析して、チームの改善点を見つける能力にも長けている村瀬選手。リーグ中盤戦から後半戦の鍵を握るプレイヤーとして今後注目したい。
「JFLのリーグ戦でなかなか結果が出ない状況のなか、天皇杯で敗退してしまったことに関してはものすごく悔しい。しかし、裏を返せばシーズンの当初に目標として掲げたリーグ戦優勝に向けて集中できる環境が整ったとも言えると思います」と伊藤さん。
チームは今年のスローガンを「歩」と掲げている。将棋の「歩」は一歩一歩前に進んでいき、敵陣に入ると「ト金」となり動き回れることから、確実に前進し勝負時には存分に暴れようという意味が込められている。
後半戦での大暴れに期待したい。
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