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the FACE of aispo! 表紙の顔#8 東京2020オリンピック 女子マラソン日本代表 鈴木亜由子

MGCを2位通過で五輪内定

 2019年9月15日(日)に行われたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)。二度目のマラソンとなった鈴木亜由子は、レース中盤から単独2位でレースを進める。終盤は〝笑顔〟で駆け抜けて、ゴールに飛び込んだ。終わってみれば、3位の小原怜とは4秒差。「2位以内」という東京2020代表の内定条件を満たして、安堵の表情を浮かべた。
 「2位を確保できてホッとした気持ちです。笑っているように見えたかもしれませんが、私は苦しくなると口角が上がるんですよ。笑っている時は苦しいんだなと思ってください」。鈴木はそう話し、集まった記者を笑顔にさせた。

才女が挑むフルマラソン

 鈴木は中学時代に「天才少女」と騒がれた逸材だが、時習館高等学校時代は1・2年時に右足甲を疲労骨折。自らの腰の骨を足に移植する手術を二度も受けており、苦悩の日々を過ごした。しかし、名古屋大学に進学すると、再び輝き始める。男子選手と一緒に質の高い練習をこなし、4年時にはユニバーシアードの10000mで金メダルを獲得した。
 大学卒業後は創部したばかりの日本郵政グループ女子陸上部に1期生として入部。その年の秋に3000mで中学3年時以来8年ぶりに自己ベストを更新すると、その後は日本長距離界のエースとして羽ばたいていく。2015年に北京で行われた世界陸上競技選手権大会では5000m決勝に進出して、入賞まであと一歩に迫った。2016年にはリオオリンピックでも5000mに出場。そして2018年からは「自分の可能性を広げるため」にフルマラソンへの挑戦が始まった。
 北海道マラソンで初マラソン初優勝を果たして挑んだMGC。終盤にペースダウンして、「マラソンの怖さ」を知ったという鈴木。ただし、もっとやれるという感触は掴んでいるようだ。「マラソンは2回しか経験していませんし、レベルアップできる余地は残っていると思います。MGCの苦しさを忘れずに、必ず結果を残すんだという強い気持ちでやっていきたいです」。
 今年8月8日(土)に行われる東京2020の女子マラソン決勝。大舞台での鈴木の活躍が、日本中を笑顔にさせてくれるに違いない。


文=酒井 政人
1977年生まれ。愛知県岡崎市出身。岡崎城西高等学校を卒業後、東京農業大学に進学。1年時に箱根駅伝10区を走り、シード権獲得となる総合8位でゴールに飛び込んだ。故障で競技の夢をあきらめて、大学卒業後はスポーツライターとして始動。現在は様々なメディアで執筆している。著書に『ナイキシューズ革命 “厚底”が世界にかけた魔法』『箱根駅伝ノート』『東京五輪マラソンで日本がメダルを取るために必要なこと』など。
Twitter @gakusei_ekiden

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